第14話 演奏技術テスト その2(レイム編) ☆
音楽室のピアノの近くにロゼ、アール、ザーク、レイムの4人が集まったまま、雑談を始めようとしていた。
「そういえば、なんで私たちはずっと一緒なんですか?」
アールは疑問に思い、ロゼに問いかける。
その時、ザークとレイムはお互いの顔を見合わせて首を傾げていた。
「そうだよね。それだとテストの意味がないもんね。じゃあ、レイムはここに残って、アールとザークはあそこに置いてあるキーボードでもいい?」
「私はいいですよ。ザークはそれでもいい?」
「ハイ」
アールたちは黒板の前に置いてあるメトロノームつきのキーボードのあるところに移動した。
「それじゃあ、レイム始めるよ」
「お願いします!」
「じゃあ、まずは楽器にはたくさんの種類やパートがあるけど、その中でなんでトロンボーンを始めたの?」
ロゼはレイムになぜトロンボーンを始めたのかを訊いてみる。
彼はうーんと悩み、彼女に言いたいことを頭の中で整理し始めた。
「僕がトロンボーンを始めたのは中学の仮入部です。最初は吹奏楽に関してはなんにも知らなくて、様々な楽器に触れて迷った結果、トロンボーンだったのです」
「ふんふん、なるほど。次の質問は始めた時に苦労したことは何かないかな?」
レイムの答えをロゼが用紙に書き込みながら、次の質問に移る。
彼女は楽器経験に至ってはロゼより長い彼はどのような答えが返ってくるか少し期待していた。
「最初は楽譜が読めなくて苦労しました。低音域の担当している楽譜はヘ音記号ですから」
「そう言われてみれば、この楽譜もヘ音記号だね。私は高校から吹奏楽を始めた人間だけど、シヴァとかにヘ音記号の読み方が分からなくてねー」
「教える方も大変ですね」
「初心者に教えるのはかなり大変だよ。たった1年である程度理解して新入生を迎えなきゃならないしね」
「話を戻しますが、人間関係も苦労しました」
「確かに人間関係の捻れはよくあることだよ。吹奏楽部は女子が多い部活だと言われてるしね……まぁ、この高校には男子部員もいるから比較的に入りやすい環境なのかなとね」
彼女はレイムの苦労したことを整理しつつ、まとめていく。
しかし、彼はこんなに話して大丈夫だったのだろうかと不安になっていた。
「どうしたの?」
「僕がたくさん話してしまったので、先輩はすべて書ききれないのかなぁ……と思いまして」
「レイムは気にしなくていいよ。テストの時に緊張させないように雑談をしてるんだから! あと、この紙はエズミ先生に渡すだけだからさほどはみ出したりしても問題はないよ」
「そうなんですね!」
「じゃあ、あと1問くらいで雑談は終わりにしようか」
ロゼは最後の1問はどのような質問にしようかと考えを眩ませるのであった。
2017/11/06 本投稿




