5回目 その2
「んちゅ~♡ ちゅっ♡ ちゅ♡ ちゅ♡」
ふわりの柔らかくてふわふわの唇が合わさってくる。
鈴音、杏奈、ふわりと丁度良く正室が一巡し、交代のたびに行なわれるキスの嵐にたまらない気持ちになる。
もう本当にいろいろな意味で溜まってしまっている状態だ。
そういえば、ここ最近そういう事していない。
溜まりまくった青春マグマを無作為に出すとしても、最近起こった興奮する出来事が幼馴染み達とのアレコレだったから罪悪感があった。
「んちゅー♡ ちゅ♡ れーじく~ん♡ ちゅぱちゅぱ♡」
「ふわりちゃん長いよー。そろそろ終わりだって」
「え~、もっとしてたいのにぃ」
これ以上は俺の身が持たない。
3人の行動にドンドンNGが無くなっていき、俺の理性は崩壊寸前だった。
「ほら着いたよー、今日の目的地」
「お、今日の目的ってゲーセンだったのか」
「正確にはここのプリコーナーだね」
杏奈が来たがったのは商店街の一角にある大きめのゲームセンター。
ここには女子学生に大人気の大型プリントシールコーナーがある。
大きな機械が長方形の屋根というか、テントのようなものに囲まれており、外側に印刷されたモデルの女性がウインクしながらハートマークを手で形作っている。
「初めて入るな……プリントコーナーなんて」
「女の子の聖域みたいな所あるからねー」
昨今じゃ男子禁制の場所すらあるって話だし、女の子はこういうのが昔からずっと好きなんだなぁ。
今じゃスマホの普及でどこでも写真は撮れるけど、こういう特殊な機械で作る思い出の写真もいいものかもしれない。
「じゃあまずは順番を決めよっか」
「ん? 順番?」
皆で撮影するんじゃないのか?
「はい、れー君もクジを持ってね。最初に正室になった人から順番に王様のプリを撮りまーす。側室は1,2の順で」
「王様が赤の場合は?」
「その場合はスペシャルステージ。王様に特別な一枚を提供しちゃいまーす」
そんな事を言われたら気になって仕方ないじゃないか。何が何でも王様を引き当てたくなってくる。
(来る……王様の赤が来る)
予感があった。予感のする方へと指を伸ばし、手応えのような電流が全身に流れるのが分かる。
俺が致命的な厨二病じゃなければ、こいつは王様の赤であるはず。
超能力にでも目覚めたのかと思うほど、そこには確かな確信があった。
「「「王様れーじ君♪」」」
「っしゃあぁっ!」
「おおおっ、れー君引きが良いねぇ」
「れーじくん楽しそう~」
「段々ノリがよくなってきましたなぁ」
「じゃースペシャルステージ撮影してくるからここで待っててね」
「え? 俺待機なの?」
「ちゃんとスペシャルな奴撮ってきてあげるから良い子で待っててねー」
せっかく赤を引き当てたのに肩透かしを食らったような気分になった俺は、その場に取り残されて失意のうちにベンチに座る。
カーテンを開いて中へと入っていく三人を見送り、一抹の寂しさを感じながら待つしかなかった。
『まずはー、これ』
『いいねー。ちょっと恥ずかしいけどれーじくん喜んでくれるかなぁ』
『うひぃ、鈴音だけ体のバランス悪いなぁ』
『じゃあリンちゃん真ん中でどうかな』
『気にしなくていいよー。れーじくんちゃんと興奮してくれるって』
『が、頑張ります』
姦しいやり取りを聞きながら妄想を膨らませていくと、その光景がありありと伝わってくるようだ。
布の衣擦れの音すら鋭敏に感じ取れる……ような気がする。
『ふぅ、ふぅ~、これヤバいね。ドキドキする』
『ねえねえ、私が1番上になってさ、杏奈ちゃんとリンちゃんで団子三姉妹とかどう?』
『ふわわんのギャグセンスってたまに分かんないです』
何をやっているんだっ⁉ 団子三姉妹ってどうやるのっ⁉
『おお、頭の上に途轍もない重量感が』
『どうだー。すごいだろー』
『杏奈ちゃんの重量感も凄いです……ううっ、脂肪の塊めぇ~』
一体頭の上に何を乗せているのだろうか?
『今度は生でいってみよっか』
『えー、付け直すの大変なんだけどなぁ』
『スペシャルですからね。鈴音はあんま関係ないんで楽です』
生? 生ってナニが? くっ、気になるっ。まさしく生で見てみたいっ。
これが本当の生殺しかっ。
――ピロンッ♪
「おや?」
悶々とした気分で待っていると杏奈専用の着信音でメールが届いた事を知らせてくれる。
「写真フォルダ……おおうっ⁉」
それはまさしく、かの伝説の陽キャ達の祭典、『エロぷり』であった。
三人並んだ美少女達は一様にシャツをたくし上げて先ほどの答え合わせを示していた。
「こ、これはっ」
慌てて周りを見渡し、誰もこちらのスマホをのぞき込んでいない事を確認する。
キョロキョロする俺はさぞかし挙動不審な事だろう。
それだけこの写真のインパクトは強いし、誰ぞに見せる訳にはいかない内容だった。
「ゴクッ……。丁度良く杏奈が青で、ふわりが赤……っていうか濃いめのピンク、鈴音が黄色……信号機かっての。だから鈴音が真ん中なのか」
三人は下着の色で自分達のカラーを示しているかのようだ。
今日も直接見られるような王様ゲームになるだろうか。この先も楽しみになってきた。
――ピロンッ♪
「うおっ⁉」
今度こそ挙動不審に周りを見渡してしまった。
「生って、マジで生かよ……。団子三姉妹って上手いこと言うなぁ」
鈴音がまくり上げて、そのうえに杏奈が「乗せて」、更にその上にふわりが「乗っける」。
頭の上に乗っかったズッシリとした重量感が写真越しに伝わってくるかのようなふわりの「団子」は、そうと呼ぶにはデカすぎるな。
搗き立てのお餅の塊みたいだ。
だが、杏奈のギャグセンスによって生み出された団子三姉妹のネタの解析よりも、圧倒的に言及しないといけない事がある。
「くっ、肝心の場所をマーカーで塗り潰すとは。策士だな杏奈の奴め」
白い肌の露出によってリビドーを掻き立てるが、1番みたい場所がマーカーペンで塗りつぶしデコされているではないか。
ついでに目線も塗り潰されててマジの流出ものみたいになっている。
端的に言ってエロい……。
「むぅう、これではまさしく生殺しではないか」
「いくら擦ってもデコした所は取れないよー」
一生懸命指でこすり取ろうと躍起になっていると、からかうように目を細めた杏奈に見つかってしまった。
「ほらほら、次は王様の出番だよ。1人ずつ王様とプリ撮ろうよ」
ドキドキワクワクのプリントシールゲームは、ポリエステルの暖簾一枚隔てた密室空間での継続が決定した。




