52話 猪馬鹿&蝶々
とりあえず蝶のカムイだと納得したマサムネ。
勝手な想像で恐慌状態になっていても、真実が塗り替えられれば戦意も元通り。
「しかし、カムイと掛け合わせたわたくちのうちゅくちさに見惚れないとは、中々の意思の固さと見受けまちた」
そこまで己の美貌に自信でもあるかのような物言い。
無論マリー達は、わざわざ戦闘中の敵に魅了されるほど色気めいてない。
「確かにあんたは美しいでしょうけど、このあたし、髭の生えてない男は全員お子さまにしか見えないの」
そう大胆にも自分の嗜好を告白。
そこのとこの駆け引きの妙は、優雅なファッションに反した気骨さまで伺える。
それを隣で聞いたマサムネは、どういうことかつぶらな目を点にさせていた。
「おっ、分かる分かる。ウチも関羽くらいヒゲがなげー奴しかキュンとこないし」
「はぁ……あんたとは一生意見が合わないことが確定したわ……」
「あぁん!?」
げんなりと否定だけされてしまえば、マリーへ溜め込んでいた鬱憤が爆発するには十分であった。
「ウチが珍しく同意してやったのに、なんでてめぇは米粒1つ1つ数えるみてぇに文句ばっかりつけてくんだぼけ!」
「うっさいわね! ラブとライクの区別もつかない幼稚園児に、あたしの乙女心が理解できるわけないでしょ!」
「なんつったこら! てめぇの池に飼ってる格闘技が得意な大量の喋るナマズ流し込んで二度と口がきけねぇようにされてぇのかボケでんきうなぎ! デブでんきうなぎ! ザコでんきうなぎ! 三人のクズうなぎが電気ウナギにチクるぞ!」
「意味不明! 説明必要! こいつ後でクロノにチクって絶対シバかせてやるわ!」
敵プレイヤーそっちのけで犬も食わない言い争いが始まってしまった凸凹コンビ。
喧嘩するほど仲が良いなど到底茶化せないこの状況を、むしろせせら笑っているかのように高みから眺める相手。
「あぁ、なんと醜い、口汚い。それ即ち、何もちていないわたくちが自動的に一番うちゅくちいことになりまちたね」
嫌味たらしくも、己の美貌に酔いしれるための材料にしていた。
マリーはそれを聞き逃さない。
むしろハングリーに材料化させる。
「ちょっとあんた聞いた!? あの敵、あんたのことバカにしてたわよ!」
「あんだと! マリっさんをバカにするのは許せても、ウチをバカにするやつは無限の彼方にぶっ飛ばすぞ!」
「あーこいつの操り方が分かった気がするわ」
マリーに焚き付けられたマサムネが、刀を構えて真正面から無策の突撃。
たとえ自分がやられてマリーだけ生き残ろうと、敵と相討ちとなって鬱憤さえ晴らせればそれでいいようだ。
「勇敢な人は嫌いではありまてん。なので受けて立ちまちょう。わたくちと蝶のカムイによる、ビバやかでマベらかな美技を!」
「わわっちょ!?」
レイピアがまるで一気に伸びたかのように錯覚したほどの高速で刺突。
マサムネは直感的に顎を反らして紙一重で回避成功。
それでも相手は残像すら残す速度でレイピアを引き、無茶な体勢で躱したことでバランスを保てないマサムネにトドメの追撃を加えたかったが。
「人形よりも人間の方が囮になりやすいみたいね」
マサムネの左右から5体の人形達が多角的に襲撃。
レイピアは突きには向いてはいるが、斬ったり防いだりには難があるため、相手は人形達の攻撃を止められずに衣装の何箇所かを引き裂かれる。
「ふふん、やっと攻撃が届いたみたいね」
「あぁん、素敵な連携に見惚れてちまいまちた」
どうにか相手にちょっとした手傷を負わせたが、これだけでは戦闘に支障をきたさない軽傷。
ここから畳みかけられるかが今後を問われる。
「まだよ!」
「奇襲の二度目など、既襲でちかありまてんね」
マリーに流れが来たかと思えば、やはり相手こそが流れを操る側。
斬る、避ける、斬る、避ける、突く、避ける。
人形達が何度飛びかかろうとも、彼はリズムよくひらりひらりと躱してゆく。
それもそのはず、彼自体元々身軽さを意識したビルドだが、蝶のカムイそのものの能力により体が動かしやすくなり、小さい攻撃程度なら殆ど回避しやすくなっているのだ。
「いいぞマリっさんやれやれぃ! あのおっさんがへばってきたらウチがトドメ刺すんでよろしく」
