4回目 その1
「……」
「……」
「……」
無言。
場の空気の気まずさが沈黙という現象として表れていた。
背徳的マイブラザーをガッツリ見られてしまった俺。
あれから非常に大変であった。
大噴火寸前の活火山を沈静化するため、スクワットで汗だくになってしまった。
あとでこっそりお風呂もらわないと。まさか女の子の家で念力を集中してビキビキドカーンな大噴火をするわけにはいかないからな。
しかし……さっきから3人ともひと言も発しない。
ただ黙々と夕食の準備をしながらあちこちを動き回っている。
俺は座って待っててほしいと言われ、ソファに腰掛けて静かに時を過ごしていた。
時折向けてくる3人の熱い視線。
夕食のカレータイムの後はパジャマパーティーをしつつ4回目のゲームに突入する予定だったのだが、この空気でやれるのだろうか。
「……」
「……」
「……」
ふわりのパジャマ。シルク生地と思われる高級感のあるワンピースタイプだ。
生足むっちり太ももが剥き出しになっており、スカート丈が短く、動き回って少し屈むだけでお尻の膨らみが見えてしまいそうになる。
上半身はキャミソールのようになっており、大きな大きな谷間が形成されていた。
杏奈のパジャマは上下セパレートのスタンダードタイプ。
ハーフパンツスタイルでコットン生地のシャツと共に着心地はよさそうだ。
鈴音は健康的なショートパンツとキャミソール。
華奢な肩と引き締まった生足が覗き、動き回ると隙間から見えてしまいそうになる。
正直、目のやり場にこまった。
さっきはもっと露出の多い水着姿をガッツリみている筈なのに、更にリビドーをそそる姿に感じるのは何故なのだろうか。
――チラッ……ドキドキ
――チラッ……ぷいっ、モジモジ
――チラッ……じぃ~……スッ……チラッ
先ほどから3人がチラチラとこちらを見てくる。チラ見して、目を逸らして、再びこっそりチラ見して……。
その視線の先は俺自身というより、主に下の方に注がれているのは気のせいではないだろう。
「お、お待たせ。御飯準備できたよ」
「お、おう……。待ちくたびれたぜ」
とにかく切り替えていこう。せっかくふわりが気合いを入れて作ってくれたカレーだ。
気まずい空気で食べては勿体無い。
「ふわりのカレー、めちゃくちゃ楽しみだったんだっ! これだけでも来た甲斐があったってな」
「ッ……えへへ~、嬉しいなぁ。おかわりいっぱいあるからね」
「そ、そうそう、ふわわんのカレーは絶品ですからねっ。お腹パンパンになるまで食べたくなりますっ。鈴音の方がいっぱい食べちゃいますよーっ」
「それは譲れないな。独り占めは認めないぞ」
「2人ともあんまり食べ過ぎて夜のゲームで動けなくなっちゃわないようにねー」
「あはは~、明日もあるし、好きなだけ食べて~。いっぱい食べてもらう方が嬉しいから」
よし、なんとか空気を戻す事に成功したようだ。
そこからは和気藹々と、いつもの俺達に戻る事が出来た。
「うーん、ウメェっ。スパイスが利いてて辛みと旨味のバランスが絶妙すぎる」
「おかわりあるよー」
両手を差し出してくるふわりにお皿を渡し、嬉しそうに御飯をよそいに行く後ろ姿を眺める。
「大盛りにするね」
「ありがと」
「あ、鈴音も大盛りがいいですーっ」
「鈴音ちゃんもう三杯目だよー。お腹苦しくなっちゃうよ」
「だけどふわわんの高級カレーを食べる機会なんて滅多にないですもんっ」
「また作るよー」
鈴音は俺が1回目のおかわりをお願いする時点で3杯を平らげている。
細くて小さいのに意外と大食いな鈴音は生粋のアスリート体質だ。
終始楽しい雰囲気で終わった夕食タイム。
その後のデザートタイムでふわり特性手作りショートケーキを堪能し、まったりした空気が流れていた。
「う~、お腹苦ちーよー」
「カレー4杯の後にケーキ三個も食うからだよ」
「らってぇ……ふわわんのはどっちも美味いんですもん」
「気持ちは分かるけどな」
「れーじ君、ぽんぽんぱんぱんなのでナデナデしてくださいよー」
「全部擬音で訴えてきたな。セクハラとか文句言うなよ?」
大の字に寝転がってお腹を膨らませるって姿が妙にエロい。
「んぁーっ、ふわわんの御飯が美味しすぎるがいけないんですーっ」
「おいコラ、暴れるなって」
足をバタバタさせて膝を立てるもんだから、ショートボトムの隙間からライトブルーの下着が見えてしまっている。
ったく無防備だな。俺が男だってこと分かってるのか?
