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第3話 彼らの出会いと結成(パンドラクロス編) ★

 人には先ほど挙げさせていただいた今現在に生きる者とこれから挙げさせていただく未来に生きる者がいる。


 そして、ここにいる11人の演奏者たちもそのメンバーである。


 パンドラクロスとライトレイ。


 その2つの組織が彼らの平和で平等な世界から分離させられた。


 彼らはぶつかりあって生きていくを決意した。


 そこで待ち受けられるバトルと冒険が今始まる……。



 ♪



 こちらは遥か未来の世界である西暦3000年……。


 ここはパンドラクロスの館……。

 そこに向かっている2人の少年が左右から現れた。


「パンドラクロスの館はここか……」

「うーん……。ここかなぁ……?」


 2人は地図と建物を確認することに夢中になっていたので、正面から人が近づいてくることに気がつかないようだ。

 ドンッ! と音を立てて2人の肩がぶつかる。


「オイ! 周りをよく見て歩けよ!」

「そっちこそ! って……その紙、ちょっと見せてもらってもいい?」

「いいけど」


 2人はその紙を見る。

 書いてある内容も地図も全くもって同じだ。


「同じ地図だぁ……」


と彼らは顔を見合わせ、同時にその言葉が発せられた。

 次の瞬間、


「お前は誰だ?」


 突然、名前も知らない少年に話しかけられ、さらには人差し指を彼に向かって指されている。


「あっ、僕ですか? 名前を言ってなかったですよね。僕はエリアス。今年で16歳になります。ところで、君は?」


 エリアスと名乗った少年が簡単に自己紹介をする。


「俺はウィル。俺も16歳になる。楽器はトロンボーン」


 エリアスに問いかけられたため、ウィルと名乗った少年も自己紹介をする。


「僕もトロンボーンだよ!」

「本当か!?」

「うん! しかも、僕たちは同い年だよ!」

「よかった……。同期がいて……」

「僕もだよ! よろしくね、ウィル」

「あぁ。こちらこそよろしく」


 こうして、ウィルとエリアスは出会い、話しながら敷地外を見て回った。



 ♪



 彼らは一通り敷地外を回り終え、最初に彼らが出会った場所に着いた。


「意外と広そうだな……」

「そうだね。ん? こんなところにインターホンがある」


 エリアスがインターホンの存在に気づき、


「押してみるか?」

「うん」


 ウィルはインターホンのボタンを押してみた。



 ♪



 ピーンポーン♪

 インターホンが鳴り、少女らしき人物が対応する。


『こちらはフィオナ。名前をどうぞ』


 フィオナと名乗った少女は彼らに名前を言うように促すが、


「えっ!? 名前を言わないと駄目なんですか?」


とエリアスはインターホン越しのフィオナに問いかけた。


『えぇ。防犯やセキュリティーのためなので……』

「そうですか……。僕はエリアスです」

「俺はウィルです」

『ウィルさんとエリアスさんですね。分かりました。今からそちらに向かいますね』


と彼女は言うと、すぐにインターホンが切れた。


「フィオナさんって……」

「どんな人だろう……?」


 彼らは少し緊張したような口調で彼女がくるのを待った。



 ♪



 ウィルとエリアスがフィオナを待ち始めて数分経った。


「はじめまして、こんにちは。エリアスにウィル」

「あ、あなたがフィオナさんですか?」

「ん? そうだけど」


 フィオナは目がテンになっているウィルとエリアスを見てくすくす笑いながら答える。


「俺、パッと見てですが、フィオナさんのこと少年に見えました」

「ウィル、それは失礼だよ?」

「ヤバッ……!」


 エリアスがそのようなことを言うウィルに注意する。

 ウィルはハッとした表情を浮かべ、フィオナを見る。


「ウィルはあとで私の部屋にこい」


 彼女は先ほどのくすくす笑っていた時とうって変わって、右手には銃を構え、いかにも脅しかけるような口調でウィルに迫る。


