第7話 知ってしまった真実 ☆
「「こんにちは!」」
ザークとレイム、ラーグの3人は音楽の授業以外で、はじめてこの高校の音楽室に入り、元気よく挨拶をしてきた。
そこにいる女子部員たちも挨拶を返す。
「うわぁ!」
「広い!」
「黒板がスライド式だ!」
彼らはその広さ驚いているようだ。
ラーグの「黒板がスライド式」というのは、おそらく彼がはじめて見たのだろうと思うが……。
この高校の音楽室は3段の雛壇の上に机が2列ずつくらい置いてある。
雛壇の1番上の壁の隅の方にはオルガンが置いてあり、窓際の反対側には扉が2つ。
奥の扉にはドラムセットやグロッケンなどといった打楽器があり、手前の扉にはギターが置いてあった。
ザークたちはその中を見て、大興奮している。
「男の子だ!」
「本当だ!」
「さすが、ロゼ!」
「たまたまだよー」
女子部員たちは無邪気に音楽室内を見て回っている彼らを見て、談笑を交わしていた。
「あの……」
「ん?」
「何かな?」
「入学式の時に男子の先輩が何人かいましたが、その人たちは正規の部員ではないのかなと思いまして……」
先ほどまでザークとレイムと一緒にいたラーグが申し訳なさそうにロゼとリヴァルに話しかける。
「ラドルとシヴァだね。彼らは正規の部員だよ」
「今週は2人とも週番だから遅いんだよね」
彼女らは「大丈夫だよ」「安心して」と彼をなだめた。
ラーグが「そうなんですか……」と言うと、リヴァルが「彼らがどうかしたの?」と問いかけてくる。
「ずっと、助っ人かなぁと思ってたので……」
彼が女子部員たちの顔を見ながら安堵の言葉を口にした。
「おそらく、少子化の影響は大きいですよね」
「運動部は助っ人を入れないと試合にならないという噂もありますしね……」
彼女らの様子を見たザークたちがラーグに続けるかのように言葉を紡ぐ……。
「うんうん、そうだよね」
「実は私たちも今年の1年生が入部してくれなかったら休部や廃部なんだよね……」
先ほどまでは一言も話していなかったであろう、アールとオペラが口を挟んできた。
「「そうなんですか……!?」」
「うん」
「そうなの」
彼らは彼女らの現状を耳にしてしまった。
そのことは本当だということを――。
「まぁ、いろんな要因があるからね」
「うん。ところで、3人は見学にきてくれたんだよね?」
ロゼとリヴァルが本題に入ろうとしているため、彼らは「「ハイ!」」と返事をした。
書きおろしエピソード
2016/10/23 本投稿