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(完結保証)全年齢版【絶対俺だけ王様ゲーム】幼馴染み美少女達と男俺1人で始まった王様ゲームがナニかおかしい。ドンドンNGがなくなっていく彼女達とひたすら楽しい事する話(意味深)  作者: かくろう
特別編 夢を勝ち取る冬(全5回)

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80/129

幕間5/5 夢を勝ち取った日

 全国制覇を何度も成し遂げてきた名門・西京学院。そのユニフォームがコートに並んだ瞬間、会場の空気がピリッと変わる。

「いよいよ来たな……」

 相手のセンターは2メートルを超える巨体。ガードも切れ味鋭い。まさに“王者”の名にふさわしい布陣だ。


 俺はチームメイトと円陣を組む。

「勝てるかじゃない。勝つんだ」

 声に出すと、不思議と不安が消えていく。仲間の目が同じ方向を向いている。それが心強かった。



 試合開始直後から、相手のディフェンスは鉄壁だった。

 俺がボールを持つとすぐ二人、三人が寄せてくる。シュートコースは潰され、無理に放てばブロック。

(さすが西京……!)




 だが、ここからが俺達の持ち味だ。

「いけ!」

 引きつけた瞬間に味方へパス。シューターがスリーを沈める。

 次は逆に俺がカットインしてゴール下へ。相手のファウルを誘ってフリースローを獲得。

 点差は開かない。互角。


 観客席からは三人の声。

「れー君! 強気でいけるっ♡」杏奈の声は鋭く背中を押す。

「れーじくん、呼吸を整えてねぇ~♡」ふわりの声は波みたいに落ち着きをくれる。

「レージ君、次は“速攻”が狙えます!」鈴音の分析はまさに戦術ノート。


 前半終了。スコアは同点。息は切れているけど、不思議と心は静かだった。


 第3クォーター。相手の高さに押され、リバウンドを奪えない。じわじわ点差が広がっていく。

(ここで崩れるわけには……!)


 仲間が声を張る。

「零士先輩、まだ走れます!」

「任せろ!」

 身体は悲鳴を上げているのに、声に応えたくて自然に脚が動く。


 残り5分で7点差。苦しい。

 だが観客席で三人が横断幕を掲げる。

《王様れーじ君♡ 全国頂点へ!》

 その文字が、滲んで見えるほど胸を打った。


 残り2分。点差は2。

 ボールを持つ俺に再びダブルチーム。だが、仲間がスクリーンに入る。

「ナイス!」

 切り込んで、ファウルを受けながらもシュートをねじ込んだ。会場が揺れる。

 フリースローも沈めて逆転。


 西京も黙ってない。残り30秒、1点ビハインドで彼らのボール。ゴール下に放り込まれる。

 巨体センターのシュート――だが、仲間が渾身のブロック!

 ボールが宙に弾かれる。俺がキャッチして走る。残り10秒。


(ここで決める!)

 ディフェンスをかわし、3ポイントラインへ。

 シュートを放った瞬間、時間が止まった気がした。


 ――ボールは綺麗な弧を描き、リングに吸い込まれる。


 ブザーと同時に会場が爆発した。


「――高校――全国優勝!」

 アナウンスが響き渡る。


 仲間と抱き合って、涙が止まらなかった。

 客席では杏奈・ふわり・鈴音がチア姿で跳びはね、声にならない叫びを上げている。


(俺は、ここまで戻って来られた……みんながいてくれたからだ)


 トロフィーを掲げた瞬間、心の底から思った。

 ――もう、後悔なんて一つもない。


 ◇◇◇


 表彰台の中央に立って、トロフィーを掲げる。

 照明が反射して眩しいほど光っているのに、それ以上に胸の奥が熱かった。

(やっと――ここまで来たんだ)


