無知は…
ある刑務所がありました。 その刑務所は他と少し違い投獄中の囚人達に写本をさせていました。本は本来高価な物だったので刑務所は沢山の本を作らせて売り、儲けを出そうとしました。しかし人手がたりなかったので普段はすぐ処刑されるはずの死刑囚達も本を出版するため写本の作業をさせられていました。
そこにその国の王様が身分を隠して刑務所に見学にやってきました。 王様は清掃員に変装して写本の作業を見学していました。 するとある1人の死刑囚の男が声をかけてきました。
男 「こんにちは、見ない顔ですね」
王様「今日からこちらで働きます。よろしくお願いします。ところで…あなたはすごく生き生きとしていますね。他の囚人の皆さんはどうやら絶望した表情で。生きているのか死んでいるのかわかりません…しかし、あなたは違う。 何故です? 」
すると男はニカっと笑って言いました。
男 「それはですね!!この写本の作業が楽しくて楽しくて仕方がないのですよ!! 実は私はスラムで生まれ育ってきたのでまともな教育を受けずに育ってきました。 しかし、写本の作業をしていると自然と本を読む機会があります。本は私に足りなかったもの…教わってこなかったもの…世界が広がっている気がします!!素晴らしいです!!今写しているこの本とか難しいくてよくわからないですけど… 」
男は照れ臭そうに頭を掻くと作業に戻っていきました。 男が写本しているのは別の国の活版印刷技術を伝える内容のものでした。
その技術はやがて本になり出版され広まっていきました。
しばらくすると活版印刷は浸透し、大量の本が出回るようになりました。 もう囚人達に写本させずとも大量の本が作れるようになりました。 そうしてもう役目が終わり不必要となった死刑囚達は処刑されました。
ある朝、大広間に処刑された者達の頭が机の上に置かれて見せ物とされていました。
机の上にならべられた無数の囚人の頭はどれも絶望したような諦めたような表情でした。しかし、1人だけ笑っている男の頭がありました
王様は机の上の笑顔の頭を一瞬だけ見たあと
王様「無知は罪か… 」
誰にも聞こえないような声で独り言を言いました。
王様は静かにその場を去り、行きつけの本屋へと向かいました。
考察待ってます。




