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オープニング:テーマ「ルッキズム」

(スタジオ。明るい照明が、中央に立つ司会のあすかと、コの字型に配置されたテーブルに着席する4人の対談者を照らし出す。背景には大きく「歴史バトルロワイヤル」のロゴ。厳かながらも、これから何かが始まる期待感を煽るテーマ曲が流れ、フェードアウトしていく)


あすか:(カメラに向かって、満面の笑みで)

「皆さま、ようこそ!時空を超えた魂たちの語らいの場、『歴史バトルロワイヤル』へ!今宵も、歴史に名を刻んだ強者つわものたちが、現代に蘇り、熱い議論を繰り広げます。わたくし、この摩訶不思議な舞台への案内人、あすかがお届けいたします。」

(お辞儀をし、スタジオの対談者たちへ向き直る)

「さあ、今宵も錚々たる顔ぶれが、このスタジオに集結してくださいました。少し、緊張しますね…」

(と言いつつ、楽しそうな表情)


あすか:「さて、今夜皆さんと共に考えたいテーマは…こちらです!」

(あすかが指差すと、スタジオのモニターに【ルッキズムを考える~見た目は人を語るのか?~】という文字が映し出される)

「『ルッキズム』。…あまり聞き慣れない言葉かもしれませんね。これは、人の価値や能力を、その『見た目』、つまり外見で判断してしまうこと、あるいはそれに基づく偏見や差別のことを指します。…なんて説明すると、少し硬いでしょうか?」

(少し首を傾げ、柔らかい表情で続ける)

「例えば…美しい人を見ると、なんだか性格まで良く見えたり。逆に、ちょっと個性的…いえ、社会の基準から外れた見た目の人を、理由なく敬遠してしまったり。…心当たり、ありませんか?」

「美しさは力なのか、それとも私たちを惑わす呪いなのか?見た目というフィルターを通して、私たちは何を見ているのでしょう?今宵は、この根深く、そして誰もが無関係ではいられない問題について、歴史の証人たちと共に、深く掘り下げていきたいと思います。」


あすか:「それでは、早速、今宵このスタジオにお越しいただいた、偉大なる魂たちをご紹介いたしましょう!」

(スポットライトがまずクレオパトラに当たる。彼女は優雅に、しかしどこか値踏みするような視線で他の対談者を見ている)

「まずはこの方!古代エジプト、プトレマイオス朝最後の女王にして、その美貌と知性でカエサル、アントニウスというローマの英雄たちを翻弄し、歴史を大きく動かした…クレオパトラ7世様です!」


クレオパトラ:(軽く会釈し、艶然と微笑む)

「ふふ…ご紹介にあずかりました、クレオパトラですわ。このような不思議な場にお招きいただき、光栄ですこと。…それにしても、随分と変わった装いの方々がいらっしゃるのね。」

(特にフリーダの服装や、ソクラテスの質素な衣服に目を留める)


あすか:(苦笑しつつ)

「は、はは…時代も文化も様々ですから。…さあ、お次は!」

(スポットライトがソクラテスへ。彼は腕を組み、眉間に皺を寄せ、やや不機嫌そうにしている)

「古代ギリシャ、アテナイの哲学者。富や名声、そして外見といった外面的なものには目もくれず、『問答法』を通じて”善く生きること”を探求し続け、『無知の知』を説いた…偉大なる魂の探求者、ソクラテス先生です!」


ソクラテス:(むっつりとした表情で、あすかを睨むように)

「ふん、”先生”などと呼ぶな。わしは何も知らぬ、ただそれを知っておるだけの男じゃ。それにしても…このようなキラキラと飾り立てた場所で、何を語れと言うのかね?魂の真理は、市場の喧騒の中にこそあるというのに。」

(明らかに居心地が悪そうだ)


あすか:(内心冷や汗をかきながらも笑顔で)

「先生、ここでは言葉の市場を開きましょう!きっと、先生の知恵が光るはずです。…さて、続きまして!」

(スポットライトがオスカー・ワイルドへ。彼は指先で口髭を捻り、面白そうに周囲を観察している)

「19世紀、ヴィクトリア朝のロンドンに彗星の如く現れた、アイルランド出身の作家、詩人、そして劇作家!『芸術のための芸術』を唱え、唯美主義を体現した稀代のダンディ…オスカー・ワイルドさんです!」


オスカー・ワイルド:(芝居がかった仕草で立ち上がり、優雅にお辞儀をする)

「やあ、皆さん。オスカー・ワイルドです。退屈な現実から、こうして輝かしい…かどうかはこれからのお楽しみですが、舞台へお招きいただき、感謝しますよ。なにしろ、『人生で大切なのは、スタイルだけだ』。この言葉の意味を、今宵、皆さんと探求できるのなら、これ以上の喜びはありませんね。」

(ソクラテスの方を見て、意味ありげに微笑む)


ソクラテス:(ワイルドの言葉に、鼻を鳴らす)

「スタイル、じゃと?見かけばかり飾り立てて、中身の伴わぬ者の戯言じゃな。」


オスカー・ワイルド:(楽しそうに肩をすくめる)

「おやおや、哲学者先生は手厳しい。ですがね、”退屈であることこそ、唯一の罪”なのですよ?」


あすか:(慌てて割って入る)

「わわっ、もう火花が!…こ、これからですから、お二人とも!さあ、そして最後にご紹介するのは…!」

(スポットライトがフリーダ・カーロへ。彼女は背筋を伸ばし、強い意志を感じさせる瞳で、まっすぐに前を見据えている)

「20世紀メキシコ、激動の時代を生きた情熱の画家!自身の経験した事故の後遺症や、愛憎渦巻く人間関係、そして揺るぎない民族の誇りを、鮮烈な自画像を通して表現し続けた…フリーダ・カーロさんです!」


フリーダ・カーロ:(静かに、しかし力強い声で)

「フリーダよ。…そうね、私は描き続けた。見た目だけじゃない、私の痛みも、怒りも、愛も…この身体に刻まれた、私の全てをね。綺麗ごとだけの美しさなんて、私には分からない。真実こそが、私にとっての価値なの。」

(その言葉は、特にクレオパトラとワイルドに向けられているように聞こえる)


あすか:(息をのみ、場の空気を感じ取る)

「…ありがとうございます。まさに、それぞれの時代と哲学を背負った、強烈な個性をお持ちの方々です。」

(改めて全員を見渡し、進行役としての表情に戻る)

「さて、皆さまには今、ご紹介と共に、今宵のテーマ『ルッキズム』、つまり人が見た目で判断されるということについて、ほんの少しだけ、そのお考えの端緒を伺いました。」

「クレオパトラ様は、見た目を『力』だと断言されました。ソクラテス先生は、それを『愚か』だと一蹴。ワイルドさんは、その『楽しみと浅はかさ』を指摘され、フリーダさんは、『痛みと真実』を語ってくださいましたね。」


あすか:「まさに、四者四様。この時点で、すでに議論の熱気が伝わってくるようです!」

(少し身を乗り出して)

「それでは、ここから本格的な討論に入ってまいりましょう!まず最初のラウンドでは、この問題の根幹に迫りたいと思います。果たして、『美貌は力なのか、それとも虚像なのか?』…皆さまのお考えを、さらに詳しくお聞かせください!」


(あすかの言葉を合図に、最初のラウンドへ入ることを示す効果音、あるいは照明の変化)

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