「ほら、怒らせちゃったよ……」

「すみません……。なので、銃をしまってください」

「冗談だ。一応、私は女性だからな?」


 フィオナが銃をしまうと、ウィルの額にデコピンを1回打つ。


「あぃ……。デコピンはやめてください。凄く痛かったので……」


 ウィルは額を撫でながら、若干涙目になっている。


「ところでフィオナさん、このお屋敷は凄いですね!」

「そうか。これからお父様のところに行ったあと、他のメンバーもそろそろくると思うから、みんなでゆっくりと敷地内を案内するとしよう」

「ハイ!」

「お邪魔します」


 彼らはフィオナに連れられて敷地内に入っていった。



 ♪



 3人がその敷地内に入ったあとのことである。

 1人の少女と1人の少年が先ほどのウィルとエリアスたちを見送るようにして玄関付近に立っていた。

 彼女らは少々息が上がっているため、ここまで走ってきたのだろうか。


「タッチの差だったね……」

「そうだな……。もう少し早くついていればよかったな……」

「うん……」


 2人は一旦、息を落ち着かせ、少女がふと視線をずらすとインターホンのボタンを見つけた。


「何これ? こんなところにインターホンがあるけど」

「本当だ」

「押してみる?」

「あぁ」


 少女はインターホンのボタンを押した。



 ♪



 ピーンポーン♪

 再びインターホンが鳴った。


『ハイ。こちらはイナーシャ。名前をどうぞ』


 イナーシャと名乗った少女がインターホンの対応をする。

 声は先ほどのフィオナとよく似ているが、少し高い声をしている。


「私はラファです」

「俺はセロンです」

『分かりました。今からそちらに行きますね』

「ハイ」


 インターホンが切れ、ラファとセロンと名乗った2人はイナーシャがくるまで緊張した面持ちで待つ。



 ♪



 彼女らがイナーシャを待ち始めて数分後……。


「遅くなってしまってすみません。改めましてこんにちは。はじめまして、セロンとラファ」

「こんにちは」

「これだけ大きい敷地だから緊張しちゃうとは思うけど、2人とも、そんなに堅くならないで」


 イナーシャが彼女らを優しくなだめる。


「すみません」

「ありがとうございます」

「いやいや、いいのよ。早速だけど、これからお父様のところに行きましょう。それが終わったら、敷地内の案内をするね」

「分かりました」

「ハイ」

「では、どうぞ。上がって」

「お邪魔します」

「失礼します」


 イナーシャがドアを開けると、2人を招くように誘導する。

 それにつられてラファとセロンも敷地内に入っていくのであった。



 ♪



 フィオナたちがある部屋に到着した。

 彼女がインターホンを押そうとした瞬間……。


「フィオナ、待って!」


 イナーシャがフィオナのところに駆けつけた。

 彼女らは同じ顔をしていたので、双子なのだろうか。


「イナーシャ。そっちにもお客様がきてたんだ」

「うん。メンバーが揃っちゃったね」

「意外と早い段階で揃うとは思わなかったな」

「そうだね」


 他のメンバーを置き去りにしてフィオナとイナーシャの会話が数分続いた。



 ♪



「では、今度こそ」


 フィオナの人差し指が再びインターホンに向けられた。

 彼女はふーっと息を吐き、ポチッとそれを押す。


『こちらはトレイズ。名前をどうぞ』

「フィオナと……」

「イナーシャです。お客様を連れてきました」

『ほう……そうか。入ってくれ』

「分かりました」


 フィオナとイナーシャはインターホン越しの彼女らの父親らしき人物と話し終えた。


「みんな、入るよ!」

「くれぐれも失礼のないようにね?」

「ハイ!」


 彼女らが実に楽しそうに言うと、ウィル以下4人は彼女らに返事をした。



 ♪



「失礼します」


 6人は1人ずつトレイズと名乗った男性の書斎に入っていく。


「フィオナ、イナーシャ。この4人は今日からこの組織に入る者たちか?」


