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最高位邪神と転生眷属のわちゃわちゃはちゃめちゃ救世記  作者: 木に生る猫
再会の世界

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勇者に会う方法

 一先ず二人は掲示板から離れ、今後の行動について話し合っていた。

 先ずは、勇者と賢者の足取りを追いたいところではあるのだが――


「うーん。如何せん、詳細な位置がわかんないんですよねぇ……んー。入れ違いになったりしたら、困るかも……あの掲示板、どこにでもあるんでしょうか……」

「さぁ……大きい街にはありそうなものだけど。……勇者たちって、この国に所属してるってことでいいのかな……それとも未所属か……未所属だったら面倒だな、国外にも行くかも」

「私たち、基本徒歩ですよね。主様は魔法使うの控えたいみたいだし」

「そう、だね。無理をさせるつもりもないけど。……まぁいいや、今の目的地は国外じゃないんだし。えっと……とりあえず、掲示板。掲示板のある街を知ってる勇者のファン、いないかな」


 ヴェルディーゼがそう言って周囲を見回した。

 ちらほらと人が歩いているが、先ほどの人だかりの中にいた人はあまり見当たらない。

 掲示板よりも先に声をかけるべきだったか、とヴェルディーゼが反省しつつ、視線を巡らせて詳しそうな人を探し続ける。


「……主様、どこ見てるんですか?」

「どこ、というか……誰に話を聞くか考えてるんだよ。……ん、じゃあユリ、あの人に声かけて」

「へ? えっと……あそこの綺麗なお姉さんですか? ど、どう声掛けよう……うーんと……よしっ」


 ユリが少し考え、ヴェルディーゼが手で示した女性の方へ駆け寄った。

 そして、にこやかに微笑みながら声を掛ける。


「すみません、お姉さん! お時間よろしいですか!?」

「ん? どうしたの?」

「実は、勇者様と賢者様のことが知りたくて、聞いて回っているんです! ……まだ一人目だけど……とにかく、なにかご存知じゃありませんか?」

「あら、それは……ふふっ、運が良かったわね。私ね、勇者様たちのことに詳しいの。お嬢さんは、どうして勇者様のことが知りたいの?」

「へっ? え、ええと……勇者様と賢者様のお話は、聞いたことがあったんです。それで、私は旅をしているので、いつかは会えるかなって思ってたんですけど……全然会えなくて。すれ違うばかりで……一度くらいその姿を見てみたくて、会ってみることにしたんです! 噂を聞いている限りじゃ、あまりにもすれ違い、入れ違いが激しいので!」


 ユリが頭を回転させてなるべく嘘を少なくしながらシナリオを作り上げた。

 そして、ニコニコと微笑んでいると、目の前の女性はジッとユリのことを見つめてくる。

 その視線にユリは少しだけ不安そうにしながら女性を見つめ返すと、女性はパッと笑顔を浮かべた。


「そう。会ってみたいのね。お嬢さん、お話をするのは難しいかもしれないけど、会うだけならそう難しい話ではないの。勇者様も賢者様も、とっても気さくな方だから」

「お姉さんは、会ったことがあるんですか?」

「ええ、少しだけど話したこともあるわ。一番早いのは、やっぱり勇者様たちが行くところに先回りする方法ね。〝連絡板〟は知ってる? あの白い板よ」

「連絡板って言うんですね。見ましたけど、勇者様たちの行き先は、大まかにしか書いてなくて……どこに行くのか、いまいちよくわからなかったんです。確か、目的地は少し遠くの森なんですよね」


 ユリがそう言って首を傾げると、女性が頷いた。

 そして、連絡板の方へ向かうと、そこに描かれている簡易の地図を指差す。

 勇者たちが目指している場所から少しズレたところを指差す女性に、ユリはきょとんとする。


「ここに、村があるの。結構大きな村で、過ごしやすくて、目的地にも近いからきっと勇者様たちはここに泊まるわ。勇者様たちは時々寄り道をするから、会えるかどうかは、わからないけど……行ってみたらいいんじゃないかしら」

「わあ……! ありがとうございますっ、お姉さん! ……でも、村……」


 ユリが少し前に立ち寄った村のことを思い出し、苦い顔をした。

 危うく眠らされて食べられるところだったのだ。

 この世界にはああいう食人をするような存在がまだいるかもしれないと考えると、警戒せざるを得なかった。


「……どうしたの? 村は嫌?」

「嫌……というか……その……」

「……言ってみて。実は私、色んなところに顔が利くの。何かあったのなら、教えてくれたら対処できるわ」


 思わず顔にも口にも感情を出してしまい、ユリがハッと肩を揺らした。

 しかし、もう誤魔化せそうになく、女性も親身になってくれようとしているのでユリが困った顔をする。


『話していいよ、だから声掛けさせたんだし』


 ユリが迷っていると、頭にそんな声が響いた。

 ヴェルディーゼがいいと言うなら、とユリが口を開く。


「……その……一緒に旅をしてる人が、気付いてくれて……逃げられたんですけど。……村で、その……食事になりかけたというか……」

「……」

「姿はちゃんと人でした。なのに……その人曰く、少なくとも今は……人じゃないって」

「……魔王」

「えっ?」

「……安心して。ちゃんと、対処しておくから。……ああ、そうそう……勇者様について、もう一つだけ。勇者様たちは冒険者でもあるから、ギルドでも会えるかもしれないわ。旅をしているなら、冒険者として登録しておくと便利よ。それじゃあ、またね」


 女性がそう言って急ぎながら去っていくので、ユリが戸惑いながら手を振って女性を見送った。

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