18回目 その3
「レージ君!」
ぴょんっと音がしそうな勢いで、鈴音が立ち上がった。
茶色のポニーテールがぶんと揺れて、頬がほんのり赤い。
「今回の正室奉仕は……鈴音が担当します!」
きゅっと小さく敬礼。その表情は真剣そのもの。
……でも目の端に隠しきれない照れの光があって、俺の心臓はすでに警戒レベルMAX。
「レージ君」
小柄な体で俺の膝にちょこんと座り込んでくる。
――逆じゃないのか!? ってツッコミが喉まで出かけたけど、目の前の鈴音は至極真面目な顔だ。
「これが“鈴音の正室奉仕”。王様を“抱っこで護衛”です!」
小さな腕で俺の首に回して、ぎゅっと引き寄せてくる。
体格差のせいで全力の抱擁がむしろ可愛い。けど、その必死さが心臓に直で響く。
「……ど、どうですか? 鈴音の腕、弱くないですか?」
「いや、すごい強い。……というか、近い」
「ち、近距離防御です!」
真面目に言い切るくせに、耳まで赤くなってる。
このギャップ、ほんとに反則だろ。
「レージ君、今日は……鈴音も、ちょっとだけ“大胆”にします」
宣言した直後、背伸びして顔をぐいっと近づけてきた。
次の瞬間、唇に小さな衝撃。
「んっ……」
ほんの一瞬、でも確かにキス。
離れると、鈴音は顔を真っ赤にして俯いた。
「し、失礼しましたっ! でも、これは“任務”ですので……!」
震え声で言い訳しながらも、ちゃんとこちらの目を見てる。
強気と照れのせめぎ合いに、俺は息を整えるしかなかった。
「レージ君……鈴音、小さいけれど。こうして隣にいるときだけは、絶対に“王様を守る人”でいたいんです」
声が真っ直ぐで、誤魔化しがひとつもない。
小柄な体にぎゅっと抱きしめられて、胸の奥でじんと熱くなる。
鈴音はマスコットみたいに周りに可愛がられてるけど、俺の前だと――誰よりも大人びた顔をするんだな。
「……守られてるよ。鈴音に」
「っ……はい♡」
答えた途端、表情が崩れて、とろけるような笑顔になる。
その瞬間、俺は完全にやられた。
抱きついたまま、鈴音がぽつり。
「レージ君が“可愛い”って思ってくれたら……もっと嬉しいです」
「かわいい」
即答した。口が勝手に。
「~~っ!」
鈴音は全力で顔を覆い、でも隙間からこっちを見てくる。
「……し、指令どおりですが……やっぱり、恥ずかしい……でも嬉しい……♡」
そのあと、声にならない「えへへ♡」が漏れて、俺の肩に額をコツンと当ててきた。
体の小ささなんて関係ない。今はただ、胸いっぱいの想いが伝わってきて――
この部屋の空気ごと、甘さで染まっていった。
「レージ君……今度こそ、鈴音の番です」
声が小さいのに、真剣さが詰まっている。
椅子から立ち上がると、茶色のポニーテールがぴんっと揺れて、目がこっちを射抜いてきた。
「正室の奉仕、鈴音なりに……全力で務めます」
きゅっと小さな敬礼。けどその耳はすでに真っ赤。真面目と照れの共存って、どうしてこんなに心臓に悪いんだ。
「失礼します!」
ちょこん。
俺の膝に、そのまま腰を下ろした。
「お、おい……鈴音!?」
「“膝上警護モード”です! 王様を抱っこして護ります!」
小柄な体がぴたりと収まる。首に小さな腕が回されて、ぎゅっと引き寄せられる。
軽いはずなのに、抱擁の圧力が胸の奥までずしんと来る。
小さな手なのに、力の入り方は本気そのもの。
「レージ君……近すぎますか?」
「いや……すごく、近い」
「それでいいんです。だって、近距離で守るのが正室の役目ですから」
言い切る声が震えてる。赤い顔で言われても、説得力があるのかないのか……でも、心は確かに掴まれていた。
「レージ君……少しだけ、任務を追加してもいいですか?」
「任務?」
「“大胆に正室らしさを示す”任務です」
そう言った瞬間、鈴音は背伸びをして、ぐいっと顔を近づけてきた。
