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604.混乱余波

 そして、離宮に向かうとベルノルトとルター、リアムがリゼが貼った紙を眺めながら盛り上がっているようだ。もしかするとレガルナス王国に行きたいのかもしれない。随分と盛り上がっているので、邪魔をしたら申し訳ないと思い練習場に向かうことにした。


(皆さん、随分と盛り上がっているというか……とても良いことね)


 ベルノルトに関しては最初に会った時にはなかなか元気がなかったのであるが、すっかり元気になっている。


 少し明るい気持ちになりながら歩いていると、ロイスが乗馬をしていた。もう夜だが、軽く走らせているようだ。リゼに気がつくと降りてくる。


「おっと、嬉しい出会いだ。こんばんは、リゼ」

「こんばんは、ロイス様。乗馬ですか?」

「だね。ここは人目を気にせずに走れるからとても良いね。ところで明日は何やら楽しそうなことがあるようだね? もしかしたら明日は行けないけど、明後日からなら行けるかもしれない。行ける場合は転移石で行くからメッセージしようかな?」

「それはとても嬉しいです。是非、宜しくお願いします。メッセージをいただけましたら、アイテムボックスから転移石を取り出しますので、転移してきていただければと思います。お迎えにいくことも出来ます!」


 リッジファンタジアⅡのラスボスであるロイスが来てくれるのであれば、心強い。リゼの友人や交友関係では年齢の近いところに絞るとすればリチャードの次に強いのが彼だ。


 それからロイスと厩まで行き、帰る彼を見送り練習場へと向かう。練習場ではエルーシアがルミアの攻撃を避ける練習をしていた。ルミアは手加減をしていないのか、断続的に攻撃を繰り出しているが、当たってしまうことはあるものの、避けることが出来ている回数もそれなりにある。明日に向けてエルーシアがルミアに練習のお願いをしたのかもしれない。なお、魔法石をつけているので実際にダメージを受けることはない。

 こっそりと観察していたが、こちらも邪魔をしないように後にしたリゼだ。

 歩きながら神器に質問する。


『神器さん、レガルナス王国の地下墓地にある神器を手に入れるためには戦闘のようなものがあると思いますが、どういうものでしょうか? 一応、死亡などはしないものと聞いておりますが……そこは変わりありませんか?』

『マスター、該当の神器を得る上での概要を説明します。全てをお話出来るわけではないですのでご了承を。まず、神器を得るには触れる必要があります。触れた者が所有者登録されます。神器は近づく者を妨げてきます。神器はエリアを展開します。一度挑戦した者が失敗した場合、一日ほど時間を置く必要があります。失敗すると開始地点に戻されます。死亡はしませんが、精神的な恐怖心を抱き支配されてしまう可能性があります。無属性魔法は利用できません。神器は利用できません。テイムしたモンスターは召喚及びエリア内に侵入出来ません。三至宝(トリニティ)であるヴィズルの機能は機能制限されます。以上です』


 思っていたよりも様々な話を教えてくれたため、頭に刻み込んだ。どうやらヴィズルについては一部は機能制限されるようだが、利用可能らしい。ひとまず、今回は初めての挑戦でもあるし、今後にも備えて検証をしてみたいと考えている。特に死なないなら、なおさらだ。この機会を逃す手はない。ただし、挑戦すると何かしらの恐怖心に支配されてしまうような可能性があるらしいため、そこは恐怖心を抱く者が現れてしまった場合はアンチポーションを作るしかないかもしれないと考える。


「あ、そもそもとして挑戦出来る前提で考えてしまっていたけれど、神器を得るには国王陛下からお許しをいただく必要がある……まずはそこをクリアしないと……」


 物事はそう単純ではないため、もしかすると拒否されてしまう可能性もあるだろう。もし厳しい場合はコーネリアスが挑戦する権利を得ているため、使わせてもらうしかないかもしれない。

 とはいえ、考えすぎてもどうにもならないことであるため、気持ちを切り替えることにする。


(さて、明日は誰が参加するかな? 楽しみにしておきましょう!)


 そんなことを思いつつも、寮へと戻るのだった。そして、装備を確認する。神器は使えないらしいし、無属性魔法も使えないようである。そうなるとヘルをベースとした戦いになるだろう。あとは機能制限されるらしいがヴィズルの出番である。また、どうやら精霊については問題ないようであるし、レノアには頑張ってもらうしかない。


 翌朝、起きると準備を整えて日課をこなした後に大広間へと向かう。まだ予定時間の一時間前であるため、誰も来ていない。数分後にまずやってきたのはコーネリアスだ。


「おはよう。国王陛下への謁見だけど、ちょっと難航するかもしれない。親と連絡がつかなかったんだが、妹から今朝連絡が来ていた。至急、話があると」

「おはようございます。簡単にはいかないかなと思っておりましたので織り込み済みですが、何かあったようですね……?」

「あぁ、少しばかり昔の知り合いに情勢について共有してもらったが、どうやら国王陛下は病気で寝込んでいるらしくて面会謝絶なんだと。それと面会の申し込み手順も変わったらしい。そこら辺が影響して、ここ数日で俺の家もなんかごたついているらしいな。詳しい話は妹から聞くつもりだが」


 どうやら国王が病気であるため、少し状況が混乱しているようである。国の混乱よりも気になるのはコーネリアスの家の問題だ。もしかすると跡継ぎ争いなどが勃発してしまっているのだろうかと感じるリゼである。


「あの、家の問題はどのような感じでしょうか? 今日、訪れても良いのでしょうか? 何かお手伝い出来ることはありますでしょうか?」

「予定が変わってしまうのですまないがまずは街で妹と落ち合う。そこで対応策を考えさせてほしい。アリソンやロイナを連れてこなかったのも大人数だと目立つからだ。まず、俺とリゼ、あと一人くらいで向かって、状況がわかったら他のメンツを連れていくという感じでも良いか?」

「わかりました。それが良さそうですね。皆さんにも説明します」

「助かる。あっちで話を聞いて知恵を貸してほしい」


 少し予定が変わってしまうが、まずは状況を把握することが重要だ。


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