「ああもうそれでいいから! 邪魔だけはするんじゃないわよ!」
マサムネの応援がマリーの集中力を乱す。とはいえそれを度外視してもだいぶ翻弄されているが。
「いつまで経っても当てられないなんて、あの馬鹿よりもストレス溜めさせてくれるわねぇ!」
どんな美辞麗句を飾り立てても足りない、ただただ軽やかな相手の身のこなしがマリーの攻撃をかすりもさせない。
そしてこの男、マサムネの時のようにマリーへ反撃してこないのが気がかりであったが、間もなくしてその理由が明らかとなる。
「今でつ! アモれっ!」
「な!?」
突然、愛の掛け声と共にレイピアで一閃。
貫いたものこそマリーの人形だが、たったそれだけが目的ではない。
彼は、この瞬間を狙いすましていたのだ。
「おおぉおだんご……これがアニメだったら不吉な暗示じゃん」
マサムネですら、一目見ただけで慄く仕上がりよう。
そう、相手のたった一突きで、マリーの人形達が5体直列に串刺しにされているのだから。
ぐったりしている人形達を見てしまったマリーは、あまりのショッキングさに指の動きが止まる。
「なんなのよこれ……趣味悪いってもんじゃないじゃない……」
「蝶のように舞い、蜂のように刺す。もっとも、審美眼のない方には恐怖と受け取られるようでつがね」
「恐怖……? 何かしらそれ、ときめきと一緒に忘れた感情だわ」
相手の狙いが恐怖を与えて尻込みさせるのだと見抜いたマリーは、余裕の表情を纏い、糸で人形達を引っ張って回収。
マリーのカムイは人形ではなく糸の方であるおかげで小競り合いは結果的に無傷で済んだが、カムイのことなど真新しい情報を掴めなかったのは痛い。
「ここはもうあんたに丸投げするわ。バカだって思われたくないなら、なんかいい考えを頂戴」
既にお腹いっぱいになるまで無力感を味わい尽くされたマリーなので、諦めて仲間を頼る。
マサムネとは戦闘面では競う相手でもないので、いざとなれば頼ることを恥と思わないのはマリーの美点か。
なお、頼まれる前から既に作戦を思案していたマサムネなので、どうやら妙案を思い浮かんでいたようだ。
「相手は一人、ウチらは二人、つまりあいつのやることを二人で分担すりゃイーブンくらいにはなれるんじゃん?」
「なるほどね、理屈は分かったけど具体的にはどうするのよ」
マサムネの案だろうと、この場を切り抜けられるならばどんな内容だろうとマリーは従うつもりであったのだが。
「ウチが蝶のように舞うから、マリっさんが蜂のように刺す! いやぁウチュクチー作戦っすねぇ〜」
「あんたが舞ってる必要絶対ないでしょ!!」
従う価値もなかったようだ。
こんな渾身のボケを宣うほど、マサムネも内心お手上げとなっているのである。
「さて、うちゅくちき舞台もたけなわ。見るに堪えないディスやかな貴女達の仲には、せめてうちゅくちい幕引きを! 【蝶々現象】」
「来るわよ!」
満を持して相手がアーツを発動。
俊足で迫られ来ようと迎撃できるよう人形達に防御の陣形を整えるマリー。
ところが、彼は攻撃してくるどころか、ゆったりとした動きで踊り始める。
他に喩えられないほどのオリジナルの動き、どこかの民族が神に捧げるかのような神秘的な舞踊。
指先1つに至るまで美の真髄を注いだその踊りさばきは、まるで彼が何人にも分身しているような……いや、少なくともマリーの目からはそうとしか言えない。
「うっ……前衛的なアーツを出してきたわね。吐き気がしてきたわ……」
マリーが瞬きする毎に、見えているものが段々と非現実的なそれとなる。
そう、さっきまで丘陵地帯だったはずなのに多彩な色の薔薇が咲く空間となり、そこで何人にも分身した相手がバレエのように周囲を取り囲んで舞っている景色を見せつけられているからだ。
この幻覚は天国か地獄か。最早マリーは前後不覚となり、相手の位置を捉えることさえ出来なくされていた。
「ん? マリっさん急にバス酔いしたみたいになってどったん?」
「どうって……いやまさか、あんたちゃんと見えてるの!?」
「ま、コレがあるんで。ついにオシャレ方面でもマリっさんに勝っちゃいやしたかな(笑)」
マリーを小馬鹿にしながら自身を誇ったが、マサムネだけは平然としていられる種も仕掛けもある。
