175.聖遺物の分配と入手
地下に降りて宝物庫の扉を開けた。聖遺物が大量だ。
武器に防具、指輪やネックレス、ブローチにペンダントといった装備品など、多種多様である。
「改めて見ると本当にすごいですね。リチャード、これは本当にリチャードのものにしなくて良いのですか?」
「はい。またニーズヘッグと戦うとかそういうことになるのであれば、一部はお借りするかもしれませんが、所有権はリゼで問題ありません。是非、有効活用してください。ここに並んでいるものは聞いてくれれば、何か答えますよ」
「ありがとうございます……!」
あまりにリチャードの物にしたほうが良いのではないかと確認しすぎるのもリチャードに失礼なので、もう確認はしないようにしようと心の中で誓った。それから順番に回ってみることにする。剣などの武器は台座に突き刺してあったり、鞘と一緒にきれいに並べられていたりしており、アクセサリー関連も同じように綺麗に並べられていた。
(数がかなりありすぎるから、レアそうなものを重点的に確認してみましょうか)
リゼは一番奥まで進むと、ひときわ目立つ台座に突き刺されている剣の前に立った。台座は大きく、数段の階段をのぼると剣に触れられるようになっている。台座の色は重厚そうな黒色をしている。
レアそうであるため、リチャードに確認してみることにした。
「リチャード、こちらの剣は何ですか?」
「これは僕の先祖の剣ですね。リンクヴィスト帝国を建国したアルヴィン=エリック・セーデルリンドという初代皇帝が持っていた剣で、元をたどるとこの大陸に到着する前から我が一族で所有していた剣だそうです。名前は聖剣グロリアと言いまして、すごく強力な剣ですよ。振るだけで聖なる斬撃を放射して、攻撃できます。また、その刃には聖属性の力が宿っており、モンスターへの効果は抜群です。遠い先祖が聖女と共に戦い、その後に結婚したそうです。この剣はその二人で作った剣みたいですね。僕としては剣を愛するリゼにいざという時に使ってほしい剣ですね」
剣の持ち手は赤ワインのような色合いをしており、柄の部分は金色、剣身は綺麗な銀色である。
「すごい剣ですね。聖遺物ではなくて、リチャードのご先祖様が作られた剣、なのですね。この剣は試練でニーズヘッグと戦う時に使わなかったのですか?」
「使いたかったのですが、使えなかったんですよね。聖属性の力を感知しないと剣の本来の力を発揮できないのです」
「そういう経緯が……理解しました。あちらの槍もすごそうですね?」
隣に置いてある槍を見つめつつ、質問した。赤色の槍だ。
「これですか。血食槍ネラスですね。上級ダンジョンの聖遺物です。元々は銀色の槍なのですが、モンスターなどを倒すとあのように赤くなります。この状態になると威力が非常にあがるのと、好きなタイミングで大量の炎の槍を敵に向けて射出できます。近距離で使えば意表をついて敵に確実に命中させることが出来ると思います」
リチャードは槍の前で解説してくれた。それからさらにその横に移動する。
「これは月華剣ミナルテと言いまして、暗闇を光で照らしてくれるのと、敵対対象が近くにいると持ち主には剣が水色に光ってみえます。これも聖遺物なのですが、持ち主のダメージを一定量までなら肩代わりしてくれる優れものですよ。一定以上になると持ち主がダメージを受けるので注意が必要です。あとは光属性魔法であれば中級魔法程度であれば確実に切り裂けます」
「便利ですね……! リア、この剣はリアが持っていて。リアは結構突き進むところがあるからダメージを受けた場合に使えるし、上級ダンジョンには光属性魔法を発動してくるモンスターがわりといるからきっと役立つと思う。上級ダンジョンは明かりもないからこの剣で照らしてくれると助かるかも。ブリュンヒルデと一緒に使えばそれなりに明るくなりそうよね」
