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4 獲得物報酬


時間は再び巻き戻り、受け入れ審査会から四年後。


巨大防壁の追手門付近には、いつも大勢の人間たちがいた。

青いフードマントを纏う集団。

これから黒い森に向かう、黒い服の集団。

そして、彼らをサポートする人々。


スィンザは、彼らの誰とも会話もしなければ、挨拶すらしなかった。

ただ一人で黙々と歩いて、目的の場所へ向かった。


追手門の付近には、黒い砂はなく、きれいな石畳が地面を覆っている。

この石畳は、人類が魔物の世界から、領地を奪い返した証明でもあった。


黒い森の中から帰還したスィンザは、自分が所属している組織の旗を探した。

その旗は、一角の鹿の横顔と、二本角の牛の横顔が描かれた黒い旗だった。


追手門前には、各組織の旗を掲げた、出店のような簡素な小屋が立ち並んでいた。


「よお、スィンザ。今日も無事だったみたいだな」

目的の旗の下に立っていた赤茶色の髪をした大男が、スィンザに声をかけた。


「はい。おかげさまで、今日も無事に帰って来られました。獲得物の査定をお願いします」

スィンザは、ウエストポーチを取り外し、それをそのまま男に手渡した。


「今回も大漁か?」

「いえ。数は少ないです。第二等級(セカンドランク)五体と、第三等級(サードランク)一体です。でもサードランクの方は、質がいいかもしれません」


男は、出店の巨大な銀色のトレイの上に、スィンザのポーチの中身を出した。

ポーチの収納魔法が解除され、数体の大きな蜥蜴のような魔物の死骸と、大蜥蜴の死骸が、トレイの上に広がった。


「お前が獲ってくるバーモの死骸は、どれも状態がすこぶる良くてよお、職人たちが大喜びしてるらしいぞ。……このサードランクなんて最高じゃねぇか。こりゃあいい防具になるぞ」


「『トライホーン』のためになれたのなら、よかったと思います。報酬は、いつも通りでお願いします」


スィンザは、男に手を伸ばし、空になったポーチを返してもらった。


「それでは、またよろしくお願いします」

スィンザは、頭を下げた後、足早にその場から立ち去ろうとした。


「まてよ、スィンザ。これ持って行けよ。リンゴの味がする飴だ。いつものやつより、うまいかどうかはわからんがなあ」

男は立ち去ろうとしたスィンザに、飴が入った可愛らしい袋を手渡した。


「……いつも、ありがとうございます」

スィンザは、再度頭を下げてから、その場から立ち去った。


♢♢♢


「ええ⁉ ガフィフさん、報酬渡し忘れてますよ⁉いいんスか⁉」

出店の中にいた、新人風の若者が、スィンザのあとを追おうとした。


「あの子は、あれでいいんだよ。何度言っても、どう言っても、誰が言っても、『獲得物報酬は、チームトライホーンに渡してくれ』と言って受け取らねぇんだよ。若けぇくせに、頑固なやつだ」


「ええっ⁉ これ最低でも五十万キール相当ですよね⁉ 報酬いらないくらい裕福なんスか⁉」

日給三万キールで働く若者は、信じられないと言わんばかりに両手で頭を抱えた。


「裕福? いや、それは違う。あの子は、むしろこの街一番の貧乏人だ。だが、金なんかじゃあの子の心は満せない。もっと人として大事なもんが、あの子には必要なんだよ」

獲得物査定士のガフィフは、スィンザが持ってきたバーモの死骸を、丁寧に保管箱の中に移した。


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