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この世界のどこにもいない、どこかにいる僕の日記

作者: たいぞう

この部屋の外に出たくない


この一言が今のところの僕そのものだ。


学校を辞めたのは自分の親のようになりたくなかったから


毎日朝に出勤して夕方から夜に帰るだけの日々を繰り返す。

日常の節々で彼らは笑わない。

何かに縛られ、逃げることが出来ずにいる。

時折我慢ができないというふうに子供に当たる。

これが僕にとっての社会人だった。


学校に通うことが楽しくて仕方がなかった。

放課後に毎日習い事に行って休日の空いた時間に友達と遊んで発散する日々、それよりも望むものは何も無かった。


でもいつか大人にならないといけないという思いが常に頭の中にあった。


小学校を卒業した時は安全な揺籃から放り出されたような気分で周りの言うめでたい卒業という感覚に一切の共感ができなかった。

中学に入ると定期テストやその他つまらないことを真面目にやる風潮が増えた。

僕は大人にされてしまうんだと思った。

時間が過ぎて学年が上がるごとに苦痛も増えて学校に行くことが嫌になっていった。


早朝の電車は毎朝満席でほぼ全員が寝てる。

顔には「疲れた」「もう許してくれ」なんて書いてある。

やっぱりそうなんだ、と思った。

どこか自分は家庭的な事情に影響を受けすぎた視野の狭い人間なんだと疑うことがあったけど、やっぱり自分は間違ってなかったんじゃないかと思うようになった。


中学の頃、スマホを持っていなかったので同級生とは一切連絡をとっておらず、高校では馴染めずに友達がいなかった。

周囲との価値観のズレを知っていながら知らない同級生と打ち解けるなんて器用な真似がどうしてもできなかった。

不器用な自分を責めた。

どうしたって大人にならなくちゃいけない、だとしても学校には行きたかった。

1人が寂しかった。

学校では1人、スマホを開いても友達はいない。


高校を辞めた時は親から相当に恨まれた。

祖母や弟からしたらある程度他人事で、頭がおかしい人として暴言を吐いたり学校に行かないことを茶化すような真似をされた。


部屋の外には僕を心配してるのか、それにしてはどこか必死すぎる母親が皿を割ったりドアを殴ったりする。

その音を聞いて迷惑だと顔をしかめる弟がいる。

僕の顔を見れば暴言を吐く祖母がいる。

自室から出られなかった。

ずっと部屋のドアに棚を置いて布団の中にこもってイヤホンをしていた。


唯一続いていたバイトに同級生が入ってきて

そこから僕の現状が噂として流れた。

嗅ぎつけた親にまたストレスをぶつけられ、弟の同級生が僕の噂をしていたという弟の過去の発言なども重なり外に出ることが怖くなった。


数年引きこもった。

ただ部屋から出るのが怖いという理由だけで

孤独や楽しくない、暗い、つまらない

いろんな感情があった。

けどそのどれもを恐怖が上回ってしまった。

10代の後半のほぼ全てを、僕は何もせず時間という概念すらなくただ恐怖から逃げるだけのことをしていた。


親が憎い。

毎日出勤して時折子供に当たりながら、それでも健気に子育てを頑張っている、と言うよりは自分の思い通りに物事を進行させることに必死なように見えた。

子供に一切の意見を許さずに、やらせることにほぼ全ての時間を使わせ、禁止することはあまりに多く親がやれといったことだけをやる毎日。

とても家にはいられず、空いた時間に外に出ることすら母と祖母は不満に感じていたようだった。

この必死の子育てに似た何かに自分を無視されることに、僕は時間が経つごとに耐えきれなくなり、大人になることへの絶望感と重なって追い詰められていった苦しさを鮮明に覚えている。

その大人になることへの絶望感も親からの影響が大きい。

それが僕が学校に行かなくなった時にあれだけ僕に当たるんだ。

それにあくまで良識の範囲で怒っているという親の自覚が気持ち悪かった。

心の奥底では自分の努力や計画を水の泡にした僕を憎んでいるからこその感情を隠しながら、あくまで子供の将来を心配する親として振る舞うくせに時折見せる本音もそもそもそうやって嘘で塗り固める理由も僕が小さな頃から変わっていない。

見ていて気持ちが悪い、自分の相談相手のママ友に対してまともなLINEが送れるように変な事実を作らないようにしていて、尚且つ自分でも自分のことをまともな母親だと思っていたい。

気持ち悪いんだよ

全部本音を言ってしまえ

俺を殴ってみろ

そのまま俺をぶっ殺してみろ


こんな家に生まれたくなかった。

この親の元に生まれてきて本当に不幸だった。

何してから死のうかな

そんなつまらないことを考えるようになってまた何年も時間が過ぎて、やっと親からも触れられなくなった。本当に災害のようだなと思う。

僕は何から逃げているんだろうとふと同窓会に顔を出してみて、自分が逃げていた物は僕を襲うことは無い、ということも理解した。

それでも外に出たくない


僕はなにがしたいわけ?

自分のために何か出来ることは無いかと考えてもやってみても苦しいことしか浮かばない。

もう死にたいのかな

何もやる気ないんでしょ

でも死にたいわけがない。


でもやっぱり生きることをやってみても苦しくて全ての道が絶たれたように思える。

もう出来れば理解のない無責任な癖に口だけ開く人間をできるだけ巻き込んでさよならしたい。

自分の本音を「言わない」からだと簡単に言われる

お前みたいなやつがって僕に手を差し伸べた人に対して思ってしまう。

もう僕みたいな人間は誰にも迷惑のかからないひとりで肉体労働でもする仕事に就いて生きていくしかないのではと思う。

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