まあこの状況で襲い掛かるなんてしませんけどね。
「ほら、ナデナデしてやるから大人しくしろ」
「にゃはは~、れーじ君が優しい~」
子供みたいだな。
「れー君れー君、私もぽんぽんぱんぱんでなでなでぷりーずだよー」
「杏奈までなんだよ」
鈴音の反対側に陣取ってパジャマをめくってくる杏奈。
白いお腹と小さなおへそが丸見えだ。めくり上げてるので下乳がチラリと覗いている。
(ノ、ノーブラ……)
「視線が熱いなぁ~」
これはしょーがないと思うんだ。
「私はお茶のおかわり淹れてくるねー」
「ああ、すまんなふわり」
「いいよー」
できるだけ杏奈の突起を見ないようにお腹を撫でる。
なんてシュールな光景だろうか。
「ふにゃ~、なでなで気持ち良い~」
「ですね~。れーじ君のお手々は大きくて温かいです」
「れーじくーん、後で私もやってー」
3人が3人とも甘え始めてしまった。
とりあえず一通り甘えモードの熱が収まるまで鈴音を甘やかし、甘え始めたふわりのお腹なでなでタイムとなった。
「ふにゃ~ん、これはクセになりますなぁ」
ぷにぷにとしたお腹。しっかりとしたくびれがあって、無駄な肉などついていなさそうなのに、触るとしっかりと柔らかさと弾力が手に吸い付いてくる。
シルク生地の上からなでつける女の子のお腹の感触は、男のリビドーを刺激して理性を少しずつ溶かしてくる。
「れーじくん」
「ど、どうしたふわり」
「もうちょっと広い範囲なでなでして欲しいなぁ」
「ひ、広くか……このくらいかな」
「もうちょっとぉ」
こ、これ以上広い範囲を撫でるといろいろと事故が起こりそうだけど……。
ふわりの淫靡な目付きはそれを許容しているような、あるいはそれこそを望んでいるかのような……。
「れー君れー君」
「今度はなんだ杏奈」
こっちはいそがしいんだっちゅーねん。
「膝枕してぇ~」
「膝枕ぁ? いまふわりのお腹撫でるのに忙しいんだけど」
「膝貸してくれるだけでいいからぁ」
杏奈は半ば強引に膝の上にダイヴし、腰にタックルするようにしがみ付いた。
「鈴音も~っ、鈴音も膝枕してほしいですぅ」
なんだか女の子達の甘えが止まらない。
仕方ないので背中越しにふわりのお腹を右手でなでなでしつつ、膝に陣取る2人の頭を順番に撫でる。
「ひゃん♪」
「うおっ、す、すまん」
「えへへ、れーじくんのえっちぃ♡」
背中越しに撫でているので視界が取れないお腹以外の所を触ってしまうが、ふわりはわざと体をずらして触らせようとしてくる。
そうかと思ってふわりに意識を集中しようとすると、前の2人がお腹にグリグリと頭を擦り付けて「構って構って」とおねだりしてくる。
太ももあたりをくすぐってくるもんだからいろいろと昂ぶってしまいそうだ。
理性を総動員して膨らまないように意識を逸らす。
こ、これはなんという天国地獄。
自制心がきかなくなりそうだ。
よ、よーしっ。このままではなし崩し的にいろいろとダメになりそうだ。
こうなったらこのままゲームに突入してしまおう。
「お前ら、このまま4回目のゲームに突入するぞ」
「いいよー。今回は~、れー君が全部赤でいいよー。クジを引いて順番決めちゃって」
杏奈の奴め、食後のまったりタイムで面倒くさくなったな。
フリーダムに過ぎるが、この状況を脱するにはこうするしかない。
「よし、なら箱二つとも俺が引いちゃうからな」
「はーい、れーじ君にお任せしますよー」
3人ともまったりタイムを終わらせるつもりはないらしく、全部を俺に丸投げする気満々のようだ。
「えーと、なになに。王様、正室側室全員……そして指示書は……な、こ、これはっ」
「なんて書いてあるのー?」
そこに書いてある内容を見て、俺は顔が熱くなるのを止められそうもなかった。
「だ、抱きしめながら耳に息を吹きかける」
絶対俺だけ王様ゲームがますます過激さを増していく予感がビリビリするのだった。




