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悪役令嬢の取り巻きに転生したので、神から授かった特別な加護を使い運命回避します ~神からチートな加護は渡さないと言われましたが、かなり強くないですか?~  作者: 東雲景
5章 ブルガテド帝国

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229.忠告

 ファールがペンダントに「停止」と呟いた。聖遺物によるマナの吸収をやめたのだろう。


「あの、体内に溜め込んだマナについてはその聖遺物では吸収されないのですか?」

「これが吸収するのはあくまでも大気中のマナだな。だから厳密に言うと上級魔法なら一回、それ以外なら数回は詠唱を出来るだろうが、そうなると……デメリットも有る。分かるか?」

「マナ欠乏症ですね。教えてくださり、ありがとうございます。ちょっと教室に戻る前にメモさせていただいても良いでしょうか?」

「良いぞ。俺からも質問、良いか? 書きながらで良いぞ」


 リゼはファールに許可をもらい、戦闘の流れをファールにも確認しつつ全てをメモすることにする。アイテムボックスより日記を取り出すと急いで書き始めた。

 そして話を聞くことにする。


「一応、魔法はこの聖遺物で発動できないようにしていたはずだし、あの瞬時に俺の裏に飛んだやつ、あれはスキルか? ああいうやつは見たことがなくてな」

「あれは……秘密です……!」

「そうか。誰にでも秘密の一つや二つはあるしな。あれには素直に驚いたし、感動した」


 記録を取りながら「いまはまだ秘密なのですが、いずれはお話します」と返事をした。ファールには戦闘というものを色々と教えてもらいたくなったので、戦術の幅を広げるためにはいずれは種明かしが必要だろうと考えたからだ。だが、まだ知り合って数時間ということもあり、いまは秘密にしておくことにした。


「楽しみにしておく。落胆しているみたいだが、自信を持って良いぞ。俺の背後に一瞬で移動してスキルを二発は当ててきただろ。あれが実際の戦闘で魔法石がなければ普通に大ダメージだったはずだ」

「それは……ありがとうございます。落ち込みすぎないようにします。あの、私、もっと頑張らないといけないなって……思いました。モンスターを倒したり、賊を倒したこともあり、自分はそれなりに強いと少し調子づいていたかもしれません。私、天性の才能のようなものはあまりないので場数を踏んで対応の幅を広げていくしかないのです。もっと勉強します!」


 リゼは攻略キャラや主人公であるレイラとは異なり、天性の才能のようなものを持ち合わせていないことは自覚している。神々の加護のお陰で強くなってはいるが、それをうまく使いこなすということが課題である。場数を踏んで対応の幅を広げていくというのがリゼの考えだ。


「良い心構えだ。とりま、俺から言えることはそうだな。強力な魔法やスキルは覚えているみたいだし、小手先の補助スキルをもう少し覚えると良いかもな」

「ありがとうございます!」

「あとはまあ、真剣になりすぎているな。もう少し肩の力を抜いて落ち着くのが良いかもな。これは俺の持論だが、ストレスなくリラックスしているときこそ、一番クリアな思考でいられるってもんよ。そういえば、リゼ。水属性魔法は使えないのか? 水属性魔法なら手ほどきしてあげられるんだがな。使えるんだよな? 色々な魔法を使えすぎて、俺の中ではお前は常識を超越した存在になってるわ。フォルティア様だし当然か」


 ファールはリゼを訓練したくなったのかもしれない。手ほどきについてを申し出てきた。彼が水属性魔法は帝国で一番の使い手であると神器に教えてもらっているリゼとしては、色々と学ばせてもらいたいと考えるのだった。


(えっと、水属性魔法は交換画面にあるし、交換しようかな。それと聖属性を会得したことにより基本属性の魔法は使えるから、いまのところアクアアローは使えるはずなのよね。だから一応、使えるということになるのかな、今の状態でも。水属性魔法はアンドレやジャン=ロイーズ・ヴァランの個別ルートで使ったことはあるけれど、氷属性を主に使っていたから……正直あまり詳しいとは言えない。是非ともこの機会に勉強させていただいたほうがいい……)


