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最高位邪神と転生眷属のわちゃわちゃはちゃめちゃ救世記  作者: 木に生る猫
再会の世界

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念のための警戒

 あれから、数日の時が経った。

 ずっとヴェルディーゼの傍にいて、ユリの心もようやく落ち着きを取り戻したと言えるだろう。


「主様、主様。お話ってなんですか?」


 そんなユリは、現在、ヴェルディーゼに話があると言われ、無邪気な笑顔を浮かべながら首を傾げていた。

 その目の前に立っているヴェルディーゼは眉を寄せており、ユリは不思議そうにその顔を眺める。


「ユリ……申し訳ないんだけ、ど……銃がある世界に行くから、留守番してて。ごめん。嘘じゃないから。誤魔化したりもしてないから、待てる……?」


 ユリが目を丸くしながら固まった。

 ヴェルディーゼがそんなユリに不安そうにしていると、ユリはぱちくりと瞬きをしてから微笑む。


「なんだ……そんなことだったんですか。凄く深刻そうな顔をしているから、何か問題でも起きたのかと……大丈夫ですよ、主様。私は、ちゃんと待っていますから」

「……え?」

「え、じゃなくて。大丈夫だって言ってるんです。……寝る時は大丈夫じゃないですけど……それに関しては、なんだかんだこれまでも頑張れていたわけですし、些細なことです。基本的には、嘘を吐かず、誤魔化しもせず……その上で行くのなら、私に文句はないです。いってらっしゃいませ、主様。そして、なるべく早めに帰ってきてくださいね」

「……本当に大丈夫? 前より落ち着いてるし、騒がないし……大丈夫なの?」

「騒がないしってなんですか。私が四六時中騒いでるとでも思ってるんですか。騒ぐ時は騒ぎますけど」


 ヴェルディーゼが眉を寄せ、心配そうにユリを眺める。

 じとりとこちらを睨む黄金色の瞳に、拗ねたように尖った唇。

 表情は、普段とそう変わらない。


「可愛い」

「へぇっ? な、なんっ……なんですか急に……? 嬉しいですけど、唐突ですね……? 主様も……。……主様も……か、……可愛いです」

「照れ隠しだね。褒め返ししようと思ったのに恥ずかしくてできなかった?」

「なんでバレるんですかねぇ……うー、もう早く行ってくださいよぉ。恥ずかしいんですから……早く行って早く帰ってくる! それでいいじゃないですか! 私の心配をしすぎです! あんなことがあった直後なので仕方なくもありますけど!」

「……うん、騒げる元気はあるね。ならよし。じゃあ僕は行くけど……どうしようかな。ユリ一人は、ルスディウナに狙われそうだし……」

「リィ様のとこ行きますか? なーんか凄く信頼してますよね。若干不服です」

「リィとはそういうのじゃないってば……拗ねないで。……フィレジアも……今は……うーん、リィかぁ」


 悩ましそうにヴェルディーゼが呟いた。

 手持ち無沙汰にユリの髪を指先でいじりつつ、ヴェルディーゼが悩むようにぼんやりとユリの顔を見つめる。

 頬を染めながらユリがふいっと目を逸らし、そのまま尋ねた。


「何かあったんですか? なんだか、リィ様のところに行かせるのを嫌がってるみたいですけど」

「嫌、っていうか……念のために警戒しておきたいんだよ。ユリのトラウマの件がどこから漏れたのかわからないから……あれ、ユリのことを知ってるから銃使ってたんだろうし」

「うぎゅぅ……思い出すとくるしい〜……ま、まぁ、転移してきた瞬間、銃口が私に向けられましたから……そうですよね。……リィ様とかフィレジア様のことも、警戒するんですか?」

「一応ねぇ……ただ、結界を出すことしかできないリィには僕にバレずに調べるなんて不可能のはずだし、フィレジアは気配に慣れ親しみすぎて意識しなくてもわかるから……どうするかなぁ。でもユリが関わった神ってあの二人くらいしかいないんだよね……」

「リィ様のお城、罠でいっぱいなんですよね? 魔法じゃないんですか?」

「魔法もあるね。リィの知り合いみんなで作ったやつで、一応僕も関わってる。リィは設計にちょっと口出ししたくらいのはずだよ。……リィには攻撃手段が無いから、やらないと死んじゃいそうだったんだよね」

「ほぇ〜……」


 ユリが気の抜けた相槌を打っていると、ヴェルディーゼがそっとその腕を掴んだ。

 そして優しく微笑むと、ユリに向けて言う。


「不安だから、ユリが封印から解放された後に連れて行ったあの地下室に」

「嫌で……いやっ、……嫌です。というか地下室なんですねあそこ」

「地下室だよ。直接歩いていくことなんてほぼ無いけど、階段もちゃんとあるんだよ。……一瞬、受け入れようとは思ったみたいだけど。どうして?」

「なんか壁に拘束具付いてるじゃないですか。それを思い出して……怖いので嫌です。ずっと見ていたいならせめて部屋に監視の魔法とかを置いておく感じでお願いします」

「……しょうがないな。なるべく部屋から出ないでね」

「はいはぁい、私も主様を不安にさせるのは本望じゃないですし、用事もないですからね!」

「じゃあ、行ってくるね」


 ユリがヴェルディーゼが転移をして消えるのを見届けて、ころりと部屋の中に転がった。

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