8回目 その1
俺の名前は土峰零士。
そして今、俺は――生きた心地がしない。いや、正確に言うと、心地はする。むしろしすぎて、心臓がバクバクいっている。
だって今やってるのは「絶対俺だけ王様ゲーム」第8回。
ただの余興? そんな甘いもんじゃない。
「正室・側室ルール」 が適用されるんだ。
つまり、三人のうち誰かが「正室」を決めるクジを引いて、他の二人は「側室」として従う。
正室が俺に命令する権利を持ち、側室二人も「補助」と称してとんでもないことをやらかす……という地獄絵図。いや、天国絵図?
その「三人」とはもちろん――
喜多川杏奈。身長155、元新体操部のエース。明るくはっちゃけて、でも柔らかい体とIカップの胸で俺を悩殺してくる。
甘蔵ふわり。195センチの長身おっとりお姉さん系美少女。B120の爆乳を誇り、ゆるい口調で俺を包み込むように甘やかす。
桜岡鈴音。小柄149センチのポニーテール娘。食いしん坊で健気、けど敬語が抜けない。B72と一番控えめだけど、それがまた……。
三人とも、俺に「大好きだ」って言わせた後だから、もう完全に浮かれモード全開。
俺がちょっと視線を動かすだけで「れー君見てる!?」「れーじくん、こっちー」「レージ君、視線が熱いです!」って大騒ぎになる。
で、そんな三人がまた俺を取り合うんだから、平和なわけがない。
「よーしっ! 第8回戦スタート! 正室は……もちろんこの杏奈ちゃんでーす! 異論ある? 二人とも!」
杏奈が元気いっぱいに手を挙げる。
制服のブラウスがピチピチしてて、谷間が危うい。思わず目を逸らした俺に、彼女はにやり。
「ほら見て! れー君、アタシに釘付け! 正室確定じゃん!」
「……んふふ~。でもね、杏奈ちゃん。れーじくんって、実はね、ふわりちゃんの胸に顔うずめると、すっごく落ち着くんだよぉ?」
のんびりした口調でふわりが追撃してくる。
その胸――制服の上からでも分かる120センチ。しかも、彼女がわざと前かがみになるもんだから、俺の視界いっぱいに「やわらかい圧力」が迫ってきて……!
「ちょっ……待てふわりちゃん、近い近い!」
「えへ~。近い方が……あったかいでしょぉ?」
「……む。お二人とも強引です。ですが、レージ君の正室にふさわしいのは、私ですよ?」
静かに口を挟んできたのは鈴音。
一歩前に出て、ポニーテールを揺らしながら俺を真っ直ぐ見上げる。
背は小さいけど、視線はやけにまっすぐで、俺の心臓をズキュンと射抜いてくる。
こいつも先日の一件から少しだけ変わった気がする。いつもよりおちゃらけた感じが少なかった。
「私は小さいぶん、正室として常にレージ君を支える努力を惜しみません。食事も一緒に、お出かけも一緒に……だから、私が正室であるべきです」
ああもう、この三人――
なんでそんな堂々と「正室」を主張してくるんだよ!?
しかも全員、ガチで目が真剣。冗談じゃなく「王様ゲーム=正妻戦争」になってる。
王様ゲームルールはどこへ行ったんだ?
「じゃー、もうこうしよっ! れー君が審査員! 三人で正室アピール合戦しよ!」
杏奈がそう宣言すると同時に、空気が一気に「お祭り騒ぎ」から「修羅場」へ。
「んふふ~。それなら、ふわりちゃん……本気だしちゃうよぉ?」
「……了解しました。勝負です、お二人とも」
俺は両手を上げて叫んだ。
「ちょっと待てや。 俺は審査員なんてやらんぞ。 命令するのもされるのも俺であって、選ぶのは違うだろ!?」
「やーん、れー君、照れちゃって可愛い~♡」
「んふふ~。審査員って、王様と似てるから……セーフだよぉ?」
「はい。ルールは常に柔軟に変わるのが、この王様ゲームです」
お前らが勝手に変えてるだけだろうが!!