「優勝おめでとうございます!」

 アナウンスと共に、金色の紙吹雪が舞う。肩に、髪に、汗に貼りついて、実感を強制してくるみたいだ。


 仲間たちの涙や笑顔が視界に広がる。誰もが全力で走りきった顔をしていた。

 その真ん中に、自分がもう一度立てていることが、何より誇らしかった。


 表彰式が終わり、コート脇に戻ると――。

「れー君っ!」

 観客席から駆け降りてくる三人。


 杏奈はチアポンポンを抱えたまま、髪が乱れるのも構わず飛びついてくる。

「全国優勝っ! 本物の王様だよ♡」

 息が切れてるのに、その瞳は一切揺れてなかった。


 ふわりは少し遅れて、長い手足で包み込むように抱きしめてくれる。

「れーじくん、ほんとに、ほんとにすごいねぇ~♡ 胸がいっぱいで、涙が止まんないよ~」

 背中を撫でられると、試合中の緊張が全部ほぐれていくみたいだった。


 鈴音はポニテを揺らしながら、涙を拭く暇もなく敬礼。

「レージ君……約束、果たしましたね。全国優勝。本当に、おめでとうございます!」

 声が震えていて、それでも必死にまっすぐ伝えてくる。


 三人に囲まれて、俺は笑った。

「ありがとな。……俺一人じゃ、絶対ここまで来られなかった」


 杏奈がすぐさま反論する。

「違うよ。れー君がいたから、みんなついてきたんだよ」

 ふわりも頷く。

「そうだよぉ。れーじくんが真ん中にいたから、わたしたちも全力で応援できたんだよ~」

 鈴音も小さく言葉を重ねる。

「はい。……私たちは、その証人です」


 紙吹雪の中で、手を重ねる。

「これからも――一緒に歩いていこう。まだまだ、作れるだろ。俺たちの物語は」


 三人が同時に頷く。

「「「うんっ♡」」」


 会場の喧騒が遠ざかる。胸の真ん中に残ったのは、優勝の実感と、それ以上に大切な“これから”の約束だった。






 ◇◇◇



 全国優勝から数日後――学校。

 校門をくぐった瞬間から、視線が痛いくらい刺さってくる。

(……いや、“痛い”ってより“熱い”だな。視線が熱すぎる)


「キャー! 本物だ!」「全国優勝のキャプテン!」

「土峰先輩、握手してください!」

「サイン! ジャージに!」


 廊下を歩くだけで、小規模なパレード状態。

 俺、芸能人だったっけ?って錯覚するレベルだ。

 そんな熱狂の中で――。


 杏奈がすかさず前に出る。

「はいはいっ! れー君は私の王様なんで♡ ファン対応はここまででーす」

 水色カーディガンを翻して、ファンの壁を軽く制御。さすがムードメーカー。


 ふわりは後ろから“れーじくんガード”で両腕を広げる。195センチの壁は圧倒的。

「だめだよ~、れーじくんの“隙間”は、わたしたちの担当なんだからぁ~♡」

 その一言で女の子たちが一斉に「きゃー!」って悲鳴。逆に熱狂ブースト入ったぞこれ。


 鈴音は冷静に、クリアファイルを胸の高さで掲げて一言。

「はい、“接触制限エリア”設定しました。……以後、王様の護衛は強化体制です」

 真顔で宣言するから余計に盛り上がるんだよなぁ。


 教室に入ると拍手喝采。黒板には「祝 全国優勝!」のチョーク文字。

 後輩たちがクラッカーを鳴らしてくれて、先生まで笑顔で拍手してる。


「土峰。よくやったな」

 恩師の言葉は短いけど、どんな長文より響く。




(あの日、引退を撤回したのは間違いじゃなかった。……この景色を見るためだったんだろうな)


「先輩! あのアリウープ、神でした!」

「リバウンドのタイミング、教えてください!」


 後輩たちが一斉に押し寄せる。

 ――引退を撤回した俺に最初戸惑ってたやつらが、今は素直に目を輝かせてくれる。


「あとで体育館で教えるよ」

 そう返した瞬間、杏奈が横から割り込んでくる。

「れー君、放課後の予定はまず私達だよ♡ 王宮会議、忘れないでね」

「スケジュール管理は鈴音が行っています。……二重予約は禁止です」

「れーじくん、練習のサポートはわたしたちもセットだからねぇ~」

(……俺の放課後、完全に囲まれてるな)


 昼休み、職員室前で体育科の先生に呼び止められる。

「土峰。お前のプレー、全国中継で見たぞ。……胸を張れ。お前はもう“天井に届かない大黒柱”なんかじゃない」


 その言葉に、胸の奥の古傷が少しだけ温かく溶けていく。

(ああ。やっと“誇り”に変えられたんだな)



 帰り道。三人と並んで歩く。

 杏奈がにやり。

「れー君、今日の“主役感”やばかったね♡」

 ふわりが頷く。

「れーじくん、全国優勝もいいけど、日常のれーじくんがいちばん安心するよ~」

 鈴音は真剣に。

「はい。……優勝も誇りですが、鈴音にとっては“隣を歩けること”が一番です」


 俺は笑って答える。

「ありがとな。全国一になった俺でも、結局は“お前らがいる日常”が、一番なんだ」


 三人同時に「♡」って顔をする。

 全国の歓声より、その表情が一番心に響いた。


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