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714.怪しい者たち

 ヘルムートとヘルマンの話は終わったようだ。結局のところ、ゼフティア国内で暗躍する者に関して、ゼフティア王に対しては明確な証拠を用意しないとならないというところが悩みどころである。ということであれば、もしかしたら知っているかもしれない人物を捕らえているため。少し話してみることにした。


「あの、もしかしますと朗報といえるかもしれませんが、ゼフティアの狩猟大会でジェレミー王子を襲っていた者たちを率いていた人を捕らえました。それからファール先生が他にも幹部を一人捕らえてくださいました。前者の方からゼフティア関連の仕事を聞き出せば、もしかしますと……。捕らえた方はゼフティアでの活動を通してブリンドル侯爵と繋がっているかもしれません」

「む、それは確かに良いかもしれないな。早速聞いてみる必要があるからして、この後、向かってみるとしよう。ウェルトヘイムにいるのだろう。それで、メレディスについては今後どうするつもりだ? 帝国騎士学院に通わせるか?」

「そこはメレディスとも話し合ったのですが、メレディスは死んだことになっていますので、基本的には北方未開地で暮らしていただきます。ですが、聖遺物で姿を変えられるので、メレディスの記憶に出てきたゼフティアの各所には訪れようと考えています。それからルースさんのことは探そうと考えております。あ、もしかしますと、姿を変えた状態ではブルガテド帝国にも滞在することがあるかもしれません。長期滞在はしないと思いますが……」

「そうか。協力できることはするつもりだ。メレディスよ、何かあればリゼに話してもらえれば、対応できることはするからな。で、話を戻すがな、少し考えたが、仮に何かしらの証拠が見つかったとしよう。だが、ゼフティア王にはしばらくは伏せておくのがよいかもしれん。誰が黒か分かっていて演技を出来るタイプでもないしな。結果として、下手に動いてどこにいるか分からないルースを危険にさらすこともできんしな。今一度、ここにいる者たちで状況を共有しておこう。現状で怪しいと考えられる人物を列挙できるか?」


 確かにゼフティア王は頑張ろうとはしているところがあるものの、隠し事などは得意ではなさそうだ。そのため、問題のある貴族がいることは伏せておいた方が余計なボロを出さないかもしれないという考えには同意である。しかし、王妃には話しておくべきだろう。


 現状で怪しい人物は整理ができているため、話すことにした。アイテムボックスから木で出来た足がついていて自立可能な黒板を取り出すとチョークで話しながら書いていくつもりだ。


「まず、第二騎士団長のルード・マネ子爵です。ルイ王子を機関に明確に勧誘しています。確実に機関の人物かと。それから怪しいのはルイ王子の世話役であったロラ・メルローさんです。メルロー侯爵令嬢でして未婚の方です。このロラさんはモンスターテイムの本をルイ王子に渡した人物です。都合よくたまたまこのブルガテド帝国から盗み出されたモンスターテイムの本を入手したとは考えられないので、機関の人物もしくはつながりがあるかと。次にバルニエ公爵ですが、逃亡中ですね。今回捕らえた機関の幹部の人に命令をして狩猟大会の問題を起こしているので、機関の人物であったのは間違いありません。そして、先程も話題に上げましたが、国王陛下から国民の管理を委任されている文官であるブリンドル侯爵です。こちらはあくまでも疑惑というレベルではありますが、仮に機関の関係者でしたら、かなり国の中枢に入り込んでいる方ですし、ルースさんを連れて行った謎の貴族ともつながっている可能性があるのではないかと。マネ子爵が近衛騎士団の一団を掌握していて、ブリンドル侯爵は国民の管理を委任されているということで武官と文官に機関の人がいることになりますね……。最後にブルージュ子爵についてですが、問題は子爵ではなく領地です。ゼフティアと南方未開地の間にある島なのですが、辺境領域ということもあり闇の賭博場があったりと荒れ果てているようです。バルニエ公爵の潜伏先でしたし、機関の拠点もあるかもしれないなと思いました。もしかしますとそういった良くない施設が機関の資金源になっているかもしれません。機関は謎に資金力があるようですが、資金源については謎ですし、調査していったほうが良いかなと思います」


 冷静に考えるとそれなりに確定人物や怪しい人物を洗い出せてきたとも感じるリゼである。ヘルムートとヘルマンは拍手をしてきた。それから、ヘルマンも立ち上がるとマネ子爵に線を引いてある人物の名前を書く。名前を見ると『ダニー=レグ・マッケンジー』と書かれていた。


(えっ、ダニー=レグ・マッケンジーって私に手紙を送ってきたりしている……リッジファンタジアにおける私の婚約者……)


 言葉を失うが、ヘルマンが口を開く。


「このダニー=レグ・マッケンジーという少年だが、リゼに対してストーカーまがいの行為を働いているため、おかしな行動を起こさないか監視をしていたのだがな……。マネ子爵の小間使いと、かの領地にある建物で落ち合っていた。勧誘を受けている可能性はないか?」

「あるかもしれないですね……何が目的なのか分かりませんが……」

「ランドル侯爵領と隣接しているだろう? 何かしら機関として重要な任務を行う際に、リゼの気を散らすためにランドル侯爵領に対して騒ぎを起こさせるつもりではないかと考えているがな」


 ありそうな話で嫌な気持ちになるリゼだ。色々と要望を書いた手紙を送ってきたりしていたが、返事をせずにスルーしたし、コネクトでもリンクせずにいたりしていたので、恨みを買っている可能性がある。デイラ聖教国側には金属騎士を大量に配備しているが、マッケンジー伯爵領との間にはさほど配置していない。


「……何か、トレードオフ、じゃないと危険なことまでしないと思う。何か渡す約束、してるのかも」


 メレディスが珍しく発言をしたが、仮にランドル侯爵領に攻撃を仕掛けるようなことをすれば罪に問われることになるわけで、亡命は少なくとも約束していそうだ。その上でゼフティアの貴族としての地位を失うことにもなるのでそれに見合うものを与えることにしているはずである。


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