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558.レベル上げ

 イルモスは太い枝でリゼの周りを囲み締め付けようとしてくるが、結界で防ぎつつどうしようかと考えることにした。結界は軋んだりもせずに問題なさそうであるため、ゆっくりと考えられそうだ。


(思っていた以上に面倒ね。グラムスは倒しても再生してくるし、相手にしているとイルモスが地面から攻撃してくる。それにイルモスは動けるみたいだし、いつ何をしてくるか分からない。もう大量のグラムスは倒しても無駄だし、無視するのが正解でしょうね。そうするとこのイルモスをどうするかだけれど、今いるイルモスの後ろ側はグラムスから枝や霧で攻撃されない絶好の位置。でもあまり動けるスペースがなくて結界で防ぎつつ攻撃するしかないのがいたいところ。出来る限りイルモスに攻撃をさせないように妨害しつつ、攻撃を重ねていきましょう。あと、この距離ならスキルを無効化出来るはず!)


 と、意気込んだのだが、ヴィズルが話しかけてくる。


「マイマスター、グラムスは倒してもまた出現するわけですが、現状インフェルノで一撃で倒せますし、レベル上げに使えるのではないでしょうか? グラムスもモンスターですし、倒せば熟練度やレベリングに使えるかと」


 リゼは(確かに)と考えて頷いた。そういった視点は持てていなかったが、確かにヴィズルの言う通りでレベル上げなどに活用できるかもしれない。一気にグラムスを大量に倒すとイルモスが動き出したりする可能性もあるが、一体ずつ倒すのであれば動かないと予測してゲートで元の位置に戻る。


(ダンジョン投影施設でイルモスをボスモンスターに指定すれば、皆さんのレベル上げにも使えるかもしれない?)


 そんなことを考えつつもインフェルノを詠唱してグラムスを倒した。時間的にはまだ早朝であるし、しばらく根気よくグラムスを倒し続けることにする。神器に確認したところ、同時に五体を倒すとイルモスが動き始めるらしいため、リアを珍しく封印して召喚してこの場に呼び寄せ、さらにレゼシアやシグも召喚した。


「あの手前の木のようなモンスターですが、どうやらレベル上げに最適なモンスターらしいので、それぞれ一体ずつ倒してレベル上げや熟練度あげをしましょう。倒すとすぐに再生といいますか、新しい個体が復活しますので、繰り返しでお願いします。必ず復活するまでは待機でお願いします。同時に倒しすぎるとまずいみたいですので」


 リアたちは頷くと対象を決めて魔法で攻撃し始める。リゼもインフェルノを神器で詠唱して倒し、復活したら倒すという作業を繰り返し始めた。グラムスは復活する際に倒された個体を吸収しながら成長するため、倒した個体をすぐにアイテムボックスに収容したりすれば、この無限湧き状態を解消できるかもしれないとはふと思うリゼであるが、いまは倒してレベル上げに勤しむことにする。


「神器さん、ダンジョン投影施設を何周かするのと、イルモスをボスとして指定して二時間程度グラムスを倒し続けるのとでは、どちらの方がレベル上げ効率が良いでしょうか? 後者のほうが沢山のモンスターを倒せることになるのかなと思いまして」

『レベル上げという点では後者ですね。ただし、戦闘の勘を養ったりするという観点では微妙ですので、本当にレベリングの一環と割り切って行うのが良いかと思います。例えば、考え事をしたい際などにグラムスを倒し続けるなどです。おすすめは通常のランダムモードで一周はしつつ、レベル上げのために別途イルモスを指定してグラムスを倒し続けるという日課を新たに加えるというのはありかもしれないですね。かなり作業的な雰囲気にはなりますが、グラムスの攻撃が届かないところに椅子と机を設置してインフェルノを詠唱しながら、日記を書くといったことも可能ではないでしょうか』

「確かに……良さそうですね。まさかこういったレベル上げ要素のようなモンスターがいるとは思いませんでした。得られる経験値のようなものは他のモンスターと比べていかがですか?」

『このモンスターは経験値も良いですよ。マスターが亡くなったあとにレベリング用ダンジョンとして課金すると手に入れることができました。リッジファンタジアのリメイク版のリッジファンタジア オルタネイティヴで、ですね。リッジファンタジア オルタネイティヴは難易度が高かったのでそういったテコ入れがありました。クリアしてしまうと二度と使えないため、撤退する必要もありましたが』


 神器の話を聞いて、(そういうテコ入れがあったのですね……でも少し思い出したのですが、あの作品って自由行動できるターンのようなものは無限ではなく限られていたはずなので、隙間の自由行動出来るターンで通い詰めるとレベル上げをある程度できたという感じでしょうか)と疑問を投げかけると神器は肯定してくる。なお、クリア後のランダムモードではサブキャラなどを主人公にして進めることが出来るわけであるが、主人公や攻略キャラと比べると初期ステータスが弱いため、有効活用した者たちがいたそうだ。


「レベル上げ用のダンジョンといっても、再生し続けるグラムスたちを超えないとイルモスと戦えないわけで……なかなかの何度ですよね。グラムスを倒し続けてレベルを上げながら撤退を繰り返して、ある程度のレベルになって、自由行動の回数が少なくなってきたところでイルモスを倒してという感じだったのかもしれないですね。ちなみにこのダンジョンが運良く北方未開地に出現したのはルーク様がその、出現させてくださったりしたのでしょうか?」


 神器いわく『ダンジョンの出現は完全にランダムです。管理している神は大地の神ルーク、武の神ラグナル、芸術の神ミカル、叡智の神アリオンではありません。ちなみに夜の神ルアでもないです』と答えてくる。ダンジョンをこの世界に出現させている神が別途いるのだということを知ったリゼであるが、会ったことがある神ではない以上、テコ入れなどしてくれないだろうし、運が良かったのだと思うことにした。

 絶対的な安全圏から攻撃を繰り返しているのだが、イルモスは特にどうにかしようとはしてこない。なお、ヴィズルが投影しているジェネラルスケルトンたちには攻撃をせずに一旦、引いてもらった。


 それから三十分程度、グラムスを倒し続けるのだが、エルーシアやルミアが寮の部屋を訪れたようで『リゼ、北方未開地?』とメッセージがくる。リゼは主城近くのダンジョンにいるということを伝えた。彼女たちも来たいようであるのだが、最悪の場合はルミアがロプタスのスキルや魔法などを発動すれば問題なくたどり着けるだろうと考えて受け入れることにする。場所を伝えると連絡が来るまでグラムスを倒し続けていく。すると二十分程度して入り口を見つけたという連絡が来たのでダンジョンマップウィンドウを見ながらモンスターと戦闘をしないで来られる最短ルートをメッセージで伝達する。その後、エルーシアとルミアが走ってきたこともあり、四十分程度で合流できたのだった。それからある程度レベルが高いレゼシアとシグのことは封印し、リゼ、エルーシア、ルミア、リアでそれぞれ攻撃をしていく。まだこれでも朝の九時くらいだ。まだまだ粘れるだろう。それから三時間程度、ひたすらたまに会話したりしつつ、グラムスを倒し続けたリゼたちはそろそろイルモスを倒そうということになった。ここはあまりにも生活エリアに近いところにダンジョンができてしまったため、放置しておくというのは危険だ。少し効率は下がるがダンジョン投影施設でも同じように倒し続けることは可能であるため、攻略してしまうことにする。なお、リゼはレベルが十八から十九にあがった。

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