プロローグ
その星では、神は人の味方ではなかった。
人は星の自然環境を顧みず、化学を発展し続け、ついに神々の怒りを買ったのだ。
その星の神々の長は、ホシアカリ丿ミコトヌシと云い、神々に全人類の抹殺を命じた。
神々は、次々に人の身体に乗り移り、顕現した。
そして、人ならざる大自然の能力に満ちた力で人々を殺し、その数を減らす事に注力した。
人々は、その神が乗り移った人のことを「神災」と呼び、恐れた。
神災は、霊的な存在である為、人が発展させた化学の力では決して、滅することはできなかった。
人の世を支配していた帝国は、神災に対策を講じた。
霊的能力の高い人間を世界中から集め、神災を滅するのではなく、神災の魂を封印する集団を作った。
彼ら彼女らは、「霊媒師の民」と人々から呼ばれ、次々と神災の乗り移った人間の肉体を剣で討ち、神災の魂をその剣に封印していった。
そうして人の世は、なんとか保たれたが、星の主であるホシアカリノミコトヌシがそのまま人を放置しておくわけがない。
ホシアカリノミコトヌシは、人の魂の憎念によってできた神、破壊と殺戮の象徴であるクロキカタマリノミコトに人類抹殺の任の全権を任せた。
これに異論を唱えたのが、シロキヒカリノミコトである。
シロキヒカリノミコトは、人々の救いを求める魂の情念によってできた救済神。神々唯一の人類の味方であった。
シロキヒカリノミコトは、あくまで人類の存命をホシアカリノミコトヌシに求めた。
ホシアカリノミコトヌシは、シロキヒカリノミコトも我が星が孕んだかわいい我が子には、違いなかったので、シロキヒカリノミコトの意見も尊重した。
クロキカタマリノミコトとシロキヒカリノミコトに顕現した人の肉体同士で対決し、どちらか勝った方の意思に人類存亡の判断を任せると言った。
そして、――帝国暦1923年――
「おのれぇええ!!!月詠ぃーーっ!!!」
不死身霊山にてクロキカタマリノミコトの顕現した肉体の宿主・堕悪をシロキヒカリノミコトの顕現した肉体の宿主・月詠が封印し、人類は、救われた。
かに思えたのだが……、