1 焼き付けられた罪印
今から約四年前。鳥天繋第三翼王国にて。
当時十二歳だったスィンザは、簡素な造りのねずみ色の服を着させられていた。
涙を流し、怯えた様子で椅子に座っていた。
スィンザがいたその部屋は、窓の無い、薄暗く不気味な場所。
周囲には軍服のようなスーツを着た、二人の男たちが、彼女を挟むようにして立っている。
「まさかこんな子供に、罪印を入れなければならない日が来るとは、思わなかったな」
男の一人が、声を発した。
スィンザは、薄暗い上に、ずっと泣いていたせいで、その男がどんな表情をしていたのか、まったくわからなかった。
「やめましょう。この会話も残りますよ」
「思わず口から出てしまったよ。だが、こんな仕事が続くなら、閑職に追いやられても後悔はない」
男のため息が、同情によるものであると、その場にいた誰もが理解できた。
「……もう我々には、どうすることもできません」
「そうだな。悪かった」
スィンザは、二人の会話が終わったと同時に、室内の空気が変わったことを感じ取った。
男の一人は、スィンザに近づいて跪き、その右手を優しく掴んだ。
「では、事前の打ち合わせ通り、額ではなく右手の甲に罪印を入れます」
「ああ。いくら何でも顔は可哀そうだからな」
もう一人の男は、スィンザの背後に回り、布製の猿轡を噛ませた。
「うぅう⁉ うぅぅぅぅ!」
突然口を塞がれた、スィンザは驚いて暴れたが、大人の男二人には勝てず、簡単に抑え込まれてしまった。
「すまないな。すぐ終わるから、我慢してくれ」
「うぅ! ゔっゔぅぅぅぅぅ!」
スィンザの右手の甲に、今まで経験したこともないような激痛が走った。
熱した鉄を押し付けられているかのような痛みと、肉を焼かれた際の嫌な臭いが脳裏に焼き付つく。スィンザは、痛みで全身が痙攣し、手の甲に穴が開いたかのような感覚に陥った。