でも――
三人がぐいぐい密着してきて、肩、腕、胸……あちこちに「柔らかい」「弾む」「ぴったり」が触れてきて。
俺はもう、頭が真っ白。
……これ、審査員とかどうでもよくなるやつだ。
今日は完全に王様ゲームルールは無視する流れらしい。
まあこういう日があってもいいか。
ここで杏奈がニヤリ。
「じゃあ、まずはアタシの正室アピール! れー君、こっち座って!」
「えっ、ちょ、あ――」
有無を言わさず、杏奈に腕を引っ張られ、畳に座らされる俺。
次の瞬間――
「ほらっ! 新体操仕込みの柔軟プレイ! れー君、アタシの膝枕っ!」
いきなり足を開いて、強引に俺を自分の太ももへ密着させる杏奈。
しかもその角度のせいで、スカートの奥がチラリどころじゃなく――!
「杏奈ちゃん……下、見えてるよぉ~?」
ふわりがのんびり指摘。俺も同意見だ!
爽やかな青いレースの下着、丸見えなんですけど!?
「へへっ♡ わざとだもんっ!」
ドヤ顔すんなよ……ごちそうさまです。
「ん~じゃあ次は、ふわりちゃんの番ね~。……れーじくん?」
「むうっ」
ふわりがにじり寄ってきて、そのまま後ろから俺を抱きしめる。
あの巨胸が――がっつり後頭部にむぎゅっ!!
正直、たまりません……。
「んふふ~。ふわりちゃんの正室アピールはねぇ……『お母さんごっこ』~♡」
「ばっ……お母さんごっこっておまえ……!」
またですかい⁉ 俺、バブっちゃうの?
「よしよし……れーじくん、いい子いい子……今日もがんばったねぇ~」
耳元で囁かれながら、頭を上下に揺すられる。柔らかい、重たい、あたたかい……!
理性が飛ぶぅぅぅ!!
「ふふ……それでは最後に、私の番ですね」
鈴音がすっと前にしゃがみ込む。
俺の膝の上にちょこんと座り――
「……レージ君。正室らしく、直接……ご奉仕させていただきます」
小さな手が俺の制服のボタンを――
「おい待て待て待て待てぇぇぇ!!」
俺の声が響き渡った。
俺の制服のボタンに小さな指がかかって――
その持ち主、鈴音が静かな声で囁く。
「はあはあ、レージ君はあはあ」
大分危ない事を言っていた。
「ちょっ、リンちゃん!? それアウトだってば!」
「んふふ~。でもぉ……リンちゃん、けっこう大胆だねぇ~♡」
杏奈とふわりが同時にツッコミ。
でもふわりは完全に笑って見てるだけ。むしろ「続けなよ~」って顔だ。
鈴音は、ちらりと俺を見上げる。
その表情が、もう反則級に真剣で……。
というかこいつら、この間暴走したことをもう忘れてやがんのか?
こっちの理性がいくらあっても足りないじゃないか。
「……だって、杏奈ちゃんやふわわんばかりがアピールして、私が黙っていたら……レージ君、正室は私じゃないって思ってしまうかも……」
「いやいやいや! そんなこと思ってないから落ち着けって!」
必死に止める俺。
だけど俺の声なんか無視して、鈴音は制服のボタンを一つ、パチンと外す。
「わっ♡ れー君の鎖骨……ちょっとドキドキする……!」
「んふふ~。あったかそう……触っちゃおっかなぁ」
杏奈とふわりまで乗ってきた!?
お前ら仲良く俺を仕留めるつもりか!!
俺、今日卒業しちゃうの?
「じゃーさ、もう三人同時にやっちゃおうよ! 『ご奉仕合戦』スタートぉっ!」
杏奈の宣言で空気が一気に切り替わった。
三人が俺を取り囲む形で配置について――
杏奈が俺の右腕に密着。柔らかい感触ががっつり腕を挟む。
ふわりが 後ろから抱きしめ、胸で俺の頭をむぎゅぅぅ。
そして鈴音が 膝の上に座ったまま、制服のボタンをゆっくり外していく。
「こ、これは……完全に逃げ場が……っ」
「えへっ♡ れー君、観念して~?」
「んふふ~。ふわりちゃんが後ろからぎゅ~ってしてるから……もう逃げられないよぉ」
「レージ君。正室のご奉仕、受け入れてください……」
三方向からの圧力。
腕、頭、胸、膝……俺の感覚が全部、三人に奪われていく。
マジで王様ゲームどこに行ったんだ?