リゼは鞘に収まる剣を台座から引き抜くと、リアに渡した。
「ありがとう、大事にする」
嬉しそうにするリアにリチャードは頷くと、さらに隣に移動する。
目の前にあるのは盾だ。
「これは封滅盾ストレイヴです。相手の魔法を吸収し、跳ね返すのです。跳ね返すタイミングは三分以内であれば好きなタイミングで可能です。これは上級魔法も飲み込めるような代物です」
「これも聖遺物ですか?」
「そうですね。上級ダンジョンの聖遺物です」
それからしばらくリチャードによる説明が続いた。
アイシャには幻刃剣ルキウェルをあげた。これは剣身をいくつもの刃に分離させ、鞭のように出来る剣である。遠くからでも剣で攻撃が可能だ。仮に鞭の攻撃が外れて、足で踏みつけられても、幻のように刃が消滅して元の剣として戻る優れものだ。これも上級ダンジョンの聖遺物である。
フォンゼルは自分でダンジョンにて獲得した剣を下げており、それを使うとのことで、リチャードは武器は不要という話になった。リゼは聖剣グロリアを台座から引き抜くと、腰につけたベルトに下げてみた。さらに狂食剣レスベルグも手に入れてアイテムボックスへと収納した。この剣は相手の武器と打ち合うたびに敵の武器の耐性を落としていくらしい。リチャードの話では二回も打ち合えば通常の武器なら壊れるらしい。相手の武器を破壊すればするほど、相手の武器を破壊するという力が向上するとのことだ。さらに空気中から常にマナを吸収しており、持ち主に循環させてくれるようだ。よって、持ち主はマナ欠乏症になっても比較的すぐに回復することが可能となる。さらにマナを凝縮して、敵に射出することも可能のようだ。便利そうであるため手に入れておいたわけだが、これは超上級ダンジョンの地下八階のボス討伐後に手に入った聖遺物らしい。リアにこの剣と月華剣ミナルテを交換するか、むしろ二本ともほしいか聞いてみたが、月華剣ミナルテだけで良いとのことであった。なお、アイシャも同様であった。
(剣ばかりあっても仕方ないけれど、何かという時のためにアイテムボックスに入れておいた。あとはそうね、武器は十分だし、アクセサリーなどかな。といっても、すでに色々とつけてしまっているから……ブローチに指輪にブレスレットに……いまある装備をポイントを使って強化していきましょう)
それからリチャードにアクセサリー類の説明をしてもらい、アイシャやリアには魔法の耐性などの効力がある聖遺物をあげた。アイシャは指輪、リアはブレスレットということになった。ひとまずは一つあれば良いとのことで、その後に魔法やスキルの本を軽く確認して宝物庫をあとにした。
「まだまだここには沢山ありますし、ゼフティアの宝物庫で何をもらえば良いのでしょうね……武器やアクセサリーは正直いらない気もしてきました……どうしましょう……」
「お嬢様、おそらくゼフティアって周辺国を制圧してきましたし、取り上げた聖遺物とかが保管されていると思うのですよね。なので、ちょっと気をつけたほうがよいかもしれません」
「そうね……!」
リゼとしてはアイシャの意図を理解した。
(取り上げられて恨みに思っている人たちも確実にいるのよね。そういうものを手に入れてしまうと恨みが私に向いてしまうことになる。気をつけないとダメね。リッジファンタジアでは、特にそういう恨みとかの話は出てこなかったけれど、私の家柄みたいに元々は国だった家系がいくつかあるし、王冠とか、その王家に伝わる代物というのは避けたほうが良いはずよ。あと選ぶのはいつでも良いというお話だったから、とりあえず見てみることにしましょう)
入手するタイミングはいつでも良いらしいのでひとまずは確認して見てみることにした。
その後、離宮に転移すると前回と同じ量の金や魔法石が保管されていたため、回収しつつ、屋敷へと戻るのだった。




