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707.見分け方

 リゼはルミアの話を聞いていて気になったことがあるので質問することにした。


「この世界に元々いた人たちはどこに住んでいたのでしょうか? そして、特徴もあるのですか?」 


 一応、聖女セリーヌにはデイラ聖教国とレガルナス王国がある場所には該当する人々が暮らしていたという話は聞いたのだが、他にもありそうな雰囲気を感じたので聞いてみた形だ。するとルミアが頷いてくる。ロイスのことをチラッと見つつも、話し始めてくれるようだ。


「まず、どこに住んでいたかだけど、いまのデイラ聖教国があるアスラロテ大陸の西端、レガルナス王国があるこの山々に囲まれた高地、アスラロテ大陸の南端にあたるエリアル神聖帝国があるところ、アスラロテ大陸の東端にある国、それからウィリモードたちがいる大陸みたい。あともう一つ、今は誰も住んでないけど、昔は住んでたところもあってね、リチャードたちの先祖のことなんだけど、その人たちは別大陸から北方未開地にわたってきたんだよね? 実はウィリモードたちがいる大陸から海をわたるとある大陸があって、そこから北方未開地に渡ったみたい。基本的には海沿いか、レガルナス王国があるここみたいに攻めにくいところに暮らしていた感じだよね。でね、特徴なんだけど、髪色に現れるらしいよ! 銀髪、グレー、紫系統が該当するから……まさにロイス、メレディス、リゼは該当するよね……。外界からきた人たちの血も当然入っていると思うけど、元からこの世界にいた人たちの血が色濃く出ている感じじゃない? リゼたちみたいな髪色ってあんまりというかほとんど見かけないし、貴重だと思う」

「……そういえば、私の髪の色ですが、この大陸の東側にある国で見られるという話を聞いたことがあります。そこも該当地域ですから、そういうことだったのですね。それにしても銀髪もですか……。案外、私たちの周りで言いますと、そういう特徴を持つ方々っていらっしゃいますね」


 銀髪はブルガテド帝国でいえばエドゥアルト、ゼフティア王国でいえばジェレミーと王妃が該当する。帝都などを歩いていて見かけることなどは皆無だが、交友のある人物たちには案外該当する者たちがいると感じていた。


「あ~、そういう人たちと運良く知り合いになっていっている感じはあるよね。でさ、ちょっと深堀りさせていただいたのね。セリーヌ様のお話では、この世界に元々いた人たちにはそういう外見的特徴があるのは明白らしくて、他にも能力面でも現れるみたい。あとは魔法属性が二つの状態で生まれるとか、マナの核? とかいうものが二つあったりするとか、レベル上限? というものが高いとか、闇属性魔法を会得する確率が他の人たちよりも高いとか、そういうのがあるみたい。例えば、エドゥアルト皇太子だけど、銀髪で闇属性魔法だから完全一致だよね。あとロイスも紫系統の髪型で闇属性魔法。ね? この知識を得ると人と出会った時に判別できるし、ちょっと強いかもしれないという警戒も出来るね」


 確かに列挙されるとエドゥアルトとロイスは完全に外見も備わっている力も一致しているような気がするリゼだ。ルミアたちはだいぶ疑問点を根掘り葉掘り聞いてみたようである。リゼは(私が特徴として一致するのは髪色だけよね。あとポイント交換で得たり、ルーク様の加護だったり、攻略キャラの件でマナの核が増えたりした感じだし……)と物思いにふけっているのだが、ロイスが「あとは一部は氷属性魔法、雷属性魔法を操ったという側面もあるみたいだ。該当するのは、ウィリモードたちがいる大陸から海をわたったところにある大陸にいた人たちだね。とにかく魔法を極めていた人たちらしい」と補足してくれた。氷属性魔法ということもあって全員が見つめてくるが、リゼの各属性はポイント交換で得たものだ。しかし、リチャードや大賢者など、その大陸から北方未開地にわたってきた者たちは確かに氷属性魔法の使い手たちであった。話がつながってきたリゼだ。


(大賢者様いわく、北方未開地では氷属性魔法が一般的で、雷属性魔法はイレギュラーだったと記録されていたはず。雷属性魔法はとにかく数が少なかったのかも。それにしてもそういう歴史があったとは……)


 いままで疑問に感じていたことが腑に落ちた。若干満足げになるが、相変わらず注目を集めており、ロイスが質問してくる。


「リゼってその髪色で氷属性魔法、雷属性魔法も使えるよね。もしかすると、マナの核も複数あって、レベル上限も高いのでは?」

「えっと……はい、マナの核は複数個あります。なので、魔法の威力が高いのです。レベル上限は上限なしです……ちょっと色々と事情がありまして……」


 微妙に気まずい感覚を抱きながら、小声で話すが、ルミアは拍手してきた。彼女は神の加護によるものであることを把握している。いずれはロイスなどにも明かすつもりであるが、ルミアは流石に個人的な重要な事情だと察してくれており、話をそらしてくれるつもりのようだ。


「まあ、みんなそれぞれ特徴が一致したりしなかったりというのはあるんじゃない? ちなみにね、セリーヌ様の話では、元からこの世界にいる人の特徴を持つ人は戦闘とかで強めの傾向があるらしいよ。基本的に戦闘センスが良いんだって。この世界にいた人ってそこまで数はいないけど、魔物とは長年に渡って定期的に戦っていて強かったからみたい。外界からきた人間たちはどちらかというと物量勝負になるように魔物を個々に誘導したり、集団で頭を使ってなんとかしたという話みたいで、魔物がいなくなってからは元々の人たちと小競り合いなどもあったみたいだけど、より高度な技術を持っているのが外界からきた人たちだったから、知識を共有する代わりに武力の部分で協力してもらったりとうまいこと融合していったみたい。レガルナス王国が傭兵業をやっていたのはそういう協力の一環で始めたことみたい。ここって元々この世界にいる人たちが多い地域だったでしょ。建築技術とかを吸収させて貰う代わりに、傭兵として要人を守ったりとかして、その名残でいまも傭兵業をやってるみたいなんだよね~」


 リゼとしては知らなかった歴史を学べているし、かなり面白くなってきてしまっている。何かの本で読んだが、デイラ聖教国も今のように過激になる前は聖騎士を混乱が生じた地域に派遣してくれたりしていたようだ。当時の聖騎士は強力であったようで、ルミアから聞いた話に一致する気がしていた。

 

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