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ダンジョン攻略

「いくぞ、真白!とってこい!」

「グアァァァァァァァァァァ!!」


 とある公園で俺は、使い魔と遊んでいた。

 俺は力強くフリスビーを投げ飛ばすと、小さな白い恐竜―――真白が走り出す。

 真白は大きな二本足でジャンプし、フリスビーを口でキャッチする。

 フリスビーを咥えて持ってきた真白の頭を、俺は優しく撫でる。


「よしよし、いい子だ~」

「グア~」


 嬉しそうに目を細める真白。

 どうやら撫でられるのが好きみたいだ。

 本当、可愛いな~。


 真白と聖霊契約してから一ヶ月は経った。

 この一ヶ月で分かったのは真白は俺のことを気に入っていて、雌だということぐらい。

 だがこんお一ヶ月で俺と真白の絆は深まった。

 そろそろ言ってもいいだろう。


「真白。お前に言わなくちゃあいけないことがある」

「グア?」

「俺は……強くなりたい。この世界で生き残りたい。だから頼む……お前の力が必要だ。協力してくれ」


 この世界で生き残るには、聖霊の協力は必要不可欠。

 聖霊は人間の言葉が理解できる。

 だから俺の言葉も理解できるはず。


「グア!」


 真白は力強く頷いた。


「ありがとう。真白」


 俺は聖霊の頭を優しく撫でた。


「さて……早速、行くか」

「グア?」

「ん?どこに行くのかって?それはもちろん強くなることができる場所―――」




「ダンジョンだ」


<><><><>


 ダンジョン。

 ファンタジーゲームの定番であり、オタクなら知らない者はいない。

 ダンジョンには強力なモンスターが住み付いており、罠もある。

 だがダンジョンの奥には宝が眠っている。


 そしてこの世界—――『女神使いの復讐者』にもダンジョンは存在する。

 ダンジョンは自然に発生するもので、街のあちこちにあるのだ。

 ただ……クリアできるかどうかは話は別。

 ダンジョンの宝を守るモンスターたちは強く、そう簡単にクリアはできない。

 事実、ダンジョンクリアできたのはゲーム主人公とその仲間以外でわずか二人。

 それぐらいこの世界のダンジョンは難しいのだ。


 だが、『女神使いの復讐者』を何十回もやりまくった俺なら話は別だ。


「というわけでやってきました、ダンジョン!」

「グアァ!」


 俺達は山の奥にある白い大きな扉の前にやってきた。

 その白い扉こそダンジョンの入り口。

 今日、やってきたの無属性ダンジョン。

 まぁ無属性の適性しかない俺は、無属性ダンジョンしか行けないんだよね。

 ダンジョンには属性があり、その属性の適性がある者しか入れないし。


「さて……行くぞ、真白!」

「グアァ!」


 俺は真白と共に白い扉を開け、奥に進んだ。


「これは……」


 最初に目に映ったのは、狭い白い部屋。

 床にはルービックキューブが置かれていた。


「やっぱり……ゲーム通り、無属性ダンジョンはこんな感じか」


 ダンジョンは魔法士が戦闘訓練場所として利用されている。

 ダンジョンクリアは出来なくとも、モンスターが無限に出てくるダンジョンは戦闘訓練する場所としてはうってつけ。

 だが無属性ダンジョンは別。

 基本はダンスゲームだったり、音ゲーだったり、間違い探しだったりする。

 そして難易度がクソ高い。

 まだダンジョンのモンスターと戦った方がマシというぐらい難しいのだ。

 実際、『女神使いの復讐者』のゲームプレイヤーは無属性ダンジョン攻略が難しすぎて、ゲーム機を投げ飛ばす事件が多く発生した。


 だが……俺は知っている。

 無属性ダンジョンの宝は他のダンジョンの宝より、価値があると。

 なぜなら俺は……無属性ダンジョンを含めた全てのダンジョンを攻略したから。

 徹夜しまくってクリアした俺に、クリアできないダンジョンはない!


