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97.レアスキル

 相手が連続して攻撃をしてきている中、リゼは少しだけ考え、作戦を伝える。


「アイシャ、クレイバウンドを発動できる? 私もアイスレイを同時に使うから。飛び跳ねていてもどちらかは当たると思うの。束縛したらフォンゼルさん、横から攻撃していただきたいです」


 二人は了承した。


「ウィンドウェアー」


 リゼは速度を上げると、結界に魔法が当たった直後に結界を解除した。魔法を詠唱してきた直後であれば、すぐに再詠唱できないからだ。結界への振動を計測する限り、一度発動すると五秒は発動できないと見た。リゼは相手の攻撃を少しでも分散できるように素早く左方向に駆け出しつつ魔法を詠唱した。同時にフォンゼルは右方向へと動いた。


「アイスレイ!」

「クレイバウンド!」


 すると、アイスレイは相手のジャンプのタイミングで捉えきれなかったが、クレイバウンドがアルプを束縛したようだ。すかさずフォンゼルが切り裂いた。すると帽子が吹き飛び、猫の姿から真の姿を映し出す。小さな白色の羽が生えたモンスターへと変化した。モンスターといっても群青色の瞳を持つ、銀髪のウェーブした長い髪をなびかせた少女のような姿をした、人にしか見えないモンスターだ。紫の花のような髪飾りをつけて、リゼと同じくハーフアップにして後ろ髪を青いリボンで束ねている。服装は白色のドレスと鎧を組み合わせたような特殊な格好をしていた。羽は小さいが飛ぶことが出来るのか、羽を羽ばたかせて飛翔しようとしている。

 リゼは距離をつめながら、銀糸を使い相手の羽を使用不能にした。

 アイシャは容赦なく正面から間合いに入り下から剣を打ち上げた。

 そしてフォンゼルが一撃を加えたところでアルプはなんとか攻撃を防ごうと腕を振って四苦八苦していた。


「スノースピア!」


 リゼが氷の粒を噴射すると、顔に向けて詠唱した訳ではないが、アルプは顔を手でかばう。その隙にフォンゼルが一撃、また一撃と剣技で攻撃する。連続した攻撃で、あれはスキルのようだ。アイシャはロックニードルによって針状の岩を胴体へとヒットさせた。アルプの拘束は解除されており、攻撃に出ようとするが、連続した攻撃でなかなか前に進み出せない。アルプは素早くバックステップで距離を取った。


「インフィニティシールド!」


 リゼはアルプの目の前に壁状の結界を発動させた。するとどうやらアルプは魔法を発動させたようで、跳ね返って自分にヒットしてしまったようだ。その場で崩れ落ちた。どうやら眠ってしまったらしい。


「えっと、アルプ……眠ってしまったようですね。どうしましょうか」


 ひとまずリゼは手と足を銀糸で縛りつつ、フォンゼルたちに確認する。


「お嬢様の言いたいこと少し分かります。なんとなくこのまま攻撃すれば倒せるんですけど、冷静になるとちょっとあれですね……人にしか見えません。ちょうどお嬢様と同い年くらいに見えますね」

「そうなのよね……私、ちょっと攻撃を躊躇してしまってて……いつもならもっと攻撃するのに。はぁ。今後、人と戦わないといけないかもしれないし、甘いことは言っていられない……のだけれど、ちょっと見た目的にモンスターと認識するのが難しくて。小さな羽は生えているけれど、それ以外は人間にしか見えないし……」


 リゼは考えが甘い自分を攻めながらも溜息(ためいき)をついた。


「安心してください。きっと真の修羅場に遭遇すればいずれは割り切りが出来るようになるでしょう。今は戦場に出たわけではないので仕方ないかと思います。それにしても今日はウルファーグに続いて、非常に珍しいモンスターに遭遇できました。確かにこのアルプを倒すのは惜しい気もしてきますね。伝承に伝わるレベルのモンスターですし。伝承では真の姿は屈強な男性だったらしいですが。個体によって違うのかもしれませんね。では、私のスキルを使いますか?」

「スキル、ですか? えっと、何かあるのでしょうか?」


 よくわからないため、リゼは質問した。倒さずに拘束することなどが可能なのだろうか。


「私のスキル、モンスターテイムをコピーしてください。五体までモンスターを手懐けられるのです」


 リゼはハッとした。


(そのスキルはルイが使えたスキルだったはず! 私、一度もルイの育成中にそのスキルを使ったことがないのよね……確かシナリオの中盤あたりで入手するのよね。誰かからもらったはず。モンスターを手懐けて召喚できるのだっけ。他のルートでルイが甲冑を纏った騎士型のモンスターを召喚してきたことはあった。あれはアンドレルートをやっているときだったかな、確か。一瞬でレイラの闇魔法で倒したからあまり印象に残っていなかったけれど)


