プロローグ1 黒い森を行く
以前投稿させていただいた「灰の翼のスィンザ」の自主改訂版です。
主にストーリー構成、ストーリー上の時間経過、主人公や登場キャラクターの経歴、一部キャラクターの設定の変更などを行いました。
その場所は、黒い色をした枯れ木のようなものが果てしなく林立する異様な場所だった。
足元には、黒い砂が砂漠のように果てしなく広がる。
黒い枯れ木の他には、植物も生えていなければ、人工物らしき物も見当たらない。
この異様な森のような場所からは、何の匂いも感じられない。
黒い木も、地面の黒い砂地も、何の匂いも放っていない。
木の香りもなければ、生物の匂いや、埃臭ささえもない。
この森には、生き物の気配もなければ、鳥のさえずりさえも、虫の鳴き声も聞こえてこない。
そこにはただ一人の少女が、黒い砂を踏みつけて、歩いて進む音だけがあった。
ただ、そのわずかな音でさえも、黒い世界に溶けて混ざり合うように、静寂になって消えていく。
黒い森の中を歩く、灰色の長い髪の少女は、不意に足を止めた。
そして息を吸うような自然な動作で、手に持っていた刀の鯉口を切った。
黒い木の影から、黒く大きな何かが現れたのだ。
その者の声は、黒い森の静寂を終わらせた。
「人間よ、お前は何を求める……」
影が動き出したかのような黒一色の魔物が、人の言葉で、少女に語りかけてきた。
その魔物は、二足歩行する人と同じくらいの大きさの大蜥蜴だった。
その体は、地面の黒い砂地よりも濃い黒色をしている。保護色を活用したその姿は、一瞬でも目を離せば見つけられなくなってしまうだろう。
「私は……」
灰色の髪の少女は、刀の鞘を手に持ったままの変則的な居合の構えを見せた。
その少女は、灰色の長くしなやかな髪をしている。
その頭髪には、髪に混ざるように生えている灰色の鳥の羽根があった。その羽根は、飾りなどではなく、頭皮から直接生えていた。
灰色の髪の隙間から見えた彼女の耳には、複数のピアスがついており、中でも耳たぶにつけられた白い羽根のピアスが存在感を放っている。
服装は黒革のジャケットと、同じ素材のロングスカート。靴も黒革のロングブーツを履いている。
身長は、女性にしては高い。
さらにその体は細身でありながら、引き締まったものであることが、体軸の整った居合の構えから推察できた。
「……私は、あなたの死と、自分の死に場所を求める」




