4話 ハンター登録
くっそ短いっすわ
宿から少し歩いた場所にある大きく立派な建物、そうハンターギルドである。
ザーパトのギルドもなかなかのものであったが、王都のは別格だ。
貴族の豪邸とかに匹敵するくらい大きなものである。
扉を開け中に入る。
「うわぁ・・・」
広いエントランスには人、人、人。
とにかく人があふれかえっていた。
受付には長蛇の列。ザーパトとはぜんぜん違う。活気に溢れ返った室内。
順番が回ってくるまで相当時間かかるな、コレ・・・
10分程待った後、俺達の順番が来た。
予想の3倍程回りが速かった。
ザーパトではよくある受付との会話が殆んど無いためだ。
「新規登録ですね、ではここに登録名とご職業を書いて、この魔法石に魔力を少量注いでください。代筆が必要な場合は仰ってくださいね」
「はい」
スラスラと書き込んでいくミルファ。
読み書きが出来る人はこの世界には少ない。
教養が受けられるのはほんの一部の人のみ。
その為、代筆なんてものがある。
ここまでスラスラ書けているのだ、ミルファは本当に相当な教養があるといえよう。
「ミルファ=エルグラン様ですねご職業は・・・奴隷?ですか」
「はい、ご主人様の奴隷です」
「えっと・・・奴隷の方をハンター登録するのですか?」
まずかったのか?
俺は奴隷の扱いがイマイチ理解できていない。
さっきもその事で怒られたしな・・・
今度しっかりその辺のことも学ばないといけないな。
「えーっと、ダメでしたか?」
「いえ、ダメっていうわけではないのですが・・・その、パーティーを組むと依頼の報酬が人数分に分割されてしまうんです。つまり、ミルファ様をハンター登録してしまいますと必然的に報酬がミルファ様の所有物となってしまうのです。例えそれが奴隷であってもです。」
なんだ、そんなことか・・・
俺にとって3つ星ハンター向けの依頼の報酬は多すぎるくらいであった。1度成功すれば1ヶ月は働かなくても宿を取りながら暮らしていける額だ。
月に何度も依頼を受ける俺は特に決まったお金の使い道も無くただ余っていくだけであった。
「あぁ、それなら構いません。登録を続けてください。」
「ご主人様!」
「ん?何ミルファさん。」
「普通、奴隷は登録しないようですしやめましょう登録。」
「ミルファさんはハンターになるのが夢だったんだろ?じゃあなろうよ?ほら後ろもつまっているんだからさ。」
「ですが・・・」
「じゃあ、命令。登録して!」
「・・・はい。」
「では、魔法石に魔力を少量でよいので注いでください。」
ミルファは石に手をかざす。
魔法石が淡く光る。
「はい、登録完了です。早速依頼を受注しますか?」
「いえ、今日は登録だけで。」
「わかりました。次の方どうぞ~」
「ありがとうございます!ハンターになれて・・・私・・・ほんとに・・・」
無事登録を済ませた後、俺達は宿へと戻ってきた。
「私は・・・本当に・・・本当に・・・私は・・・」
それからミルファはずっとこんな調子だ。
ハンターになれた嬉し泣きであろう。
こういう時どうすればいいんだろうか・・・?
「ミルファさん大丈夫だから泣き止んで・・・」
ベッドに座るミルファの頭を優しく撫でる。
「っく、・・・す、すびませ・・・」
「少しは落ち着いた?」
「はい・・・申し訳ございませんでした。」
「それはいいんだ、誰にだって泣きたい時はあると思うし・・・そんなにハンターになれて嬉しかったの?」
「それもそうですけど・・・それより、私はご主人様のような人に巡り会えて本当に、本当に良かったなって・・・」
嬉しいこと言ってくれるじゃないか。
まだ少し赤く腫れぼったい目にはもう涙は無く笑顔が浮かんでいた。
ご精読ありがとうございました(´∀`)
今回どうしてもここで区切りたかったので本当にみじかくなっております
次話なるべく早く更新します
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