幸せな時間
こんにちは! クロです。
早速ですが、どうぞ。
第三十九話、幸せな時間
霧島宅(居間)
「待たせてごめんね。かえで」
「えへへ。おはよう! なぎ」
居間に到達したと同時に、待たせた事の謝罪をした。
でも何で、僕が寝てたことを知ってるの?
そんな疑問が頭によぎる。
これは、実の妹でも分からなかったのに、かえでに当てられて驚いた。
何故か、聞いてみようかな……
「うん! おはよ。かえで! それと、何で僕が寝てたこと知ってたの?」
その答えは、至極単純で、凄く馬鹿馬鹿しかったのだけれど。
部屋に入ってきていないことは、分かったので、少しだけ安心した。
「それはね、なぎの顔を見てれば分かるよ」
「お兄ちゃん……いいから、鏡見てきて」
かえでは、くすっと可愛らしい笑みを浮かべて、含みのある答えを返して来たが。
ほむらは、それとは対照的に呆れていて。
今頃何言ってるの? とでも言いたげな顔をして、早く鏡を見てと急かしてきた。
そして、洗面所に行って鏡に写る姿を確認した時……
「え……ええーー!?」
「はぁ〜。やっと気づいたの?」
「う、うん」
一言でいってしまえば、酷かった。
髪は、所々跳ねながら絡み合っていて。
目は、眠たい事を伝える様に、細くなっていた。
これを纏めると、如何にも寝起きな少年の完成だ。
「どうしようこれ……全然直らないんだけど」
僕達兄弟は、朝起きたときの寝癖は、あまり酷くない。
というか、全くもって出来ない。
それに比べて両親の寝癖は、どうしようもないほど跳ねてたりしていて、それもそれで仕方ないんだけど。
この時だけは、寝癖の直し方を知ってる親が居ないことにため息が出た。
「はぁ〜……」
「大丈夫だよ! なぎ。私が直してあげるから」
いつの間にか、三人とも居間にいた筈なのに、場所が変わって洗面所に集合していた。
そして、最後に来たであろうかえでが、『私が寝癖を直してあげる』
と言って、僕の髪を整えてくれてるんだけど。
かえでの小さくて、柔らかい手が、時々頭をこちょばしてくる。
そんな事をしてるつもりは無いんだろうけど、でも楽しそうなかえでを見てると、複雑な気分になっていった。
「ごめんね。お兄ちゃん。あの姿を見た時から分かってたけど……かえでさんに協力するって言っちゃったから」
「ん? 何だって!? 聞こえないよ!」
無理も無いだろう。
だって今は、髪の絡まりを解きながら、水で濡らして、最後にドライヤーで乾かしてる最中だったから聞こえない。
それに加えて、ほむらの小さな声で言われたら、何が何だか分からなくなってしまうが。
「うんうん!! 何でも無いよ!」
かえでの幸せそうな笑いと共に、ほむらも振り絞った様な声量と満面な笑みで、場が和む。
「よし! 直った! なぎの髪……触ってて気持ち良いね」
もっと触らせろ〜! みたいな顔で近づいてくるけど、それを制して。
「ありがとう! かえで。じゃ、みんなで一緒に居間で遊ぼう」
折角のお泊まりなのだから、みんなで遊んだ方が楽しいと思うから、提案した。
「分かった! あ、そうだ。あの事……忘れてないよね?」
寂しそうな……
儚い表情と声で、忘れてないか尋ねて来たけど、答えは……忘れていない。
「忘れてないよ。今日は、三人で寝ようね」
これは、僕が喋ってしまったら気持ち悪い以外に何もないけど、二人は嬉しそうで。
「うん! ありがとう」
「良いよ! お兄ちゃん」
二人とも満足したかの様に、さっきよりも幸せそうな表情が表れていた。
決定事項まで……
あと数時間。
ここまで読んでくださり、ありがとうございます!
お疲れ様です。
今回は、凪が寝起きあるあるを披露したという事で、寝癖って……苦労しますよね。
まあ〜、それはそうとして。
作者には、ここ3日の間に学校でのテストがありまして、疲れてる中、執筆してたのですが。
何を伝えたいのか分からないぐらいに、酷かったらごめんなさい……
これからも、しっかりと書いていきたいと思いますので、応援よろしくお願いします。
それでは、また次回でお会いしましょう!