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変化する者達

長谷部は少しずつ説明をしていった。


「そうだな、この国や他の国、世界中で今戦争などをする国はないよね?小さな紛争などを除いてだけど、それはわかるかい。」


コクリとうつむき答える。


「はい、様々な国々が関わりを持ち各国間の経済的バランスが保たれている現在の状況で戦争なんてする国がどこにあるんですか。」


自分の声の大きさが徐々に上がるのがわかる。

その質問に長谷部は淡々と語っていった。


「国々は物を作り流通させ、人と人の関わり合いが増え、そのバランスを上手く保って世界は成り立つ。力の強い国はあるが、その一国のみでは生きてはいけない。そして戦争をするには凄まじいほどの威力を持った弾薬や武器が有り、ボタン一つで情勢は左右されてしまうまで一国一国が発展してしまっているわけだ。」


「国々がバランスを保ち続ける為にどうするかわかるかい?それぞれが民主主義の名の下に茶番劇を演じているんだ。どこどこの国はこういう方針だ。何々の紛争地に誰々の国から軍を派遣する。なんて事も全て裏では決まっている。その為の主権は誰が握るのか?裏では代理戦争が行われているんだ。」


「わかるかい?武器弾薬を使う戦争は愚かな行為だとわかり、出来るだけ穏便に人々の生活に影響が出ないようそういった戦争のやり方は改められたんだ。」


「そして各国の代表同士が殺し合いをさせられ、勝った国から自国に有利な条件を発言していく事が出来るようになっていったんだ。」


「何年も前から国対国の争いは人対人への小さな戦いにシフトされ、国々では超人を生み出す技術を研究または開発する部署まで設けられるようになっていったんだ。もちろん秘密裏にね。」


これまで聞かされた内容に現実味を覚える事がないが試験の答えと今回の一件だけは関係がないという点は信用出来た。


「そして、その悪魔の因子を持つ子供達を使って代理戦争に参加させているということなのでしょうか。冗談じゃない!そんな事の為に僕は!」


再び口を開いた葉の言葉を遮るように長谷部は話し始めた。


「あわてるんじゃない。それには続きがある。」

「さっき秘密裏にといったよね、このコトはこの国の最重要案件となった。そして全国で研究施設が設けられるようになって行ったんだ。その場所が昔の特別封鎖地区だよ。」


「では何故地区ごとに封鎖してまで外の人間を近づけないようにしているかわかるかい?」

質問をしてきたわけではなさそうだった。

直ぐに説明の続きをし始めた。


「これだけでは分からないよね。人間の超人化の為の実験施設で、ある事故が発生した。

異界への出入り口が開かれてしまい、その周辺一帯を瘴気が包み込んだんだ。


包み込んだ…だけで終わればそこだけを隔離すれば良かったんだが、日本中の地脈に乗り各地から瘴気が漏れ出しはじめた。

その瘴気に汚染された区域が今の特別封鎖地区のことなんだ。」


「その瘴気というのが厄介でね。ここまで言えばわかるかい?」


「それが…人間を悪魔に変える?」

おぼろげに答える葉に長谷部は再び口を開いた。


「そうだ。化け物に変化した人間は人々を襲うようになった。瘴気に汚染された人間は化け物に変化してしまうようになったんだ。」


「またそれと同じくして、瘴気による悪魔化に抵抗力を持つ者も現れ始めたんだ。その人々は第一世代と呼ばれ、一つの希望となったが…抵抗力があるというだけで変化する力の制御が出来る者は少なかった。」


「その人達はどうなったんですか?」


変化してしまった人間の末路はどうなってしまったのか、ある程度の予想は付いたがどうしても信じられず質問を重ねてしまう。


「第一世代の人間には特殊な装置を身に付けさせて悪魔化を抑える事しか出来なかったよ。進行の激しい者から死にはじめ、悪魔化を抑えていても、身体の著しい変化や痛みに精神が耐え切れず犠牲者は増え続けたが」


続けて言う。

「第一世代の人間にも汚染された区域内で影響が少なく動ける者が少しずつ出現していき、不思議な力を行使する者が出てきた。悪魔化を制御し、それらを倒せる力を持つ者が現れたんだ。悪魔化に適応していった彼らの事を第二世代と呼ぶようになった。」


「そして私はその第二世代と呼ばれる種の人間なんだ。」


「化け物に変わってしまった犠牲者を速やかに排除する組織が政府によって設立され戦いは続いていたが、自由に封鎖地区を動ける第二世代にも次第に変化する者が現れた。力に支配された魔人が誕生してしまった。奴らは化け物に変化した人間を操り、人間の悪魔化の進行を促進させた。苦戦を続ける第二世代の人間だったが…ある時一つの光明が刺したんだ。」


「第三世代と呼ばれる子供達が全国で発見される様になり、その子供達は第二世代と同様の力を産まれた時から持ち、またその力は第二世代をもはるかに凌ぐものだった。」


「そうして君たちのような子供が不可欠な存在になり、試験の解答用紙自体に細工が施され、日本中から第三世代の人間を集め教育し、各地に拡げ派遣するようになったのさ。


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