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最高位邪神と転生眷属のわちゃわちゃはちゃめちゃ救世記  作者: 木に生る猫
再会の世界

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ユリの要求と対価

更新再開します!

お待たせしました!

「なんですかここ」


 グルーディアに付いていき、辿り着いた部屋でユリは率直にそう尋ねた。

 城の外に回り、壁の一部を押し……とにかく色んな手順の果てに辿り着いた、一つの部屋。

 そこは、狭いながらも快適そうな部屋だった。


「俺の隠し部屋だよ。密談にはとっておきだろ」

「……したいのは、密談ってほどのことじゃないんですけど……もし私の危惧が杞憂じゃないのなら、こんなの筒抜けでしょうし。……まぁいいです……私にはどう対策したらいいのかなんてわかりませんし」


 ユリがそう言い、ぎゅっと悠莉と繋いでいる手に力を込めた。

 悠莉は緊張しているらしいユリに気付くと、そっとその手を握り返しながら無言のまま心配そうにユリを見る。

 すぅ、と軽く息を吸って、ユリが言った。


「もし……もしも、この後の調査で……ルスディウナという名が出たり……あるいは、神様とか、意味のわからない供述をしたら。私に、一報をください。お願いします」

「ほう……ユリ、お前は何を警戒してるんだ? そのルスディウナとやらか?」

「……まぁ……そうなりますね」

「そいつは何だ? お前とどんな関係がある?」

「……なるべく巻き込みたくないんですから、そんなに探らないでください。そんなことより、私のお願いは受け入れてくれるんですか?」

「一報を入れる、か。いいぞ、その後の行動については……なぁ?」


 グルーディアがそう言って静かに笑った。

 ユリがそれに眉を寄せていると、悠莉がそっと尋ねてくる。


「ねぇ、ユリ……ルスディウナって……」

「……そうですね。ルスディウナは……神様と名乗り、ゆうちゃんに私の生存を仄めかした人です。……仕方ないので、話せることだけ話しましょうか。本当は主様の指示が欲しいけど……期待できませんし、しょうがないですね。ただし、国ごと巻き込まれても知りませんよ。積極的に誰かを犠牲にしようとは思いませんけど、優先順位がありますから。いいですね? 話しますよ?」


 ユリはそう言い、グルーディアに説明できるだけのことを説明した。

 ルスディウナは、ユリのことが邪魔で邪魔で仕方無くて、ユリを殺そうと狙っていること。

 ルスディウナは、ユリよりも強いであろうこと。

 ルスディウナは悠莉を騙し、あわよくば操ろうとしていたこと。

 ――などなど、その他諸々。

 それらを話したユリは、グルーディアを見た。


「……こんなもんですかね。さて、そんなわけで……皇帝陛下。その後の行動も許可してくださらないと、私、死ぬ可能性すらあるわけですが?」

「護衛……でも、ダメだろうな。お前でもダメなら」

「そうですよ。差が歴然過ぎて、時間稼ぎにすらならないでしょうね。さてどうします??」


 ユリが圧のある笑顔を浮かべながら再度尋ねると、グルーディアが溜息を吐いた。

 そして、呆れたような表情で言う。


「わかったわかった、それらしいことを吐いたら伝えるし、そいつの対応のために何をしたって構わねぇ。それでいいんだろ? ……はぁ……惚れてなけりゃとっくに追い出しているところだ。精々感謝するんだな」

「はい、ありがとうございます。……なんですか、意外そうな顔して」

「……そりゃ、意外だからな。俺には感謝もしないと思っていたんだが」

「あなたのことが嫌すぎるので、ある程度無礼は働きますが……不誠実になるつもりもないですよ。お世話になってる自覚もありますし、やれることはやります。――で、対価は」


 当然のようにユリがそう確認すると、グルーディアが顔を顰めた。

 そして、お返しのように、当然みたいな顔をして言う。


「無いぞ」

「はい?」

「対価は無い。というか、ルスディウナとやらにユリが対応することそのものが対価だ。杞憂なら杞憂でいいんだがな。生憎、お前くらいしか対抗手段は無いらしいからな……それでいいだろう?」

「知ってますか皇帝陛下、タダより怖いものはないんですよ。こっちが巻き込んでるんだから、ルスディウナに私が対応するのは当然のことなわけですよ。なのに対価は無くていいってなんですか? え?」

「めんどくせぇやつだなぁ……タダじゃねぇって言ってんのに。……ならこうしよう、お前のコイビトとやらが来たら、俺に紹介しろ。それで勘弁してやる」

「え? なんでですか? 嫌なんですけど。お金……いや、うーん……」

「別に渡せるものも無いんだろ。これが対価だ。いいな?」

「嫌です。主様が来たら出ていきますし」

「はぁ?」

「あ、ちょ、ちょっと……喧嘩しないで……」


 二人の間に険悪な空気が流れ始めたので、悠莉が慌てて仲裁した。

 そして、困った顔をしながら二人に向かって言う。


「ま、まぁまぁ……ユリ? えっと……せっかくだし、皇帝陛下が紹介だけでいいって言うんだから、ね? ……皇帝陛下も、そんなに怒らないであげてください。ユリは……ヴェルディーゼさんが好きすぎるだけなので……」

「大好きです! 何よりも!! だからっ、紹介とかせずにさっさと主様の傍に居続けたいんですよ私はぁ! ……だから……ルスディウナも邪魔なんです。主様に手を出そうとする不届き者……え……? 処さなきゃ……」

「ゆ、ユリ、ヴェルディーゼさんと一緒に居れなくて不安定なのはわかってるんだけど、ちょっと落ち着いて……! ほら、ぎゅーってしてあげるから!」


 目から光を消して呟くユリをなんとか落ち着かせ、悠莉は一先ずユリを部屋に連れ帰った。

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