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最高位邪神と転生眷属のわちゃわちゃはちゃめちゃ救世記  作者: 木に生る猫
真っ暗闇の世界

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探し求め彷徨う

「アハハハッ! ほら、ほらあ! 何か言ってよお! 大切なあの子が封印されちゃった気分はどーお? 今の弱体化してる最高位邪神様じゃ、あの封印には手を出せない! だって、だってあれは! あれは、ルスディウナ様が直々に用意したものなんだからあ! ねえ、ほらあ! どうにかしないとって思わないのお? 試したところで無駄だけどねえ! アハッ、アハハハハハッ! ああ、ルスディウナ様あ! 私は役目を完遂致しましたあ! どうか、どうかどうかどうかどうかあ! 私を」


 少女の声が、不自然に途切れた。

 鮮血が舞い、斜めに斬られた少女の頭がずるりと落ちる。

 炎が、氷が、風が、水が、土が、闇が、少女の身体へと殺到し、その身体を原型が無くなるまで破壊し尽くした。

 それを為したヴェルディーゼは、その場に力無くへたり込んで頭を抱える。


「……なん、で。……なんで……こんなことに……? 僕は、ただ……ユリに危険が及ばないように……。……ユリ……そうだ、助けないと……早く……」


 譫言のように呟きながら、ヴェルディーゼがよろよろと立ち上がる。

 そして、真っ赤に染まった地面を見て、小さく言葉を漏らした。


「情報源……ああ、しまったな……生かしておくべき、だったのに。……死んだなら……どうでも、いいや。早く……どうにかしないと……」


 ぶつぶつと呟きながら、ヴェルディーゼが魔力を巡らせる。

 この世界に、何か封印のヒントは――無い。

 少女には――無い。

 隅々まで、ヴェルディーゼがヒントを探し求めて調査をする。

 何も、無い。

 どこにも、何も。

 元から、ユリはここには来ていなかったかのように。

 封印の仕掛けなど、ここには無かったかのように。


「……なん、で。なんで、どこにも……あんな封印の痕跡を、完全に消すなんて……できるはず……そう、そうだ、ルスディウナ……ルスディウナが用意した仕掛けなら……ルスディウナになら、なにかヒントが……」

「あら、まだ心が折れていないのね? 意外だわ。そんなにあの子のことが大切? らしくもなく躍起になって、封印を解く方法を探すくらいに?」

「……ッ」


 背後から聞こえた声にヴェルディーゼがバッと振り向き、剣を振った。

 ふわりとそれを躱したルスディウナは、くすくすと微笑みながらヴェルディーゼを眺める。


「やっぱり、弱っているわね。上手く行ってよかったわ。あの子、可愛かったから少し惜しくもあったけれど……消す判断をして、正解だった。封印以上に、その精神状態のせいで動きが鈍っているのでしょう?」

「ルスディウナ……情報を、寄越せ」

「それだけで私が簡単に情報を渡すと思っているのかしら? ……ふふっ、でも、そうねぇ……一つだけ、教えてあげる。封印の内部では、時間が過ぎるのがとーってもゆっくりになっているの。だけど、あの子が体感する時間は、通常通り。あなたが封印解除の方法を求めて彷徨っていたあの数分で、あの封印内では一体何時間が過ぎたのでしょうね?」

「……な……」

「さて、あまり長居すると、あなたに攻撃されてしまうわね、ヴェルディーゼ? ふふっ、心が折れるその時を、楽しみに待っているわ」


 ルスディウナがそう言って軽く手を振り、去っていった。

 引き止めることもできずに去ってしまったルスディウナがいた場所を睨みつつ、ヴェルディーゼが必死に頭を回転させる。


「何か……何か、方法はあるはず。あるはずなんだ……探せ……見つけ出せ。ほんの一欠片のヒントでも、なんでもいい……見つけろ。……見つけるんだ……」


 言い聞かせるように呟いたヴェルディーゼは、ふらふらとした足取りで、ただただ封印解除のヒントを求めて世界を一人彷徨い始めた。

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