表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/5

2話 奴隷との出会い

『目標』って皆あるか?

日本にいた俺には大学受験だけが目標でそれに受かった俺は目標というものが無くなっていた。

一見、目標が無いっていうのは気楽で良いものかもしれない。

でもさ、目標が無いとさこんなことを思ったりしちゃわない?


何の為に学校行っているんだろう・・・

何の為に働いているんだろう・・・

何の為に生きているんだろう・・・


俺は時々こんなことを考えたりしてた。

まぁ、そんなことを考えながら渋々学校にも毎日行っていたし、バイトもしっかりこなしていた。

それで満足していたし、なんだかんだいって楽しかった。

このまま何事も無く大学を卒業して二流企業、運がよければ一流企業に就職して一生を終える。

そんな感じになるんだろうなぁ・・・なんて勝手に想像してた。


でも今は違う。俺にはある目標ができた。

それは、『7つ星ハンターになる』ということ。

なんで俺がこの目標を持ったのか?まずはそこについて説明しようとおもう。





この世界には人と獣、大きく分けて2種の生物がいる。

人はヒューマン、エルフ、獣人の3種が主。

獣は小型種、中型種、大型種、超大型種の4種だ。

家畜と獣は違う扱いで獣は基本的に、人に害を齎すものを指す。

ハンターはそういった獣の討伐や商人の警護などを主に行う仕事である。

当然、獣との戦いや盗賊との戦うハンターは命に関わる仕事だ。その為、給料も高額だ。

駆け出しハンターだと一般的な農民とほぼ同じ額であるが、2流ハンターともなれば農民の10倍は軽いし、1流ともなれば1回の契約で一生遊んで暮らせる額を稼ぐことも可能である。

しかし、殆んどの人は駆け出しの3流止まりで終わる。それだけ危険な職業であるのだ。

俺は、アレンさんの家に居候させてもらいながら、危険なハンターをして1人立ちのためのお金を稼いだ。

戦う術はアレンさんとアッシュさんから学んだ。

彼らは元5つ星ハンターであった。

1つ星は駆け出し、2つ星で3流、3つ星で2流、4つ星だと1流、5つ星だと1流の中の1流、6つ星ともなると超大型種を1人で倒せるレベル、7つ星ともなると1国を敵に回しても余裕なレベルらしい。つまり2人は超1流のハンターであったのだ。

