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最高位邪神と転生眷属のわちゃわちゃはちゃめちゃ救世記  作者: 木に生る猫
再会の世界

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謝り合って、許し合う

 ユリは悠莉を抱き締めて、落ち着いた声で今起きたこと、ルスディウナが言っていたことを説明した。

 ルスディウナはヴェルディーゼのことを狙っている神で、今回は襲撃に来たのであろうこと。

 彼女に、ユリは千年間もの期間封印され、孤独を味わったこと。

 ユリが封印を回避できなかった原因、銃へのトラウマは、悠莉の記憶から知った可能性が高いこと、などなどを、ゆっくりと。


「ゆうちゃん。先ずは……ごめんなさい。主様を貶されたって……そう感じてしまって。そうしたら、感情が制御できなくなって……身体が、無意識に動いて。主様が気付いてくれなかったら、私は……ゆうちゃんのことを……」

「……気にしないで……なんて、無理かもしれないけど……実際、怪我はしなかったんだから、いいよ。……私も……結莉の大切な人のこと、あんな人なんて言って。良くなかったと思うから……」

「……そんなの、比較対象にもならないのに……」

「それに……それにね。私のせい、なんでしょ? 結莉が、千年っていう、ちゃんとした想像も難しい年月を……独りで過ごしたのは」


 悠莉はそう言って、ぽろぽろとその瞳から涙を零した。

 慌ててその涙を拭おうとするユリを止めて、悠莉は服の袖で乱暴に涙を拭いながら、震えた声で言う。


「ごめん、ごめん、ね。泣きたいのは、結莉の方だよね。本当に、ごめん……私が……」

「そんな……そんなの、悪いのはルスディウナに決まってます。ゆうちゃんのどこが悪かったって言うんですか。そんなことを言う人が居たら殴ります。たとえ主様でも」

「だって……私が、あの人のことを信じたから……」

「……そんなことはない……んじゃ、ないですかね。ルスディウナの能力のこと、私は詳しくないから……なんとも言えないけど……あの光の球。ゆうちゃんが受け入れたんですか?」

「……うん」

「じゃあ……信じさせた方が都合が良かっただけで、別に無理矢理でも入れられるんじゃないですかね。たぶん」


 ユリがそう言ってヴェルディーゼを振り向くと、ヴェルディーゼはゆっくりと頷いた。

 そして、空を見上げて睨みながら、低い声で言う。


「できないわけではないと思うよ。というか実際、僕もやられかけたことあるから……防いだけど……信じさせた方が、自分にとって都合の良い動きをしてくれるからやったんだろうね」

「ほら、ゆうちゃん。主様が言うなら間違いないです。主様のことが信じられないなら、私のことを信じてください!」

「ゆ、結莉……」

「……それとも、もう……私のことも、信じられませんか?」

「……わかってて聞いてるでしょ、もう。……ごめんね、結莉。さっきの人が悪いんだとしても、私にも謝らさせてほしい」


 眉を寄せて悠莉が言い、頭を下げた。

 ぱちくりと目を瞬かせたユリが苦笑いすると、そっとその顔を上げさせて言う。


「私こそ、ごめんなさい。怖かったでしょう? それに……再三言いますけど……」

「うん、わかってる。一緒には、帰れないんだよね。大丈夫。結莉だって、何度も私にそれを突き付けるの、辛いでしょ?」

「……あはは……そう、ですね。……ゆうちゃん……私はもちろん、許します。というか、何の罪もないんです。ルスディウナに騙されたのはゆうちゃんが悪いわけではなくて、封印だって、ゆうちゃんは利用されただけ。それに比べて、私は……」

「そうだね。酷いことをしたよね。それは変わらないと思う」

「……ゆ、ゆうちゃぁん……笑いながら言わないでぇ……」

「ふふ、ごめんね。……結莉のそれは、絶対直すべきだと思うし、凄く悪いことだよ。でも……私は許す。私は怪我だってしなかったし、許せちゃうくらい結莉のことが大好きだから。私は、許すよ」


 まっすぐにユリを見つめて悠莉が言うと、ユリが口元をまごつかせた。

 そして、押し倒すようにして悠莉に抱きつき、バタバタと足を暴れさせる。


「わーゆうちゃん私も大好きですよ〜! 大好き大好き大好き大好き!」

「ひゃあ! も、もう、恥ずかしいよ……!」

「……あっ、主様が嫉妬してる……へへ……」

「ユリ、喜ばないで。……お互い許すってことで話が纏まったなら、今後のことについて話したいんだけど。休憩は必要? 無理矢理ルスディウナの魔法を抜いたし、それなりに疲労感があるはずなんだけど……」

「あ……言われてみれば……少し、疲れてるかも。……でも、これくらいなら平気です。話をしながらでも休めますので、龍くんが大丈夫なら。……あ、放置しちゃってごめんね……?」

「親友との再会なんだろ? しょうがないよ、気にすんな」


 龍也はそう言い、ヴェルディーゼを見た。

 するとヴェルディーゼは頷き、改めて全員を眺めてから言う。


「とりあえず、そうだな……こっちの要求というか……提案かな。君たち二人を守るために、行動を共にしたい。そしてその上で……僕達の姿や名前が公表されるのは、都合が悪いんだ。だから……隠れ蓑になってほしい」

「か、隠れ蓑?」


 戸惑う悠莉にヴェルディーゼは苦笑いし、その理由について説明を始めた。

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