マサムネの腕に装備していたこの紅い宝石の嵌め込まれた銀の腕輪、これがまさに自身への幻覚状態を打ち破る効果を宿すためだ。
かつて大漁虐殺の際に、幻覚状態に陥って抵抗できぬまま倒された苦い経験があるため、二度とそうなるまいと幻覚状態への耐性をもつアクセサリーを購入していたのだ。
まさかの僥倖である。
「このアーツあくまで下準備。これより披露するはわたくちのとっておき、グロく、リアやかな絶美! 【蝶絶飛翔】」
「今度は何してくるのよ!」
マリーには何も見えていないが、相手の蝶の羽が2倍3倍とたちまち巨大化。
なんだかお決まりのパターンになってきたが、ゆえにクラン・大三字なのである。
そして蝶の巨大な羽がひとつ羽ばたかせるだけで、高く、もっと高く、上空数百メートルといった途轍もない高さへ飛翔。
その巨大な羽で太陽を覆い隠してみせると、まるでそこだけが新月の夜となったと錯覚するほどの暗黒のスポットライトが2人を照らす。
「わたくちの姿が三千世界に煌めいて駆ける、これぞ至高の美! 皆様、拍手のご準備を! 【無弦月蝶攻】!」
そしてクライマックスな前口上とアーツを唱えた相手は、蝶のようでも蜂のようでもない、隼のように急降下を始めたのだ。
これこそ、空中でボディプレスの体勢となった彼が、2人を圧殺するための最大火力のアーツ。
「分かんないいい! あんた! 諸葛亮だかドラムもんだか知らないけどなんとかしなさいよ!」
「マリっさんがガチめにウザくなったきた……やるだけやってみる。【禍舞い太刀】」
唯一肉眼で相手の姿が見えるマサムネは、この絶体絶命を打破する可能性のある新アーツを発動。
マサムネは勢いをつけて一回転し、その勢いのままに刀を一振り。
すると、刀から目にも留まらぬ速さで光の斬撃が空へと飛んだのだ。
これこそ、接近戦専門の刀のカムイでは異例な、遠距離から対空まで対応できる奥の手。
「なるほど、わたくちをクラやかに撃ち落としたいのでつね。ちかち!」
飛ぶ斬撃は一直線に上空へと突き進み、そして相手の胴へとぶつかり――消失。
滑空する勢いを相殺するには至らずだった。
「ダメでした。諦めてくるりんぱ」
「さらっと言われて受け入れられる負けなんかないわよ!」
持てる手は尽くしても、マサムネのレベルと攻撃力では文字通り太刀打ち出来なかったようだ。
そうしている間にも、相手の高度も2人のいる地点まで40メートル、30メートルと、すぐそこまで迫り来ていた。
手の打ちようもないまま確実に訪れる最期をただじっと待たされる。
リアリティに満ちた絶望感を与えるには、持ってこいの相手のアーツだろう。
「ここまでかしら。1人じゃ勝てない相手なのに、2人いても勝てないなんて……」
「いや、今回の敗因はマリっさんが弱すぎただけ」
「人のせいにすんな! こんなやつと仲良く退場ってのがほんと最悪!」
最後の最後まで口喧嘩が絶えなかった2人。
相性が悪い組み合わせもあったが、相手もクランナンバー2の並外れた実力者であったため、2人だけでいくら力を合わせようとも上に回るにはまるで足りないのだ。
それならば、2人以上ならばどうだろうか。
「【蛮勇引力】!」
「はぁんっ!?」
相手にとって聞いたことのない声と共に、魔法アーツの効果で滑空する速度を急激に増加された相手は勢い余ってあらぬところへ不時着。
そう、リトルフラワーの3人目が間に合えたのだ。
「今のうちだ! やれ!」
「クーちゃん! よーし!」
幼馴染の声に導かれ、マサムネはダッシュ。
幻覚が解除されてゆくマリーもその後に続く。
「おやめなちゃい! わたくちまで散ってちまえば、我がクランの戦略は……!」
対して相手は、得手である身軽さを殺された以上、もはや舞いも回避も不可能。
海中で疾走する魚も陸上では身動きが取れないように、どれだけ身軽な蝶だろうと世界の法則をねじ変える重力強化魔法に補足されてしまえば、芋虫のようにもがくしかなくなるのだ。
「マサムネ、マリー、我らで一息に決めるぞ!」
「うおっしゃあ任せといてぃ! 【三舞遠呂智】!」
「美しくも残酷でもなく、ただ何事もないように終わらせてあげる! 【人形襲劇】!」