 リゼはリッジファンタジアでの出来事を少し振り返った。フォンゼルのおかげでルイが手に入れるかもしれないスキルを思い出すことが出来たのは運が良かった。


「フォンゼルさんはモンスターを手懐けているのですか?」

「はい。一体ほど。使う場面は殆どありませんが。あなたが危険な状況になったときなど、緊急事態には使用するつもりでいました。このスキルは危険であり、私とヘルマン様のみが覚えています。スキルの本は十八年前に太古の遺跡をヘルマン様と探索した際に三冊ほど見つかりました。ヘルマン様曰く、後世に残すと危険であるため、ヘルマン様と私が習得してスキルの本を使えなくしました。あとの一冊は皇帝陛下がお持ちでした。しかし、あろうことかニ年前に盗み出されてしまっており、所在は分かりません。陛下が遠征に出ている隙をつかれたのです。スキルの本は解読することがほぼ不可能なので複製はされないでしょうから、誰かが必ず習得するはずです。盗んだ本人なのか、何かの陰謀に巻き込まれて習得するかは定かではないですが、使用者は確実に帝国にマークされるでしょう」

「な、なるほど……。あの、私が習得してしまって大丈夫ですか? 疑惑がかけられたりは……」

「それは大丈夫です。私の方でヘルマン様に説明をしておきます。さすれば、皇帝陛下にも伝わるでしょう。皇帝陛下はあなたのことを非常に評価していらっしゃいます」


 ルイが陰謀に巻き込まれていくのだろうということ、帝国からは良からぬ人物としてマークされてしまうということがフォンゼルの話で察してしまった。リゼとしてはそのようなスキルを会得したら色々とまずそうであるため、不安しかない。そもそもスキルをコピーできるということをどう思われるか、だが、神託の件と結びつけて受け入れてもらえるだろうか。とはいえ、このアルプというモンスターだが、手懐けることが出来れば貴重な戦力になることは間違いない。睡眠魔法という貴重な魔法を使えるからだ。

 どうしようかとアルプを見つめながらしばらく考える。


「お嬢様、手に入れたほうが良いと思います。私が仮にお側にいないときに何かあったとしても、このアルプが色々と役に立ってくれるかもしれませんよ」

「確かに……」

「私もそうしていただきたいです。あなたであればスキルを悪用しないということを断言できますから」

「……分かりました。では、そうですね。コピーします!」


 フォンゼルは「いつでもどうぞ」と頷いてきた。フォンゼルとリゼはレベル差がありすぎるが、相手が受け入れている状態であればコピーの成功率が上がりそうだ。


「スキルアブソーブ! モンスターテイムをコピー!」


 半透明な光がフォンゼルに命中した。いつも通りコピー出来た感触だ。

 フォンゼルより使い方を聞いていると、アルプが目を覚ました。

 身動きが取れず、恨みがましい目でリゼを見てきている。銀糸を出したのがリゼだと理解しているのだろう。


「あの、アルプ……いまからテイムしますが、何か言いたいことはありますか?」


 一応、何か反応があるかもしれないと思い確認してみた。


「私よりもレベルが低いのにテイムが成功するわけがない。貴重な存在である私を手懐けるなんて不可能」


 アルプは縛られて身動きは取れないが尊大な態度で物申してきた。初級ダンジョンのモンスターであるが、メリサンドよりも知能が高そうだ。初級とはいえ、ボスモンスターとしての威厳のようなものがあるらしい。

 アイシャが怒って「失礼な!」と言いかけたところを手で制した。


「フォンゼルさんのお話によれば、レベル差が五以下であれば成功率はほぼ百パーセントです。ですが、そうですね……どうすれば認めてもらえますか?」

「ふん、無理やりテイムしないところは評価する。私が驚くような強さがあれば、考えてあげても良い」


 リゼは「なるほど」と呟くと、魔法を詠唱した。


「アブソリュートゼロ!」


 すると前方に吹雪が発生して、氷の刃が何十本と射出され続ける。しばらくして魔法が終了すると、辺りは凍結し、氷の刃がいたるところに突き刺さっているのだった。あまりの状況にフォンゼルは目を見開いて驚いていた。アイシャはこの魔法を見たことがあるため、うんうんと頷いていた。

 リゼはふらふらとするため、アイテムボックスからマナ特効薬を取り出して飲み干した。

 すると目眩が収まったので、アルプを見ると小刻みに震えていた。


「あっ、あの。テイム、問題ない、です。殺さないで……テイム、テイムしてください……!」


 どうやら恐怖のどん底に突き落とされてしまっているようであるが、リゼとしては特に脅すつもりはなく驚かせるつもりだったため、申し訳なくなった。


「アルプ、申し訳ないです。少し驚いてもらおうかと思っていただけです……では、いきますよ?」


 アルプは何度も頷いていた。


「モンスターテイム!」


 すると、金色の光が何本かアルプめがけて発射され包み込む。少しすると、金色の光は消滅した。


「リゼ様、成功です。失敗した場合は赤い光に変わって瞬時に消滅しますので」

「ありがとうございます、フォンゼルさん」


 戦闘ウィンドウでアルプを確認する。


【名前】アルプ(テイム済み)

【レベル】12

【ヒットポイント】21/290

【加護】なし

【スキル】なし

【武器】アルプの帽子

【魔法】フォーススリープ、トラウムアングリ


 どうやら成功したようだ。


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