「腕が鳴るな~」


 指をポキポキと鳴らした後、ルービックキューブを拾った。

 すると壁に『2分00秒』という文字が現れ、一秒ずつ減り始める。

 それを見て俺は……笑った。


「オタクを舐めるな」


 俺は素早く指を動かし、ルービックキューブを全面揃える。

 かかった時間は……一分。

 フッ、余裕だな。

 前世で死ぬほど鍛えて正解だった。


『無属性ダンジョン『白遊(はくゆう)』。攻略成功』


 部屋の中で女性の声が響いた直後、なにもない空間から金属の箱が現れる。

 俺は心の中で「なにが入ってるかな~♪」とワクワクしながら、箱を開けた。

 箱に入っていたのは、飴玉ぐらいの大きさの白い石。


「よし!スキル石、ゲット!」


 スキル石。

 それは体内に取り込むことで、スキルという特殊な力を手に入れることができる。

 強くなるために必要なアイテム。


「やっぱり無属性ダンジョンはスキル石があるからいいよな~」


 そう。

 無属性ダンジョンの特徴は、スキル石などのアイテムがあること。

 他のダンジョンではクリアすると、金貨だったり希少な宝石だったりする。

 ゲームではその金貨と宝石を売って、すごい魔法の本を買ったり、魔法士の武器である杖や戦闘服を買う。

 だが無属性ダンジョンではスキル石が手に入る。

 スキルは一つあるだけでも、キャラクターを強くするのだ。

 まぁ俺が『女神使いの復讐者』の初心者の時はそれを知らなくて、めちゃくちゃ後悔した。


「まぁいい。これで俺は強くなれる」


 俺はスキル石を口に入れ、ゴクンと呑み込んだ。

 すると俺の身体が一瞬だけ白く光る。

 頭の中に獲得したスキル名とスキルの能力が浮かび上がった。


「スキル〈超加速〉……早く動ける魔法か。うん、いいスキルだ」


 ノーマルスキルではあるが、とても使える。

 運がいい。

 そう思っていると、俺と真白は外へと瞬間移動した。

 そして俺たちの目の前にあった白い扉が粒子となって消滅する。

 ダンジョンは一度クリアすると消えるようになっているのだ。


「よし、真白。このまま他のダンジョンをクリアしよう!」

「グア!」


 その後、俺達はいくつもの無属性ダンジョンに向かった。

 間違い探し、リズムゲーム、ダンスゲーム、カラオケなどなど。

 ダンジョンにしてはおかしく、だけどめちゃくちゃ難しい試練を……俺は突破。

 そして五つのスキルを手に入れた。


「身体を硬くする〈硬化〉、集中力を強化する〈超集中〉、筋力を強化する〈筋力増強〉、考える速さを速くする〈思考加速〉。そして……常に冷静に考え、理性を失わない〈冷静沈着〉。うん……いいスキルたちだ」


 今日はいいスキルが多く手に入った。

 特に〈冷静沈着〉は最高だ。

 真白と聖霊契約している俺には丁度いい。


「さて、そろそろ帰ろうか。真白」

「グア!」


 俺は真白と共に、夕陽に照らされた道を歩いたのだった。

 今日の夕食は何かな~。


<><><><>


 日本の上空に浮かぶ、巨大都市『魔塔(まとう)

 それは多くのビルが建ち並び、都市の中心には巨大な塔があった。

 その塔の会議室で、多くの魔法士や地位の高い者達が騒いでいる。


「おい、聞いたか?」

「ああ……ダンジョンを攻略した者が現れたらしい。しかもあの無属性を」

「マジかよ!?あのイカれたダンジョンを!?」


 多くの者達が騒いでいると、なにもない空間から一人の少年が現れた。

 その少年は幼い顔立ちをしており、短い白い髪を伸ばし、両目に白い瞳を宿している。

 とても神秘的な少年は高級そうなローブを纏っており、右手には長い白い杖が握られていた。

 会議室は静かになり、誰もが少年に頭を下げる。


「顔を上げていいよ」

 

 そう言って少年は豪華で、大きな椅子に座った。


「さて、君たちを呼んだのは他でもない。……ダンジョンの攻略者が現れた。それも攻略したのは無属性ダンジョン」


 少年の言葉を聞いて、多くの者はざわつき始める。


「ここにいる者は知っていると思うが、無属性ダンジョンはダンジョンの中でおかしく、そして最も危険だ。なぜなら攻略に失敗すると……寿命が半分に減る」


 少年の言葉に多くの者は息を呑む。


「寿命を元に戻すには無属性ダンジョンを攻略するしかない。本当はそんな危険なダンジョン、今すぐに立ち入り禁止にしたいところだが、そういうわけにはいかない。なぜだが分かるか?」


 少年の問いに、一人の女性の魔法士が答える。


「立ち入り禁止にしようとした者達は全員、死んだからです」

「その通りだ。だから放置してきた。それに無属性はあくまで生活に役立つだけのものと考えられてきたから、今まで無属性ダンジョンを攻略しようとする者はいなかった。だが……その無属性ダンジョンが攻略された。それも六つも」


 少年の言葉に誰もが驚愕する。

 嘘だ。

 信じられない。

 そんな言葉が多くの者達の口から出た。


「しかも攻略したのは五歳になったばかりの少年だ」

「「「!?」」」

「少年の名前は不乱夜一。どこにでもいる農家で生まれた平凡な子供。契約聖霊はホワイトレックスだ」


 少年は椅子から立ち上がり、目を細める。


「さて……これがどれだけ異常か分かるかね?」

「「「……」」」

「今すぐにでもその少年に監視が必要だ。異論は?」


 多くの者達は何も言わず、ただ……頭を下げた。


「不乱夜一……君がどんな子か、見定めさせてもらうよ」


 魔法士のトップにして、数百年は生きている白髪の少年—――ルリー・アルリアリーは小さく微笑んだ。


<><><><>


「へっしゅ!」


 家族と夕食を食べていた俺は、くしゃみをした。


「大丈夫?風邪?」

「いや……大丈夫だよ、お父ちゃん」


 なんだろう。

 誰かに噂されたような……。

 気のせいか?

 読んでくれてありがとうございます。

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