マサムネ、マリー、クロの3人による苛烈な同時攻撃が、オールレンジから襲いかかる。
凸凹コンビでさえ邪魔し合わない、どうなろうと相手を倒すだけを目的に定めた決死の連携。
いくら相手が並外れた実力者といえど、無防備である以上生きて耐え凌げるはずがない。
「あああぁ……貴女達の美しき絆、しかと堪能いたちました……」
クラン大三字の4人目のプレイヤーのHPはたちまち全損。
それでも敵を褒め称えたのは、内面の美しさもあるのだろうか。
2人でも勝てなくとも、3人なら勝てる。
理屈としてはただの数の利ではあるが、それだけの数を1つに束ねられるだけの友情による勝利だ。
「合流が遅れてしまってすまない……」
「いいえ助かったわ。クロノには頭が上がらなるわね」
走り疲れたあまり息切れしているクロ。
つまりこの広大なバトルフィールドを誰とも遭遇できず東奔西走南船北馬と駆け回されたのだと、マリーも承知となる。
なお、そこまで配慮が回らないマサムネもいるが。
「ほんと遅すぎだよクーちゃん! マリっさんと2人きりとか人生おだぶつ地獄をプレゼントされたみたいだったからさぁ」
「なによ! そこまで言うことないじゃない!」
「はいはい、我が来たからにはそこまでにして欲しいのだが……」
戦いの最中でも余力を残さぬほど口喧嘩し、戦い終われば口喧嘩も再開。クロも仲裁も面倒となっていた。
「ともかくだ、初めてのクランバトルだったが、まさか5対1となるとは上首尾ではないか」
「これなら勝ったも同然ね。あと1人がどんな手練れであれ、ここまであたし達優勢じゃ敵が可哀想に思えてくるわ」
「マリー、会ってもいない相手へのみくびりはフラグな気がするが……」
「フラグ? このあたし達がパーフェクトゲームを収めるフラグってことかしら」
絶望の運命を乗り越えた反動は、運命すら操れそうなほどの万能感に満ち満ちる希望。
マサムネでさえ、同様の心境となっていた。
「フラグフラグってさぁ、クーちゃんってば漫画の読みすぎなんだよねぇ」
「言っとくけど、あんたも途中アニメで比喩したの忘れてないわよ」
「こら、また喧嘩したいのか。ふっ、はははは」
この喧嘩もいつもの風景だったなと、クロは吹き出してしまう。
クロはリトルフラワーでは一番のしっかり者だが、まだ子供。
合流し、談笑も交えられ、それだけ緊張がほぐれたのだろう。
「クーちゃんが笑うなんて超激レアじゃん! ダッハッハ!」
「このあたしも笑った方がいいのかしら。ふふっ、ふふふふっ」
釣られた2人も、クロに負けじと堂々とした笑い声を溢れさせる。
まるでここが戦場とは思えない朗らかな空気感だ。
対して、もう笑えない状況になっている蝶のカムイの使い手は、なにやらボソボソと呟き始める。
「あぁ……まさかうちゅくちきわたくちまで散ってちまうとは……」
「そういやこいつ仮死状態でしたわ。とどめ刺してくる」
動けない相手に刀を片手に、マサムネが介錯しようと散歩らしい足取りで向かう。
ところが。
ぞっと現れた別の存在の影が、マサムネの足をひとりでに止めさせた。
「マスター様……そこにいるのでちゅか? わたくちは見ての通り、儚く散ってちまいまちた……」
「マスター? いやなんじゃこいつ!?」
その存在、クラン大三字の最後の1人であることは、3人は直感した。
マサムネが恐怖のあまり介錯も放棄してまで2人の所に戻るしかなかったほどの威圧感。
「そんな、馬鹿げている……」
「嘘よね……ママより恐いって思った人間なんてそうそうないわよ……」
リトルフラワーの3人が、暫し言葉すら失って硬直したほどの強大さ。
「でちゅが、ご覧下ちゃいませ。マスター様の望む若い息吹はあちらに、うちゅくちくも逞しく……」
「ぶる゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛お゛お゛!!」
この男は神か悪魔か、おおよそ人のものではない咆哮が地平線の彼方にさえ轟いた。
冗談でもなく身長は3メートルは届きそうなほどで、更には体色が真っ赤で、逆立った髪からは一本の角が生えているという、まさに人間ではない鬼としか形容できない容姿をした新たな敵。
