2 闘魔の刑
場所が変わり、そこは音楽ホールのような広い会場だった。
その会場には、およそ数百人以上の人間が集められていた。
その広い会場の中の備え付けの椅子に座っていた、一人の男が悪態をついた。
「十二歳の女の子が闘魔の刑とはねぇ……。どんな大犯罪やったんだ? 国王の暗殺未遂か? 毒薬使った大量殺人か?」
その男は、明るい色の茶髪を後ろで一つに縛っている髪型と高い身長が特徴的。年齢は三十代くらいにみえた。
「聞いたところによると、通っていた学校の校舎を爆破した罪に問われたようだ。それと、裏に第三翼王国の新興貴族とその娘が関わっているらしい」
茶髪の男の左隣に座っていた、壮年風の男がそう答えた。
その男の髪の色も茶髪であり、頭髪に茶色や黒い羽根が入り混じっている。髪型は、長めの髪をオールバックにしていた。
「校舎爆破罪と新興貴族サマね……。しかし、未成年で尚且つ、『超越戦力徴兵』にも引っかかってない子供に、闘魔の刑とはなぁ。クレイジー通り越して、ぶっ壊れてるぜ。司法も国も腐ってやがる」
一つ縛りの男の右隣に座っていた、薄茶色と黒が入り混じったような派手な髪色の男に至っては、不機嫌な様子を隠しもしなかった。
この三人の男たちは、今回闘魔の刑を科された少女と、同世代の息子や、娘を持つ父親でもあった。
「無理を言ってすまなかった。グラゼル、フィズド。闘魔の刑を科されたあの子は、私の友人であり、恩人の娘なんだ。私自身もあの子に、何回か会ったことがある。どうにかして『トライホーン』で預かれないだろうか? 彼女の面倒なら、私が全て受け持つ。だから頼む、この通りだ」
オールバックの男は、一つ結びの男「グラゼルターカ」と、その隣に座る派手な髪色の男「フィズド」に向かって頭を深く下げた。
「……いつも寡黙なバリゼさんが、こんな胸糞悪い場所に来てくれっていうから何事かと思ったが、こういう事情なら仕方ねぇよな。この『会場』に入れるのは、ある程度の実績を認められた『ボーダーガーディアンチーム』とそのリーダー級の人間だけ。つまり、リーダーのグラゼルと、副リーダーの俺じゃなきゃいけなかったわけだ」
フィズドが納得したように頷いた。
「二人共、もう始まるぞ」
グラゼルターカは、そう言ってホールの舞台上を指さした。
車輪付きの椅子に縛り付けられた灰色の髪の少女が、舞台の中央に運ばれている様子が見えた。
やがてこの審査会の始まりを告げるアナウンスが、拡声魔法によって会場に響いた。