 リゼは嘘にならないように返答することにした。


「えっと、アクアアローだけは使えます。是非学ばせていただきたいです。ちなみになのですが、今回の模擬戦ではどれくらい本気を出されていましたか?」

「それは秘密だ。でもな、このペンダントを使ったのは久々だったし、本気寄りではあったぞ。少なくとも遊び感覚ではやっていなかった。魔法が一切通じない相手なんて初めて見たぞ」

「ありがとうございました……帝国騎士学院に入学してよかったと実感しています」

「さっき言っただろ。お前らにとって良いことは俺が担任になったことだってな。最低限、お前らが死なないようにはしてやるつもりだ」


 今まで戦った中で強者は居た。ブルガテド帝国の皇帝ヘルムートや王妃などだ。フォンゼルやヘルマンもかなり強いということは分かっている。彼らに共通することは王妃を除くと強者のようなオーラがあるというのが共通事項だ。王妃はスイッチが入ると圧倒的な強者のオーラを放ってきていたが、ファールは一貫してそういうオーラを感じさせずに淡々と戦ってきていた。リゼとしては初めてのパターンとなり感慨深くなる。


(ファール先生は戦う時にスイッチが入ってもあまり普段と変わらないし、ある意味で何を考えているのか分からないタイプ。皇帝陛下の命令で潜入とかするときに勘付かれにくいタイプなのでしょうね。やっぱり入学してよかった。私は戦う時に真剣な感じになっているところが相手にも伝わってしまっているみたいね。よし、ファール先生に教えていただくことでおそらく経験したことのない状況への対応能力が確実につくよね……! みんなに剣術を教えつつ、私も学んでいかないと! 今回の敗因は……夜に反省会ね。復習しないと)


 リゼはやる気を刺激された。その後、ファールと共に教室に戻ることにした。


「ところでリゼ。これは確信めいた質問だが、お前ってさ、聖女だよな?」

「えっ……?」

「さっき使っていたのは風属性と特殊な氷属性、それからあの球体から光線を出すやつ、あれは聖属性魔法だよな。なんか神聖な感じがした。光属性魔法とも違う感じでな。アクアアローも打てるんだろ。俺さ、あー、まあこれは話しても良いよな。止められてないし。ちょっと色々あって聖女を崇拝するいかれたカルト教団を最近殲滅したことがあるんだが、奴らの持っていた資料に書いてあったんだよ。聖属性を持ってる聖女様は他の属性の魔法も使えるって。ということで聖女だと思うんだが? たぶんファイアーボールとかサンドシールドも使えるよな? ライトスラッシュとかもな」

「あっ……はい。その通りです……」


 ファールは「やはりな。大丈夫だ、秘密にしておく。あと一つ忠告というか、まあアドバイスだ。ブルガテド帝国にもどんな国にも聖女崇拝のカルトは結構あるから気をつけろよ。潰したカルト教団にはお前の名前を書いた紙もあったからな。絵もな。ゼフティアの教会にお前の絵が飾られているだろ? それを描き写した感じのやつだった。神託があったから聖女だと決めつけていた感じだ。帝都に出る時は護衛に連絡しろよ」と言い残すと走って行ってしまった。


(まさかそんなことになっていたとは……気をつけないと。何をしてくるか分からないから怖いかも。あれ、そういえばエルと知り合った剣術大会でラウル様を狙っていたと思われる集団ってどうなったのかな? 黒いフードの人たち、鳴りを潜めている感じかも?)


 若干の不安を覚えつつも更衣室に戻るとほぼ同時に時間は昼になった。昼休憩は一時間と決められている。

誤字報告いただいた皆様、感謝です!

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