二人の記憶
こんにちは! クロです。
昨日は、投稿できずに申し訳ありませんでした。
それでは、どうぞ!
第四十二話、二人の記憶
霧島宅、凪の部屋。
僕は、トランプを探している少しの間に気絶してたらしい。
そこで、かえでとほむらが起こしてくれたんだけど、打たれた頬が痛い……
その後、とある写真が入ってた場所の下に、保管していた目的の物を見つけた。
これが、偶然なのか、それとも記憶から逃げんなって事なんだろうか……
そう感じた僕は、テンションが高いかえでに聞こえない声量で、ほむらに話す。
「ほむら……。かえでが寝たら話があるから、僕の部屋に来て」
「え……、もしかしてお兄ちゃん。気絶した事をまだ気にしてるの?」
「うん。あと、もう一つの事とか聞きたい」
その時のほむらの表情は、何かを気にしていた様な顔から、直ぐに心配の顔に変わる。
「もしかして、お兄ちゃん。馬鹿な事を考えてないよね?」
ほむらが馬鹿と言ってくる時は、機嫌が悪い時……、つまり怒っている時。
「それが馬鹿な事なのか分からないけど、少なくとも、僕達二人に関係することだよ」
「やっぱり馬鹿な事だよね? 何で、知りたいの?」
珍しくほむらが睨んでくる。
でも、それに負けてしまったら、これ以上なにも喋れないから困る。
だけど、相当怒っているほむらに向かって、自分の心を素直に話そうと思えた。
「知りたいというより、知らなきゃいけない気がするんだ。そしてその後に、あの子がどうなったのか知らないんだ」
「それって……生きてるか、ないか?」
「うん。そうだよ」
「それだけじゃないよね? 他にもあるんだよね?」
「何でそんなに読めるかな……。そうだよ、あの子がどんな人物だったのかも聞きたい。」
「そっか。分かったよ! 教えてあげる」
意外にも、これを交渉とは言えないけれど、二つ聞きだせる事になった。
一つは、あの子が無事だったのか、そうでなかったのか……。
もう一つは、どんな人物なのか……だ。
でも、ほむらは、それを馬鹿な事と話す。
そして、小さな声が聞こえた様な気がした。
「もう……。いつまで私達を苦しめるの? いい加減にしてよ!」
ここには、その想いの向かう場所なんてない。
それは、ほむらも自分で分かっているのだろう。
でも、落ち着いて話そう。
「少なくとも僕は、苦しいとは思ってないよ。気絶しちゃうのは、その時の記憶が無いからだしね。」
そう、記憶が無い。
あの子が、何かに轢かれそうな所から抜けている。
だから、たとえ何があっても、気にしない様に努めよう……。
そう決意した時、一つの優しい声が聞こえた。
「ううん。お兄ちゃんは、充分苦しむ事になると思うよ……。だって、記憶に無い事を言われた時、誰でも傷つくと思うし」
さっきとは、違った。
今回は、心配の眼差し。
今なら分かる。
あの怒りの眼差しは、僕に向かうんじゃなくて、その先のあの子に向かっていた事。
これは、小学五年生の思い込みには、思えないだろう。
だけども、ここからは、何もわからないんだ。
「それは、テレビの見過ぎだよ! 大丈夫。もし苦しんでも、ほむらが居てくれるしね」
自分自身、満面の笑みを零した事には、気付いた。
それで、ほむらの心配事が無くなれば良いなと思って。
「そうだね! 私は、お兄ちゃんが離れない限り、隣に居るよ。」
ありがとう。
でも、そろそろかえでが、この事に気付きだしたから話題を逸らす。
「ありがとう。さてと、思っ切り遊ぼうか!!」
かえでにも聞こえる様に、声を張った言葉に二人とも盛り上がる。
ほむらは、クスッと笑いながら……。
「「おお〜!!」」
そして、僕達三人による、トランプが始まるのだった。
ここまで読んでくださり、ありがとうございます!
お疲れ様です。
今回は、二人の記憶について書きましたが、これが今後どんな展開を見せるのかは、楽しみにして頂けると幸いです。
それでは、また次回でお会いしましょう。
次回も、よろしくお願い致します。




