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最高位邪神と転生眷属のわちゃわちゃはちゃめちゃ救世記  作者: 木に生る猫
再会の世界

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休みと協力

 それから数分後。

 ユリは、悠莉と龍也の前でも叱られ続けていた。


「全く反省の色が見えないんだけど? ユリ?」

「き、聞いてます反省してます。で、でも、それは私の性分というか……」

「咄嗟に他人を優先してしまったのなら仕方ない。でも自分を守るのを忘れるな。何度言ったらわかるの?」

「わ、わかりましたってばぁ……うぅ……」

「僕が読心できること忘れてる?」

「うっ……こ、子どもっぽいのはわかってるんですけど、褒められると思ってたのに怒られたから拗ねちゃってるんですよぉ……ちゃんと、落ち着いたら反省できるはずですからぁ……」

「……はぁ。そうだね、頑張ったのは事実だよ。……ここら辺で切り上げるか」


 ヴェルディーゼがそう呟き、お叱りを切り上げてユリの頭を撫でた。

 ぱちくりと目を瞬かせたユリに優しく微笑み、ヴェルディーゼがユリを抱き上げて言う。


「お疲れ様。よく頑張ったね」

「……そ、そぉですかぁ……? えへへへへへ……や、その、ゆうちゃんとリューくんがいたからこそ、ですしぃ? 結局私はそんなに戦ってないわけで〜……」

「指揮も大事な役割だよ。ヒドラの分析もちゃんとできてて偉かったね。守ることもちゃんとできてたし……ああ、柱に使った深淵を回収して再利用してくれたのも良かった。深淵はちょっと影響が強いから、そう何度も出さなかったのは良い判断。ブレスが直撃した時以外しっかりと二人の位置も把握できてた。初めてでこれは天才と言っても差し支えないと思う」

「ふ、ふへへ……主様ってば、私には甘々なんですからぁ〜! 褒めすぎですよぉ〜……過剰な評価すぎますっ」

「そうかもしれないね。でも、僕にとってユリは天才だから」


 ヴェルディーゼがにこやかに褒め始めると、ユリが頬を押さえてもじもじと照れ始めた。

 嬉しそうなユリにヴェルディーゼは本当に楽しそうに微笑むと、ユリがくいくいとヴェルディーゼの服を軽く引っ張る。


「あの、主様。ごめんなさい。私……」

「本当に扱いやすくて可愛いな。反省したならいいよ、次が無いよう願ってる」

「もう、扱いやすいって……」

「褒められたら拗ねてたのにすぐ元気になるんだから、扱いやすいでしょ」

「ひ、否定はしませんけど! そんな風に思われるのは喜ばしくないですよ!」


 ぷくりと頬を膨らませてユリがそう言い、溜息を吐いた。

 そして、ぴっとりとヴェルディーゼにくっつきながら悠莉と龍也を見る。


「お二人も、お疲れ様でした。ちょっと休憩にしましょう」

「う、うん。……その……ユリ、大丈夫? 落ち込んでない?」

「大丈夫ですよ? 主様のお叱りで落ち込むわけっんにゃにっ、いたたたたたた!? 変な意味じゃないです、嬉しいだけです! 引っ張らないでぇぇ……っ」

「もちもち……」


 ヴェルディーゼがユリを抱き抱えたまま近くにあった切り株に腰掛け、その頬をむぎゅむぎゅと触り始めた。

 地味に痛いのでユリが涙目でヴェルディーゼを見上げて視線だけで抗議する。


「……で。報告しないといけないんだっけ? もうした? まだ死骸残ってると思うけど、あれどうするの? 持ち帰る?」

「あ、うん……報告はこれから。ヒドラは……私が回復したら、一応討伐の証として持っていこうと思ってるよ」

「そう……じゃあ、後で回収に行こうか。そしたら……次は……こんな感じのことの繰り返し? 休みとか無いの」

「申請はできるけど、なんでだ? 道中でちょっとした休憩くらいあるし、俺たちは問題無いぞ」

「したいのは休憩じゃなくて特訓。魔王と戦うには実力不足過ぎる。別に一緒に戦わせるつもりはないけど……置いてはいけない以上、遭遇しても生き残れる程度にはなってもらわないと」

「あ〜! でも、ゆうちゃんの……天剣召喚でしたっけ? 足止めくらいできそうじゃないですか? その隙に逃げれば……」

「できるかもしれないけど、魔王城ごと壊れて落下するよ。大量の瓦礫に巻き込まれても生き残る自信は?」


 ヴェルディーゼがそう問うと、悠莉と龍也が首を横に振った。

 二人は直接魔王城を見たことはないが、それでも城である。

 相当な規模であることは窺える。


「お休みだけど……色んなところの状況にもよるんだけどね。余程切羽詰まったところが無い限りは、休憩もできるよ。ちょうど大仕事を終えたところだし、反対されたりとかも無いと思う」

「反対されることあるんですか」

「本当に切羽詰まってたらね。そうそう無いとは思うよ。まぁ、今がそんな状況だったらどうしようもないんだけど……」

「魔王はまだ動いてないはず。とりあえず連絡してみて」

「ああ、やってみる」


 龍也が頷き、連絡板を取り出した。

 悠莉もそれを覗き込んで、ユリとヴェルディーゼは連絡が終わるのをじっと待つ。

 少しして龍也が顔を上げると、こくりと頷いた。


「大丈夫みたいだ。ちょっと問題のあるところはもちろんあるけど……各国が兵士を派遣するから、問題無い」

「……そういえば、二人を支援してるのって……一つの国じゃない、みたいだね。各国……」

「現状は、全部の国が協力してるよ。それくらい魔王は厄介だから」

「……そう。じゃあ、少し休んでヒドラを回収したら、少し開けたところまで行こうか」


 ヴェルディーゼがそう言い、何やら考え事をするように目を伏せながらユリを抱き締めた。

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