168.決断と来訪者
自分以外の人に付与しても良いのだが、聖女として祭り上げられたりして色々と迷惑をかけてしまう可能性がある。反面、自分であればフォルティア関連ですでに同じような状況になっているので少し我慢すれば良いし、そもそもふと考えたのは公表しなければ良いのだ。バレなければ聖女の誕生だとかそういう話にはならないだろう。ステータスウィンドウは見られないように調整が可能であるし、家族やアイシャ、ごく一部の友人、ヘルマンだけに伝えておけば良い。
「ステータスウィンドウの共有画面は加護でうまく調整して、会得したことを話すのは一部の人にすれば……完璧ね。よし、交換しましょう……! 交換!」
交換すると、魔法陣が足元に展開された。
(待って。まさかとは思うけれど、ルーク様の神殿で聖女の誕生みたいな神託があったりしないよね。流石にないはずよね。よし、何を覚えたのか確認してみましょう)
マジックウィンドウを開いてみる。聖属性が追加されているか確認してみることにした。
【属性熟練度】
『風属性(初級):0954/1000』
『氷属性(初級):0957/1000』
『無属性:0121/5000』
『聖属性(初級):0000/1000』
【魔法および魔法熟練度】
『エアースピア(風):100/100』
『ウィンドプロテクション(風):100/100』
『ウィンドウェアー(風):091/100』
『ウィンドカッター(風):073/100』
『スノースピア(氷):100/100』
『アイスレイ(氷):100/100』
『アイスランス(氷):071/100』
『アイスサーベル(氷):050/100』
『フロストブラスト(氷):050/100』
『アブソリュートゼロ(氷):058/100』
『インフィニティシールド(無):1374/2000』
『スキルアブソーブ(無):1050/2000』
『ゲート(無):2000/2000』
『セイクリッドスフィア(聖):062/100』
『キュア(聖):053/100』
『ホーリーレイ(聖):050/100』
確かにホーリーレイという魔法が追加されていることが確認できた。詳細を確認すると、聖なる光を一つ射出する魔法らしい。光属性魔法のライトスラッシュに近い魔法だ。セイクリッドスフィアがある今、この魔法を使うことなどはほぼないが定期的に使って聖属性魔法の熟練度をあげていくことにする。そして、久しぶりに聖属性魔法の説明を開いた。
『聖属性 備考:聖女用の属性。全属性の魔法が使用可能となる。ただし、雷、氷属性魔法は使用不可』
久々に見たのですっかり忘れていたが、全属性の魔法を使えるようになっているはずだ。
とはいっても氷や雷は使えないらしい。つまり、基本属性の魔法は色々と使えるようになるようであるが、マジックウィンドウでは何も表示されていなかった。
(聖属性がすごく強かったことをすっかり忘れていたのだけれど、全属性の魔法を使えるようになるのね! でもマジックウィンドウには表示されていないし、どういうことなのかな? 神器さん、教えてほしいです……)
聖属性についてはリッジファンタジアに登場しなかった属性であるため、知識は皆無だ。神器に確認するしかない。
『マジックウィンドウに表示はされません。ですが、実際のところは使えるようになっています。現在の聖属性の熟練度に応じて、他の属性の魔法が使えます。現在は初期値なので、他属性の初期魔法は使えます。例えば、アクアアローやライトスラッシュなどです。ただし、アクアアローをどれだけ使っても、アクアアローの熟練度は初期値から変化しません。よって、熟練度があがらないため、威力などは向上しません』
リゼとしては(なるほど……)といったところだ。
(要するに、聖属性を得たことで他の属性の魔法を使えるようにはなっているけれど、マジックウィンドウには表示されないし、熟練度も上がらない、ということね。うーん、それなら交換画面に水属性とかがラインナップされたら交換したほうが良さそう。熟練度が初期値のままだと威力が弱いし……まあでもアクアアローを撃てれば水を飲みたい時に便利かも。ファイアーボールで火を起こせたりとか!)
聖属性を得たとしても何でもかんでも他の属性魔法を使えるようになるわけではないし、聖属性魔法の初期魔法は一つしかないということも理解できたリゼであった。
なお、試しにホーリーレイを詠唱してみたが、セイクリッドスフィアで射出している浄化の輝きを数段階レベルダウンさせたようなものを射出するだけであった。
また、回復系の魔法も初期状態で使えないのだということも学びになった。
次の日、リゼは中庭で絵を描いていた。エリアスから随分前にお願いされていた件に取り掛かっている。
「お嬢様、これはエリアス様に差し上げる絵ですか?」
「うん。オルトロスと対峙しているところを描いてみたの。私、風景画や人物画はよく描くじゃない? でもこういうモンスターは描いたことがないから結構苦戦しているかも」
「良いですね。きっとお喜びになりますよ。それにお上手です! オルトロスの獰猛な感じが伝わってきます……!」
「ありがとう。喜んでくれると私も嬉しいな。エルがいなかったら、倒せなかったかもしれないから。とにかく感謝しているのよね。それにね、将来的に何かあったら一緒に戦ってくれると言ってくれたの。嬉しかった」
「おお! それはエリアス様のお気持ちをかなり感じますね!」
そして昼過ぎ。ランドル伯爵邸へとやってきたラウルから帝国騎士学院分校に行く話を告げられる。
「リゼ、話さなければならないことがあるんだ。実はバルニエ公爵の裁判が終わったらわりとすぐにブルガテド帝国の帝国騎士学院分校という学院に通うことになった。二年間ね。だからリゼと一緒に練習することが出来る機会はもうほとんど残されていないかもしれない」
「実はヘルマン様よりメッセージで聞きました。寂しくなりますね……」
「僕もだよ。でもまた再会する時にリゼが驚いてしまうくらい強くなっているつもりだ。期待しておいてくれて良いよ」
「ふふ、私もきっと強くなっていると思います。再会したらまず模擬戦しましょうね!」
その時、メイドがやってきて、アイシャに耳打ちをした。何事だろうか。
「お嬢様、お客様です」
「誰?」
「パーセル伯爵令息です」
「え……何の用なのかな……」
突然のことで驚いてしまった。パーセル伯爵令息といえば、攻略キャラであるロイドのことだ。
リゼとしてはこれといってロイドに訪ねてこられるような心当たりはない。
(ロイド、なし崩し的に一緒に戦ったり、話したりしてしまった攻略キャラの一人。私に何の用かな。狩猟大会では誰よりも早く駆けつけてくれて良い人だという印象が強いのだけれど、特に何かを話すような関係性にはなっていないと思うような……)
改めて考えてみても、ロイドにはお礼を言っておきたいところではあるが、わざわざ訪ねてきた理由が分からない。
「パーセル伯爵令息ってアンドレ王子の親友だよね。リゼに用事って何だろうね」
「分かりません……狩猟大会で共に戦いましたので……その時の話でしょうか……」
「まさか…………いや、彼の性格的にはありえないか……」
ひとまず応接室へと急ぐことにする。一体、ロイドは何のために来たのか。疑問は残るが、悩んでいても仕方ない。狩猟大会では、話す機会がなかったため、お礼は伝えておこうと心の中で考えるのだった。応接室へと到着すると、ノックをして入室する。
熟練度を正しい値に修正しました(2024/04/18)




