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因子

目隠しをされ、しばらく車に揺られていると両腕を掴まれ、冷んやりとしたものが貼られた感触がした。長谷部は健康診断のようなものだと言い、更に上着を上にたくし上げるよう指示をした。指示に従い医者を前にする時の様に上着を持ち上げる。

この時も冷たい何かの感触がした。

しばらくして、顔や首、身体、肌という肌に冷たい感触を残し、学園に着くまでの間外れない様あまり大きな動作をしないようにと注意をされた。


「さて、コレで君の生体データをコンピュータに読み込ませている所だからあまり大きな動作は控えるようにして欲しい。何か質問があったらドンドン聞いてくれ。」


初めに出会った時よりも少しフランクな感じがした。


「あ、イキナリ態度が変わったのが少し怪しかったか…。最初に紹介した通り第一級特別封鎖地区教育担当課 係長とは言うものの、殆どの仕事内容は君たちの寮の管理人が主なもんでね。副職として臨時教師もしているんだ。」

車内の様子を見ることは出来ないものの、

声だけは聞こえる状態だった。

軟化した態度には少し戸惑いを感じる。


「青桐学園の教師なんですか?」

何の?と続けようとした所で遮るように言葉を放つ。


「副職だよ、正規ではないし、あくまで寮の管理人だよ。彼らの様に壁を作りたく無いんだ。」


「何故君は青桐学園に呼ばれたと思う?」

突然の質問だった。


「何故って?そんなの試験に合格してしまったからでしょう!?一生指を刺されて生きて行かなきゃいけない様な落ちこぼれとしての!」


長谷部はため息をつき言った。


「そうだ、君は試験に合格してしまった。だがあの試験はダミーなんだ。試験の内容は一般教養や性格診断、心理テストを兼ねたものだが、解答の正解や不正解などの成績と今回の青桐学園入学とは一切関係無いんだ。むしろ君は優秀過ぎるほどだ。」


と話した辺りで薄っすらと模様の様なものが見え始めた。

何かを見て察知したのか長谷部は言う。


「もしかして君には今、模様の様なモノが見えているんじゃないかい?」



先ほどから帯の様な模様掛かった景色が広がっていた。

「何故分かるんですか!?」


「あとその模様には色が付いている。私の方を向いてごらん。」


長谷部の声がする場所をみる大量の模様に囲まれた赤い塊が見えた。


「赤くて凄く大量の模様?帯が見えてます。」

と言うと両脇の2人が反応する。


「そうだよ。今している目隠しを通すと力のある者は人の魂の色が見えるんだ。それも力が強ければ強いほどはっきりと明確にね。」


「力?何の力なんですか?」


「君は悪魔や神、妖怪や霊的なもの、超能力なんかを信じるかい?」


「その質問自体がナンセンスですよ。そんなものあるわけないじゃないですか、それとも僕にそんな力があるんですか?それならこの国を無茶苦茶にしてやりたい所ですよ!」


少しの間車内は沈黙に包まれたが、長谷部は話し始めた。


「先ずは先に解答しておこう。君には力がある。『悪魔の因子』と呼ばれるものがね。」


「悪魔の?」

聞き覚えのない言葉が出て困惑する。

長谷部は何時ものことだと言わんばかりに説明を続ける。


「ああ、そうだよ。悪魔の因子、その因子の力が爆発的に強くなるのが思春期の子供達なんだ。この国はね、今ある問題の解決を模索しているんだ。」


「問題の解決ですか?」

長谷部の言葉をそのままに質問をしていた。


「日本に住む人々に影響を及ぼすような事態が起きているんだ。今この瞬間にもね。政府は問題解決の政策の一貫として君たちの様な力を持つ子供を集める為に、あの試験を十数年前から行なって来たんだ。私もその悪魔の因子を持つ1人なんだよ。」


「その影響というのは何か危険な事なんですか?」


「うん、とても危険だ。このまま放っておくと世界の危機にまで発展してしまう事も考えられる。」


長谷部は少し間を置き言う。


「この問題を放置しておくと結果的に日本が悪魔で満たされる事になる、と言う事だよ。」


突然はなたれた答えに戸惑いながらも否定の言葉を返していた。


「悪魔がやってくるとでも言いたいんですか?さも当然のように言いますが、僕には何を言われているのかさっぱりわからないですよ。」


「いや、やってくるのでは無い。人間が悪魔になるんだ、変化すると言えば良いのかな。」


「そんな事があるわけない!キチンと答えて下さい!」

長谷部の答えにならない答えに怒りを感じていた。


「イキナリは信じることは出来ないかも知れないが、事の始まりから話そうじゃないか。」

声の主は事の顛末を説明をしていった。

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