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5 境界の街


スィンザは、獲得物報酬を渡し終えたあと、追手門の所属確認を終えて、境界の街の中に帰って来た。


巨大防壁の内側には、殺伐とした黒い森とは違い、文化的な光景が広がっている。


暖色を中心にしたカラフルな石畳。

区画整理の行き届いた街並み。

頑丈そうな住居や、建造物。

人で賑わう商店。


上空を見上げると、飛行浮遊魔法を活用した、小型魔導運搬船が無数に往来していた。


この街の名は「ディアー・アントラーズ」。

名前の由来は、この街の初代領主の特徴から取ったものと言われている。


そして、この街の文化的な暮らしを支える莫大な富を生み出しているのは、バーモであった。


バーモは、人類にとって脅威である一方、その体の利用価値は非常に高い。


外皮は、加工することで強靭な防具や、道具に生まれ変わる。骨や、血液、筋繊維でさえ、加工して活用されている。

そして、バーモの動力源である「魔力製石」は、特に高い金額で取引されている。状態の良い魔力製石であれば、世界で最も価値のある石とよばれるほど重宝されていた。


バーモは第一等級(ファーストランク)から第七等級(セブンスランク)まで存在し、基本的に数字が大きくなるにつれて、体も魔力製石も巨大化する。(ただし、第六等級(シックスランク)と第七等級は、例外に該当する)


バーモの体が、これほど利用価値が高い理由は、彼らが生物ではなく、「魔力凝縮性物体」であるためである。バーモの全身は、魔力が凝縮された物質で作られており、生物よりも機械に近い。そのため「生物を模倣した魔力の塊」などと呼ばれることもある。


スィンザが着ている黒革の服も、バーモの皮や体を加工して作られた、クロースアーマーの一種である。この服鎧は、金属製防具に匹敵するほどの強度を誇る上に、布のように軽く、高い機動性を確保している。しかし、防具に宿る魔力の低下と共に、その性能は下がっていく。




その黒革の服鎧を着たスィンザは、街の大通りを進んでいた。


街の大通りは、いつも賑やかである。武器屋、防具屋、飲食店、魔法道具屋などが軒を連ねる。もはや商店街と言ってもいいのだが、この通りには正式な名前が付けられている。


この通りの名は、「ガーディアンズストリート」。


この通り沿いには、バーモと戦い、人の世界と魔物の世界の境界線を守る者たち「ボーダーガーディアンチーム」の拠点が存在する。


スィンザは、ガーディアンストリート沿いに立ち並ぶ建造物の中から、目的地である七階建ての建造物にたどり着いた。

建造物の正面には、一角の鹿の横顔と、二本角の牛の横顔のレリーフが飾られている。


そのレリーフの下には、「トライホーン」という文字が刻まれていた。


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