第4話 彼らの出会いと結成(ライトレイ編) ★
一方のライトレイは自然豊かなところにシンプルなログハウス風の建物立っている。
パンドラクロスに比べ、土地面積などは狭く、こじんまりとしている。
そこに向かう1人の少年が姿を現した。
「ここか……。今日から僕が過ごす場所は……」
その時、ドアが開いた。
1人の少女が手にじょうろを持ち、その建物から姿を現す。
彼女はその少年に気づき、
「こんにちは。迷子になってしまったんですか?」
と心配そうに声をかける。
「こ、こんにちは。ぼ、僕は迷子になった訳ではないのです」
「では、用件は?」
「あ、あの……ライトレイの建物ってここだと訊いてきたんですが……。ここで合ってますか?」
彼は彼女に問いかけた。
「えぇ。こちらで合ってますよ。もしかして、新規の方ですか?」
「ハ、ハイ。は、はじめまして。僕はロブです」
「堅くならなくてもいいよ。私の名前はティー。今日からよろしくね、ロブ」
「よろしくお願いします!」
「私、花壇に水をあげないとならないから、少し待っててね」
「分かりました」
ティーと名乗った少女は花壇に水をあげ、ロブと名乗った少年は少しだけ彼女がそれを終わるまで待っていた。
♪
ロブはティーに誘導され、その敷地内に入る。
「どうぞ」
「お邪魔します」
彼女らが最初に入った部屋は休憩室らしきところ。
そこには2人の少女が談笑していた。
「あら、ティー。その人は誰?」
「彼はここに入るの?」
彼女らはティーに問いかける。
「ハイ。サラさんにリリアさん。彼の名前はロブです。今日からここに入るみたいです」
「はじめまして。僕はロブです。よろしくお願いします」
ティーは彼女らに彼を紹介し、彼もすぐに自己紹介に移る。
「わぁー、男の子だぁ……。ここは男の子は少ないからね。私はサラ。よろしくね、ロブ」
「ここはパンドラクロスより人数は少ないけど、楽しく過ごそうね。私はリリア。よろしくね」
サラとリリアと名乗った少女たちがロブに自己紹介をする。
どうやら、ライトレイは男性が少ないようだ。
彼は何か疑問点があったようだ。
「パンドラクロス? それはなんですか?」
と首を傾げて問いかける。
「『パンドラクロス』とは私たちの敵の組織よ。彼らは私たちを恨んでというか憎んでいる組織で、私たち『ライトレイ』は失われた時と大切なものを取り戻す……あるいは救う組織なの」
とティーはロブに簡単に組織について解説する。
「へぇー……」
ロブは納得したように頷くと、
「サラさん、リリアさん」
「んー?」
「ティー、何?」
ティーがサラとリリアを呼ぶと彼女らは首を傾げている。
「ロブを師匠のところに行くついでに敷地内の案内をしてもいいですか?」
「いいわよ」
「いいよ。いろんなことを教えてあげてね」
「ありがとうございます! ロブ、行こう!」
「ハ、ハイ!」
ティーはロブの手を引いて敷地内を回り始めた。
♪
ロブはティーに連れられて、ある部屋に着いた。
ティーがその部屋のドアをノックする。
部屋の中から、
「どうぞ」
と澄んだ女性の声が彼女らの耳に入ってきた。
「ハイ。失礼します」
「し、失礼します」
ティーは丁寧に返事をし、部屋に入る。
ロブも彼女に習って一緒にその部屋に入った。
「ティー、そちらの方はどなたかな?」
その女性はロブを見て、ティーに問いかける。
「彼はロブさんです。今日からこちらに入るみたいです」
「はじめまして、僕はロブです。今日からよろしくお願いします!」
ティーはロブを紹介し、彼はその女性に自己紹介をした。
「はじめまして、ロブ。私はネロセレーヌ。ここにいるティーやサラたちの師匠です。みんなからはネロと呼ばれているから、ロブも同じように呼んでね」
「ハ、ハイ」
ロブはにこやかに話しているネロに対して、この人が師匠? かなりの美形のお方だ……と思ってい、少し惚れ惚れとしていた。
「ところで、ロブは何か楽器はできるの?」
「僕は、チューバを吹くことができます」
「へぇー……。チューバかぁ。凄いね」
「あ、ありがとうございます! 誉めていただき、光栄です!」
「チューバって重いよね?」
「そうですね。ですが、僕はそのベースラインが好きなんです。周りを支えているというか……」
ネロは表情を崩さずに、ロブと少し話す。
「なるほどね……。話してくれてありがとう。じゃあ、ティーはロブに敷地内を案内してあげて。彼の部屋は準備できているからね」
と彼女はティーにロブを案内するように促した。
「ハイ、分かりました。失礼しました」
「失礼しました」
彼女らはネロの部屋を出、敷地内の案内をしようとした時に、
「あっ、そうだ。まずはロブの部屋を案内しないとね。ずっと、荷物を持ったままだから、大変だったでしょう?」
ティーはロブが持っているキャリーバッグを見て問いかける。
「えぇ、まぁ」
彼は曖昧な返事を返す。
「そうだよね。私もここに入った時はリリアさんやサラさんに連れ回されたからね……。私も同じことしちゃったけど」
「ですよね」
「部屋に着いたよ。開けてみて。」
「失礼します」
その部屋には机や本棚、ベッドなどと、生活に必要ものは最低限揃っていた。
「それで、落ち着いたらでいいから、ロブにはこの服に着替えてね」
ティーがロブに大きな紙袋を差し出した。
その中から出てきたのは、パンドラクロスと同様に、服のプレゼントだった。
「ありがとうございます! 僕が受け取っていいんですか?」
「えぇ、いいのよ。今日からあなたはライトレイの人間なんだから」
「ティーさん、ありがとうございます!」
「いいえ。改めて今日からよろしくね」
「ハイ」
彼女らはロブの部屋で別れ、彼は荷物の整理を始めるのであった。
こうして、遥か未来の世界である、パンドラクロスとライトレイの2つの組織。
その組織でそれぞれが出会い、新たなる冒険の始まりはそう遠くはないだろう……。
『【原作版】』第1話のライトレイ側をベースに改稿
2015/10/16 本投稿