次の瞬間――
「んっ……」
唇に、ほんの一瞬の甘い衝撃。
ぱっと離れると、鈴音の顔はりんごのように真っ赤になっていた。
「っ……失礼しましたっ! でも、これは……正室としての、義務ですから!」
震え声で必死に言い訳してるけど、目はまっすぐに俺を見てる。
ああもう、この正直さが一番ずるい。
「レージ君……鈴音、小さいけれど。こうして隣にいるときだけは、絶対に“王様を守る人”でいたいんです」
声が真っ直ぐで、ひと欠片の冗談もない。
小柄な体にぎゅっと抱きしめられると、胸の奥がじんと熱くなる。
誰よりも頼りがいのある誓いに聞こえた。
「守られてるよ。……鈴音に」
「っ……はい♡」
表情がぱあっと崩れて、とろけるみたいな笑顔に変わる。
その瞬間、俺は完全に陥落した。
「……レージ君」
少しの間を置いて、鈴音は視線を落とし、でも勇気を振り絞ったように。
「レージ君が……鈴音のことを“かわいい”って思ってくれたら……もっと、嬉しいです」
「かわいい」
即答してた。無意識レベルで。
「~~っ!」
鈴音は両手で顔を覆って、でも指の隙間からこっちをちらちら見てくる。
「……し、指令どおりですが……やっぱり、恥ずかしい……でも……♡」
声が小さく震えて、最後は「えへへ♡」って、嬉しさが隠せない笑いが漏れる。
そして俺の肩に額をコツンと当てて、甘えるみたいに小さく揺れてきた。
そのまま少しの間、言葉もなく抱き合う。
小さい体なのに、心の広さは誰よりも大きくて――
その甘さに、俺はただただ浸されていった。
◇◇◇
鈴音にしっかり膝上で抱きつかれて、耳まで真っ赤になっているその瞬間。
――ガバッ。
「れー君っ! ずるいずるいずるい~~♡」
杏奈が横から勢いよく割り込んできた。
「れーじくんも~、ふわりも抱っこする~~♡」
ふわりまで反対側からぎゅうっと。
結果、俺の膝は鈴音+杏奈+ふわりの“三層構造”。
三人の髪の色と匂いと重みが、まとめて押し寄せてきて――息、できねぇ!
「れー君の膝は、わたしの正室シートだもん♡」
「やだ~。ふわりのおっきいクッション抱っこが、一番安心なんだよぉ~♡」
「ま、負けません! レージ君の護衛は鈴音です!」
三人がそれぞれ俺の腰や肩に抱きついて、ぎゅうぎゅう押し合い。
いやいや、俺の体はひとつしかないって!
「ぐ、ぐるじぃ……!」
「れー君、声出てるけど、笑顔だからセーフだね♡」
杏奈は勝ち誇り、
「れーじくん、ほらほら~♡ わたしの胸あて枕、やわらかいよぉ~♡」
ふわりは無邪気にすり寄り、
「レージ君っ……っ! 鈴音は小さいけど……っ、ぎゅうの密着率は誰にも負けません!」
鈴音は全力で腕を回す。
頬に杏奈の唇がすっと触れて、反対側では鈴音の髪がかすかに触れて、背中にはふわりの大きな胸がむにゅっと包み込んで――
「んぐぅぅぅ……!」
甘さと柔らかさと温度が一気に押し寄せて、理性のバランスが吹っ飛びそうになる。
「れー君、杏奈のキス♡」
「れーじくん、ふわりの“よしよしタッチ”♡」
「レージ君、鈴音の“守護の抱擁”です♡」
三人の奉仕ワードが同時に降ってくると、もう逃げ場ゼロ。
耳も、頬も、肩も、背中も、同時に攻撃されるってどういう状況だよ!?
「れー君、この膝は私が勝ち取るのっ!」
「ちがうよぉ~。ふわりのお膝が、正室シート~~♡」
「正統後継は鈴音ですっ!」
三人の声が重なって、部屋の空気が甘さと熱気で膨張する。
俺は……俺は……!
「……わかった! 三人とも正室でいい! だから落ち着け!」
叫んだ瞬間、三人の動きがぴたりと止まる。
顔を見合わせて、同時に――
「「「やったぁ~~♡♡♡」」」
ぎゅうううっと一斉に抱きしめられた。
重みも温度も愛情も、まとめて受け止めるしかなかった。
~ゲーム18回目 終了~