一応、彼が本当に人外なのではなくカムイと一体化してこの異様な威容となっているのだが、3人を慄かせるには効果は絶大すぎる。
「あのような童の娘共に破れるとは、弔う価値も無し! 軟弱千万! 軟゛弱! 千#万゛!」
「なんかこいつやべぇ! ガチギレ飛び越えてバキギレしててやべぇ!」
戦えなくなった敗者への粛清の如く、容赦なく酷評しながら地面が陥没するほどの威力で蝶のカムイの使い手を何度も踏み潰す。
マサムネ達からはもはや「恐い」だとか「これもうギャグやん」だとか口ずさむのも憚れるほど、人間がカムイ込みで戦うような相手とは思いたくもないほどの、地獄のハードコースの地獄とはどうあるかを目の当たりにされたのだった。
「くっ、奴は倒せる存在なのか、それともただの見かけ倒しか……どうする? ここはハグたんやコロリンを待つか」
「いやいやだめだめん! ハグたんは悪い奴には強いけど恐いやつと戦わせちゃだめだぁめ!」
「じゃあこのあたし達だけで何とかするしかないってこと!? 5人がかりでも勝てる気がしない相手なのに!?」
戦うか逃げるか土下座するかの相談を大急ぎで済ませ、すぐさま各々が持てる力を出し切って倒す覚悟を決める。
「ぬ゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛!」
だが、粛清を終えた相手の目線は3人をターゲットとして悪魔のような唸り声を上げている最中。
その次には、龍すら一太刀で両断しかねないほど巨大で重厚な鉄剣を上段に構え、蹂躙のためのアーツの発動準備を完了させたのだ。
「塵は塵に還るがいい!! 【怒厳斬!】!」
大地に振り下ろした大剣から、地下深くのマントルまで突き抜けかねないほどの地割れが巻き起こる。
そこから、マサムネの飛ぶ斬撃とは比べ物にならないぼどの巨大な光の衝撃波が生じ、しかもぐんぐん拡大しつつ丘陵の大地を砕きながら凄まじい勢いで直進する。
横並びの3人が横に避けることすら間に合わない。
不可避の最期だと気づいたのは、宙に打ち上げられながらであった。
「しゅーりょー!!」
「とんだ大惨事だわ! フラグってそういうフラグだったのね……」
「あんな化け物がいるのでは端から負け試合だったか。だから我はやめろと言ったのだ!!」
この一撃だけで、3人まとめて羽虫の如く可哀想にも消し飛ばされ、無念のデスとなる。
クランランクバトルで倒されてもデスペナルティはないが、代わりに3人とも控え室に送られてバトルに一切の干渉が出来なくなってしまう。
2対1。
だがその1の数字の中身は、1だけでは収まらない。
そもそもこの相手クラン、平均レベルからただ1人極端に高いマスターがただただ戦場を蹂躙するという、戦術も戦略もへったくれもないが紛れもない強豪クランなのだ。
「フン! 語るに及ばず!!」
3人、つまり敵の半数以上をキルしても怒りが冷めやまないのか、彼は自身の纏う白いシャツを腕ずくで引き裂き出す。
「あばば……あへぇ……」
たまたま通りかかった際に一部始終を目撃してしまったハグたんは、精神的な意味ではデスしていたのだった。
一生使われなさそうなしなさそうなプロヒール(読まなくても良い)
PN:マリー
年齢:16歳(高校1年生)
身長:157センチ
体重:このあたしになんてこと聞いてくるのよ
バスト:小盛り
好きな食べ物:カロリーの極まった甘味(なので手が出しにくい)、抹茶系スイーツ、焼き芋
嫌いな食べ物:ジャンクフード類
趣味:主に一人遊び系
特技:手芸、裁縫
好きな武将:よく知らない
最近の悩み:どれだけアルバイトを掛け持ちしても「あんたを育てたのは私」と母にバイト代の殆どを奪われる
備考:ちいはな5姉妹の3女枠であり、作中最悪レベルのチンピラといつの間にか喧嘩友達になってしまったという、過去のみならず現在まで不憫属性が板についてしまったロリィタ系JK。
でもプラスマイナスで考えれば間違いなくプラス。だって喧嘩友達でも友達であることには違いないもの。
もはやケンカップルに昇格するのも時間の問題である。
なお、これが一般的なラノベ小説なら主人公クンにメス顔ばかりするハーレム要員になってそうなガーリーさだが、リトルフラワー内では一番の男前な気がしてならない。