 トレイズが彼女らに問いかける。


「えぇ」

「ハイ、そうです。お父様」


 彼女らはかしこまった口調で返答する。


「ほう。早速ではあるが、1人ずつ簡単に自己紹介をしてもらおうとするか。では、1番左にいる僕からお願いする」


 トレイズは1番左に立っているエリアスを()した。


「ハイ。僕はエリアスです。トロンボーンを演奏することができます」

「俺はウィルです。先ほどのエリアスと同じくトロンボーンです」

「私はラファです。アルトサックスを演奏しています」

「俺はセロンです。ユーフォニアムを吹くことができます」


 彼らが簡単に自己紹介を済ませると、トレイズは頷き、


「ふむ。君たちのことは少し分かったよ。次は私の娘たちの紹介に入りたいところだが……。私は少しの間、外出をしなければならない用事があるから、彼女らの指示に従ってほしい。それと、フィオナ。例のあれのこと、忘れるなよ」

「ハイ。行ってらっしゃいませ、お父様」


 トレイズはフィオナにそう伝えると、彼は外出のため、書斎から離れた。


「では、私たちの自己紹介をします」


 フィオナがそう言うと、先ほどと打って変わって拍手が沸き起こった。


「拍手はいらないのに……。私はフィオナです。担当楽器はホルン。隣にいるイナーシャの姉です」

「私はイナーシャですクラリネットを担当しています」

「みんな、よろしくね!」


 2人が自己紹介すると、最後に彼女らの息ぴったりでハモリのある一言で締めた。


「よろしくお願いします!」


 4人が元気に返すとイナーシャが、


「本当はあともう1人、アリソンがいるんだけど、今は出かけているから会ったときに紹介するね」


と残念そうに言った。


「あの、今、おかしな質問をしてもいいですか?」

「ん、何? ラファ」

「フィオナさんたちって……双子ですか?」


 ラファが彼女らに質問する。


「そうだよ。一卵性だから顔だけだとどちらがどちらか分からないとよく言われる。見分け方は全身の外見と声のトーンだな」

「確かに、それが重要ポイントだよね」


 彼女らはその質問に答えるが、ラファを含めた4人は口をポカンと開けていた。

 あまりにも衝撃的な真実を知ってしまったからであろう。

 その間に彼女らは後ろを向いていた。


「ねぇ、フィオナ。例のあれってなんのこと?」


 イナーシャがフィオナに問いかける。


「あぁ、あれね。それは実は服のことなんだ。今、彼らが着ているものは私服っぽいし、それだと闘いにくいだろう」

「なるほどね……。どうやってやるの?」

「こうやってやるよ」

「懐中時計?」

「うん。いくよ!」


 フィオナがどこから取り出したのか分からないが、手には懐中時計を持っている。

 彼女がそれをカチャッと止めると同時に4人の男女の動きが止まった。

 そして、彼女は1人1人の前に立ち、指をパチンと4回鳴らした。


「これでいいの?」


とイナーシャが問いかけると、彼女は満面の笑みを浮かべて、


「これでOKだよ」


と答え、再び懐中時計をカチャッと動かした。

 それが時を取り戻すかのように動き始めた。


「……」


 彼らは状況が分からずにきょとんとし、4人は互いを見回している。


「例のあれって……。この服のことですか?」


とエリアスがフィオナに問いかける。


「そうだよ。これはお父様からのプレゼントだと思っていただければ嬉しい」

「本当ですか!?」

「いいんですか!?」

「フィオナさんたちのお父様、ありがとうございます!」


 彼女は彼らにそう告げると、彼らは各々の言葉を彼女に言った。


「さて、これから、私たちの冒険が始まるよ!」

「ハイ!」


 イナーシャとフィオナが彼らに向けてスッと手を差し出したのであった。

『【原作版】』第1話のパンドラクロス側をベースに改稿


2015/10/14 本投稿

2015/10/14 あとがき欄追記

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