確証
つい先ほど息子の遙からメールが届いた。奏に届いた物と同じものが郵便受けに入っていたと、目眩にも似た感覚に襲われる。夫だけで無く娘、そして今まさに、もう1人の息子さえも奪われようとしていた。呼吸が上手く出来ず苦しげな表情でその場に座り込み涙が流れそのまま意識を失い卒倒してしまっていた。
母には今しがた連絡を入れておいた。
卒業後直ぐに届くようなものが、コレだけ遅れて届くなんて手違いの可能性は高い、どのみち黙っていてもバレてしまう。ショックをなるべく和らげるよう先に伝えておいた方が良いと判断した。
さっきの男性職員が言っていたようにいまの時期になって知らせが来るのはおかしな話だった。
普通は卒業後数週間で結果が分かるハズであるし、入学の手続きや転居届けなんかをしないといけないし、高校だって通い出しているのだから…。
このまま何も無ければ良い。
ただそれだけのことだった。
しばらくして先ほどの男性職員が帰ってきた。
「いやぁ、またお待たせしてしまったね」
「いえ、大丈夫です」
先ほどと同じ様なやり取りをした。
「今確認を済ませたところなんだけどね、どうもここに書かれている内容には嘘偽りないようだよ。それと」
男は続けて言う。
「転居届けや在学証明書なんかは要らないらしい、もう君の学校やこの役所にも知らせてはあるみたいだし、転校届けも受理されているってさ。」
反射的に言った。
「ハ、ハハ…嘘ですよね」
「こんなの可笑しいですよ、僕の何処が反社会人なんですか!脱落者?落伍者?落ちこぼれだって?」
遮るように男は言う。
「夏目くん」
「信じられないのも無理は無い、君のような頭の良さそうな子供でも決まりは決まりだ。もっとも、家族や親類一同、血縁の者の殆どを犠牲にするつもりなのかい?」
男は冷ややかに言った。
その時、僕の転校は決まってしまった。