「れー君……アタシの胸、どう? Iカップの威力……ちゃーんと感じてる?」
わざと腕を動かすように揺らしてくる。
おうっふ……、柔らかいどころじゃなく、弾力がすごっ……!
「おっとっと~、れーじくんの頭、ふわりちゃんの胸にずぶずぶ沈んでるよぉ~。れーじくん、苦しくない?」
いやむしろ別の意味で苦しいです。
鼻先をくすぐる甘い匂い、肌越しの温もり、呼吸のたびに伝わる圧迫感……完全に理性破壊兵器。
「……レージ君。私の太もも、硬くないですか? ……よかったら、もう少し密着しても」
鈴音、さらっと恥ずかしいこと言いやがる。
小柄なのにしっかり俺を押さえ込んでて、膝の感触が直に……!
「ふふーん、どぉ? れー君。アタシが正室にふさわしいでしょ!」
「んふふ~。でもね、杏奈ちゃん。れーじくんの顔は今、ふわりちゃんのおっぱいに埋もれてるよぉ?」
「……お二人とも。私の膝に座られているのを忘れていませんか?」
三人が火花を散らすたび、俺はさらにドキドキさせられる。
下着がちらちら見える杏奈。
ふわりの制服のボタンの間から覗く谷間。
鈴音のスカートのすそから伸びる白い脚。
俺の視界は常に刺激だらけ。
「おーい……頼むから誰か止めよう? 俺の心臓がもたないって!」
「やーだ♡ もっとドキドキして?」
「んふふ~。れーじくんが照れるの……かわいいから」
「……レージ君。今日は逃げられませんよ?」
あぁ、だめだ……。
三人の「正室ご奉仕合戦」に、完全に飲み込まれていく……!
◇◇◇
その後の展開はもう、嵐だった。
杏奈が「れー君、腕に頬ずり♡」と強引にすり寄れば、
ふわりが「れーじくん、よしよし~」と頭を撫で、
鈴音が「失礼して……」と俺のネクタイを緩める。
下着のレースの感触。
柔らかさと弾力のコンボ。
小柄な鈴音のぴったりフィット感。
すべてが俺を包み込んで――
俺は最終的に、机に突っ伏す形で三人に完全包囲されていた。
「……で、審査員れー君。誰が一番だった?」
杏奈がいたずらっぽく笑いかけてくる。
ふわりはのんびり微笑み、鈴音はじっと俺を見つめる。
三人の顔が近い。
心臓が跳ねる。
……そんなもん、決められるわけねぇだろ!
「みんなっ! 三人とも最高! ……俺には、誰か一人なんて選べないっ!!」
叫んだ瞬間――
「きゃははっ♡ やっぱりそう来ると思ったー!」
「んふふ~。れーじくん、ずるいなぁ~……でも好き♡」
「……ずるい人。でも……私も、大好きです」
三人同時に抱きついてきて、俺はそのまま床に押し倒される形になった。
「わああああああああああ!!!」
俺は甘かった。三人が本気を出すとここまで危険なゲームになるなんて。
「じゃあ! まだまだ勝負はこれからってことでしょ!」
杏奈がぱんっと手を打つ。
「んふふ~。れーじくん、覚悟してねぇ。ふわりちゃん、まだまだ出し惜しみしないよぉ~」
後ろからむぎゅっと抱きしめ直してくるふわり。
背中から伝わる二つの重量感。うぅ、首が! 首がぁ!!
「……レージ君。さっきのは準備運動です。これからが本番ですよ」
鈴音は俺の膝からすっと立ち上がり、真剣な顔でネクタイを直す。
いやいやいや、準備運動で俺の理性HPゲージが赤点滅なんですけど!?
王様ゲームはどこへやら……。杏奈、ふわり、鈴音の3人による正室争奪戦と称したご奉仕合戦はなおも続いていた。




