表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
67/129

16回目 その3

「ねぇねぇ♡ 結局三人とも優勝ってことはさ、れー君、“延長戦”必要だよね?」

杏奈が椅子の背から身を乗り出し、わざと髪をさらりと揺らして俺の膝に垂らしてくる。その距離感が近すぎて、顔に熱が集中する。


「え、延長戦?」

「うん♡ “おひざ戦争”からの――“王様全方位甘やかし大合戦”!」

「正式名称つけんな!」


 言葉でツッコむ前に、背後が影に覆われる。ふわりだ。気づけばもう俺の背中に回り込み、肩と腰にそっと腕を回している。

「れーじくん、肩~背中~、全部“おおきなクッション”で支えるよ~♡」

 柔らかい胸の圧と腕のぬくもり。背筋から腰にかけて体温がぴたりと密着し、重心を奪われる。息が詰まる。逃げ道がない。


「では鈴音は……“お菓子係”!」

 パチン、とタッパーを開ける音。次の瞬間には甘い香りが鼻腔を満たす。

「レージ君、あーんしてください!」

「ちょ、急に!?」

 抗議の声をあげながらも口を開けると、サクッと軽い食感。砂糖の甘さが舌の上でとろけ、同時に胸の奥まで熱が広がった。

「どうですか? 鈴音特製“愛情砂糖増し”です!」

「名前がヤバい!」

 でも止められない。次を待つ舌が勝手に熱を欲しがっている。


 さらに杏奈が俺の両手を握り、指と指の隙間をゆっくりなぞり始める。

「ほら♡ れー君、こういうの苦手でしょ? でも私達がやれば“くすぐったい”じゃなくて“甘い”になるんだよ♪」

 ぞわりとした電流が腕を駆け上がり、背筋に痺れを残す。背後のふわりに支えられているせいで逃げられない。両手は杏奈、口は鈴音、背中はふわり。三方向からの侵食。頭が追いつかない。


「れーじくん、“耳もと囁き”はわたしの担当ねぇ~♡」

 ふわりが首に顎を乗せ、吐息を耳たぶに吹きかける。

「ひゃっ……!」

「反応かわいい~♡ ポイント加算~」

 耳の奥が熱で痺れ、視界まで霞む。


「では鈴音は、“王様のヘアセット任務”!」

 視線を上げた瞬間、鈴音の顔が目の前にある。前髪を整える指がこめかみに触れ、鼻先がかすめる距離。

「レージ君、整いました!」

「俺は髪型を整えられるたびに命削られてる気がする……」

 近すぎる。声の震えが互いに伝わる距離。


「じゃ私は、“おへそタッチでドキドキ度チェック♡”」

 杏奈が不意にシャツの裾をつまみ、布越しの風を冷たく送り込む。

「ちょ、待て待て待て!」

 ひょいと露出したおへそに、指先がひたりと触れる。

「わー、やっぱり赤くなった♡ れー君スッケベ~♪」

「やめろぉぉ!」

 腹筋の奥まで痺れる。熱と冷気が混ざって、全身の反応が制御不能になる。


 三人同時。背中から包まれ、口に甘味を運ばれ、服をめくられ、指でなぞられる。完全に逃げ場はなく、体温も思考も奪われる。

「これは……死ぬ……!」

「生き延びて~♡」

「鈴音が全力で守ります!」

「でも仕掛けてんの君らだよな!?」


 笑いと熱と吐息が絡み合う空気。耐え切れない。


「はいはい♡ 延長戦の最終ラウンドは――“王様に『可愛い』って言わせろ大作戦”!」

杏奈が高らかに宣言。


「うぉ……またか!」

「うん♡ 今回はおひざ争奪の続きだから、もっと直接的にいくよ♪」


 ふわりは制服の袖をまくり、小さなリボンを手首に結んで差し出す。

「おそろいっぽいでしょ~。これ、“可愛い”でしょ~?」

「……可愛い」

「ありがと~♡」と耳元で囁く声が甘くとける。


 鈴音はメモ帳を開き、俺の名前をハートで囲んだ落書きを差し出す。

「鈴音、練習してました。“レージ君”の字。……どうですか?」

「可愛い……ってか、それ俺が可愛いって言わせるために書いたんだろ!」

「はい、成功です!」

「ずるすぎる!」


 杏奈は突然、座ったままI字バランスを決めて見せる。

「ちょっ、お前部屋でやるな危ない!」

「見て♡ 可愛いでしょ~?」

「……可愛い。もうなんでも可愛い!」

「よっしゃ大成功♡」


 笑い声と吐息と心臓の鼓動が交じり合い、空気が熱で満ちていく。もう顔を覆って耐えるしかない。


「れー君♡ “可愛い”言ったから、今度は“だいすき”ね!」

「れーじくん~、次は“ぎゅーっ”で証拠とらないとねぇ~♡」

「レージ君、鈴音は“おかわり任務”を申請します!」


 三人同時に新ラウンドを宣言。心臓が限界突破している。


「お前らな……ここで打ち止め! ――王様命令っ!」

 声を張り上げた。

「全員、ここでストップ! これ以上やったら俺が倒れる! ……命令だ! 王様権限、ここで発動!」


 杏奈がきょとんと瞬きする。

「え、王様が命令でゲーム終わらせるって、アリ?」

「ありあり~♡ “命令権乱用”だけど~、それもれーじくんぽい~」

「レージ君が本気で限界なら、鈴音も従います。……ですが」


 三人が同時ににやりと笑う。嫌な予感が胸を貫く。


「“終了記念”は、いるよね?」

「“おひざ戦争・エンドセレモニー”だよねぇ~♡」

「“終了の証明”は……やはりこれです」


 次の瞬間。左右の頬に同時キス。背中にはぎゅっと強く包み込む腕。吐息と唇の柔らかさと腕の重さが一気に流れ込み、思考が真っ白になる。


「うわあああああ!?」

「はい♡ おしまいっ」

「れーじくん、強制終了~♡」

「終了証明、完了です!」


 ――こうして、16回目のゲームは“王様の権限乱用&三人の総攻撃で強引終了”という前代未聞の形で幕を閉じたのだった。


~ゲーム16回目 終了~

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【ファンタジーです】(全年齢向け)
地味スキル「ためて・放つ」が最強すぎた!~出来損ないはいらん!と追い出したくせに英雄に駆け上がってから戻れと言われても手遅れです~
★リンクはこちら★


追放された“改造師”、人間社会を再定義する ―《再定義者(リデファイア)》の軌跡―
★リンクはこちら★
神のバグで棄てられた俺、異世界の裏で文明チート国家を築く (11月1日連載開始)

★リンクはこちら★
【絶対俺だけ王様ゲーム】幼馴染み美少女達と男俺1人で始まった王様ゲームがナニかおかしい。ドンドンNGがなくなっていく彼女達とひたすら楽しい事する話(意味深)

★リンクはこちら★
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