アレンさんは剣の、アッシュさんは魔法のエリートであった。

そんな2人に俺は1年を通してハンターの仕事を受けながら剣と魔法を教えてもらった。

どうやら俺は相当な戦闘センスがあるようで、1年で3つ星ハンターとなり1人立ちできるほどにお金も溜まった。

通貨はギルというもので1ギル1円換算と言う便利なもので助かった。

因みに現時点の所持金は1200万ギル程ある。

食料品などの物価も日本と殆んど変わらないしようであった。


話が脱線したが、俺が7つ星ハンターになろうと思い立った理由はアレンさんとアッシュさんにある。

2人は20代後半とまだ若い。まだまだ現役でやっていける年齢だ。

彼らは7つ星ハンターを目指していた。

その理由は7つ星ハンターの特権にある。

7つ星ハンターにしか読むことを許されていない本があるそうだ。

その本を読む為だけにアレンさんは7つ星を目指した。

しかし当然7つ星に近づくにつれて危険な依頼は増える。

アッシュさんを危険な目にあわせたくは無い、その思いがアレンさんの探究心を上回ったのだ。

その為、若くしてハンターを引退しこのザーパトの地でゆったりと過ごすことを決めたそうだ。


これが、新しい目標の理由である。

つまり、俺は7つ星になってこの本の内容をアレンさんに伝えようと考えている。

3つ星の俺には7つ星になるのがどれだけ大変なことであるかまだ想像もつかないが、1歩ずつこの目標に向かって進んでいきたいと思っている。





そして今、俺はここザーパトの地を出て王都へと向かっている。

ザーパトでも依頼はあるし、ハンターとしてやっていけるが依頼の数がやはり少ない。

そこで俺はこの世界一の発展都市、王都へと向かうことにしたのだ。

ザーパトから王都までは馬車で約4日程かかるそうだ。

そして今は3日目。

ただただひたすら座って外の風景を眺めている。

俺は、体力的に疲れは全くといっていいほど無いが精神的に限界を迎えていた。


「ひまっすねー」


もう何度目だろうか・・・

御者さんに話しかける。


あんちゃん、それ何回目だよ。何度も言ってるけど何も起きないっていうのはいいことだよ?この道は稀に獣も出たりするんだからさ。とにかく後1日の辛抱だ。」


まぁそうなんだけどね・・・

わかっていますよ、平和はいい事だ。うんうん・・・

と、その時であった。


ヒヒィィィィィーーーーーン


馬が鳴き、馬車が急停車したのだ。


「どうしたんすか?オヤッさん」


慌てて馬車から飛び降りる。


「獣だ!前の馬車が獣に襲われている!しかもロングホーンだ、早く馬車に戻れ引き返すぞ!」


ロングホーンとは凶暴な牛のような獣である。

大きさはほぼ大型といってもいいくらいだが中型となっており、大きい癖に素早い厄介な相手である。


「大丈夫っすよ、ちょっと俺行ってきますね。すぐ終わるんで少し待って下さい。」


「あっ、おっおいあんちゃん!危ねーマネはよせ!早く戻って来い!」


そんな御者の制止を振り切り俺は襲われている馬車に向かって駆け出す。

どうやらロングホーンは3匹のようだ。


「グラウンドウォール、バーナー」


グラウンドウォールは地面を盛り上げ壁を作る中級魔法。

バーナーはガスバーナーをイメージして作った火の応用魔法だ。


「よしっ!後1体。」


残ったロングホーンに飛び掛りながら腰にぶら下げていた片手剣を抜く。


ザシュザシュザシュ・・・ドサッ


「ふぅ、イッチョあがりっと・・・」


「助けていただき、ありがとうございました。」


襲われていた馬車の御者がお礼を言いに来る。


「いやいや、これくらい別にどうってこと無いですよ。」


これは見栄とかではなく事実だ。

俺は3つ星ハンターではあるが、使える魔法は5つ星ハンターのものである。

これくらいの獣なら瞬殺できて当然、それくらいのレベルだ。


「あ、お礼といってはなんですが私の商品を1つお分けいたしますよ。」


「商品?」


「えぇ、奴隷です。」





その言葉に俺は胸躍った。

そして頭の中に広がる妄想パラダイス。

あんなことやこんなことが・・・グフフでムフフな展開が・・・

なんてことも考えたが俺の目標はあくまで7つ星ハンターとなることだ。

戦えない奴隷など今は必要ないし、戦えたとしてもそれなりの戦闘力は欲しい。

それに2人になれば2人分の食事代、宿代を払わなくてばならなくなってしまう。

うん、ここはやめておこう。

すんごーーーーーく残念だけど、とーーーーーっても残念だけど、今はやめておこう。


「いえ、結構です。俺の理想の奴隷はいないと思いますから。」


「こう見えて意外と手広くやっているんですよ私、要望だけでも仰ってくださいよ。」


まぁダメモトで言ってみるか・・・


「獣との戦闘が3つ星ハンター位できて、教養があり、帰る場所が無い奴隷。こんな奴隷いないでしょう?」


「えっと、それならぴったりなのがありますよ。」


うんうんそうだろう・・・

そんな都合よくはね・・・


「あるんですか!?」


「はい、1つあります。」


少々お待ちくださいといって馬車のほうに向かっていく。


「これでございます。」


そこにつれてこられたのは栗色のつやのある髪の毛に淀みの無い茶色の瞳の女性。

整った顔に着ている物を見ても奴隷とは到底思わない。


「わ、私はミルファです。ミルファ=エルグラン、18です。どうか私をお買い求めください。」


・・・・・。

買うよ、買いますよ。

お金払ってでも買いますとも!

ナニコレ?こんなに凄いものなの奴隷って?

こんな小奇麗なかんじなの?


「買います!」


即答でした。


「では、契約に・・・」


奴隷商の男が契約をとか言い出した時だった。


「おい!ちょっと待て!ミルファをどこへ連れて行くきだ!」


「クラウド兄さん・・・」


ミルファに似た顔立ちのミルファのお兄さんが荷馬車から飛び降りてきた。


「コラッ!お前は呼んでいないだろう!戻れ!」


奴隷商が大声を上げる。


「お前!ミルファをどうする気だ!?」


「すみませんね・・・躾がなっていないもので・・・」


「いえ、構いませんよ。で、俺はどうすれば?」


「このまま契約を始めましょう。」


「ダメだと言っているだろう!」


「兄さん!やめて下さい。もう諦めましょう・・・」


・・・なんとも言えない。

罪悪感がハンパない。


「妹を買うなら俺を買え!雑用だって何だってやってやる!」


「・・・」


何も言えない・・・

てゆーかいらない・・・


「すみません、今すぐ下げますので」


「あ、その、お兄さんのほうはいくらですか?」


「お客様に働いた無礼をお許しいただけるのでしたら500万ギルでどうでしょうか?」


500万・・・

奴隷にしたら安いほうなのであろう。

しかし、俺からしたら大金である。


「・・・わかりました、それでお願いします。」


これはこれは思わぬ出費だ・・・


「それでは、契約に移ります。まずはあなたのありったけの魔力をこの首輪にこめてください。次に首輪を奴隷の首にかけてこの鍵で施錠してください。以上です。もし、奴隷をお売りになりたくなったり不要となり捨てるのでありましたらこの鍵で首輪をはずしてもらえればすぐに契約解除できます。」


しっかりと持っていてくださいね、と念を押され鍵を渡される。


「えっと、ありがとうございます。ご主人様。私だけでなく兄まで一緒に・・・」


「あぁ、いいよ別に・・・どうせここでお別れだしね・・・」


俺は買う買わないの間に色々考えた結果2人とも契約解除することにした。

500万ギルを溝に捨てるような使い方をしたが、まぁ人助けをしたということで・・・

許せないけど、まぁ仕方ないんだ・・・

はぁーーーーー

心の中で大きく溜息をつく。

正直ミルファだけならいいかなぁなんて考えていたが、兄貴付きだと価値が変わって来る。

どれだけの戦闘能力があるのかはわからないが、あまり期待しないものと考えて3人分の食事代、宿代は正直もったいないし、少し辛いものがある。


「ほら首輪貸して」


カチャリ、カチャリ


2人の首輪を外してやる。


「おい、ミルファ早く逃げるぞ!いつ気が変わるかわからないんだ!」


「・・・」


「ミルファ!早く行くぞ!」


「・・・私、この人に付いていくことにする」


「何考えてるんだよ!?ほら!」


クラウドがミルファの手を掴み引っ張る。

それでも断固として動こうとしない。


「・・・もう知らないからな!俺は逃げるぞ!」


そう言って、逃げ出すクラウド。


「逃げなくていいのか?」


「・・・」


その後ミルファは自分から外した首輪を自分の首につけ自分で施錠した。


「えっと、よろしくお願いしますね、ご主人様!」


そして満面の笑みで、そんな事を言い放ったのだ・・・

ご精読ありがとうございました(´∀`)

評価・感想、待ってます

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