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意地でも寝たい優等禁術生  作者: 天音ココア
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第四章 エアリスとはぐれ者

グロテスクな表現が多少あるので苦手な方はご注意を

エアリス宅にて········

エアリスは先程してしまったことを思い返し、唸っていた。

「私はなんで、あんな大胆なことを!」

(気分が高揚していて、アガサがいつもよりかっこよく·······)

「ないない!断じてないわ!」

枕をボスボス殴りながら否定する。

(それに、アガサにはエイシアがいるし·····)

エアリスはアガサがエイシアのことを好きなんだと思っていた。

エイシアに対しては言葉が優しいし、何より一緒に住んでいるのだから何か起こっていても仕方がないと思っていた。

(そりゃあ、エイシアの方が優しいし、容姿だって····)

チラッと視線を下にしてため息をつく。

「アガサ···········」

幼き頃の2人が写る写真を見ながら呟いた。


一方アガサ宅では··········

「ほんとに、なんだったんだ········」

アガサはベットの上で天井を見つめながらさっきのエアリスの行動の意味を考えていた。

目を閉じると先程のキスの感触が鮮明に浮かび出されボッと赤くなる。

「ほんとに、なんなんだよー!あいつは!」

枕をボスボス殴りながら困惑する。

すると、コンコンとノックの音が聞こえた。

「アガサくん?入っていい?」

「ああ、いいよ」

パジャマ姿のエイシアがアガサの部屋に入る。

「なぁ、エイシア。さっきのエアリスの行動ってどういう意図でやったのか分かるか?」

エイシアは、分かっていた。その意図を分かっていたがアガサの本心を聞くことになってしまうのかと思い、少し嘘をついた。

「きっと、気分が高揚してて咄嗟に出ちゃっただけだよ。あれも一種のコミュニケーションだからさ」

「そういうもんなのか」

エイシアは心の中でアガサを騙したことを少しばかり後悔したがこれでいいと思った。

「もう行くね、アガサくん」

「待って、エイシア·········」

アガサが手を掴む。

「あ、アガサくん······?」

ドキッと心臓が高なった。

「エイシア、嘘ついてない?·········」

アガサはこういう時にだけ勘が鋭くなるのだ。

でも、エイシアは平然を装い

「ううん、私がアガサくんに嘘つくわけないじゃない」

「そうだよな、ごめん」

エイシアは、パタンとドアを閉じる。

胸にあるペンダントをギュッと握りしめ、

「私は········どうしたら········」

複雑な気持ちに悩むのであった。



「ふわぁぁ·······おはよぉ」

欠伸をしながらアガサが入ってきて、少し後にエイシアな入ってきた。

アガサは席に座り·········

「おはよ、エアリス」

アガサは何事も無かったように、挨拶をする。

「な?!·········」

(なんであいつは昨日あんな事があったのにそんな平気でいられるのよ!)

「じゃ······おやすみ······」

アガサはドサッとカバンを置き、眠る。

「エアリス·········」

エアリスは、プルプルと震えて頬を膨らましていた。

怒っているような、悲しんでいるような顔だった。

「ライト・エンシェント·····青電よ・磁界の歪みにて・撃ち喰わせ」

青い一筋の電光がアガサを打ちつけた。

「いっだー?!」

やはり一日の始まりはこうでなくちゃ。

「さぁ授業始めるぞー!」

アレイ先生が入ってきた。

「えーと、今日はアガサ。授業しろ」

倒れたまま、アガサが答える。

「え?やですよ、何でですか?」

「今日は気分が乗らなくてなぁ。お前ならちゃんとした授業が出来ると思ってな」

アガサはムクっと起き上がり、教壇に立つ。

「お?やってくれるのか。じゃあ先生旅行に行ってくるから、バイバーい!」

アレイ先生はそそくさと行ってしまった。

「はい、てことで今日は俺が授業する」

周りから、ブーイングが起こった。

「何でお前に教えて貰わなきゃいけないんだよー?!」

「遊ぼうぜー!」

大半の生徒が外に行こうとした瞬間。

「はい、ガキども止まれ」

ドアを塞ぐように黒ローブ姿の男が3人現れた。

「へ?何だお前ら?!」

「抵抗したな?はい、死刑」

そう言うと軍事用魔術を唱えた。

「歪めて・死せ」

抵抗した、男子生徒から鮮血が溢れた。

「キャァッ?!」

生徒から悲鳴が上がった。

「次抵抗したやつもこうだからな」

死んだ男子生徒を皆の方へ放り投げた。

「ひっ?!どうしようエアリス·········」

「アガサは········」

アガサは教壇で寝ていた。

3人が来たことも知らないらしい。

「ん?何だこのガキは」

1人の男が、アガサの髪を掴んだ。

「おい、ガキ?起きろよ········あ?」

アガサの目がゆっくりと開いた。

「ぬぁ?なんですか?あなたは·········」

「あ、抵抗したな······」

「ダメよアガサ!刃向かっちゃ!」

「もう遅いぜ、ガキ········」

右手をアガサに向け。

「歪めて・死せ」

黒い電撃が、アガサの方へ走った。

「ダメー!避けて!」

アガサは避ける素振りを一切見せなかった。

生徒たちは目をつぶった。

バチンっ!!

教室が衝撃で揺れた。皆はゆっくりと目を開ける。

そこには異様な光景があった。

「そんな·······嘘だろ、オイ」

「アガサくんが···········」

そこには即死レベルの軍事用魔術に当たったと思われていたアガサが何故か無傷で、その代わりに放った男の胸が抉られていた。

「かはぁっ?!」

血を吹き出し、男が倒れた。

「あ、アガサ!あんた一体何して····」

「なーにただ放った魔術をそっくりそのまま返してあげただけさ。」

アガサが言うには、男の放った《歪めて・死せ》をソウル・エンシェントの一つである《万解・等しく・跳ね帰ろ》を唱え男に返したと言う。

普通ならそんな機転は効かないし、そもそもその魔術はソウル・エンシェントの中でも最高位の魔術だった。

「くそっ!だがもう遅い·····」

「へっ?」

エアリスとエイシアが何故か男に捕まっていた。

「テメーがそいつの相手をしている間に狙いのものは貰ったぜ」

そう言うと男はソウル・エンシェントの中でも逃げに特化した《ワープ》を使ってどこかへ逃げてしまった。

「くっそ!みんな大丈夫か·········」

みんなの様子を見た途端にアガサはハッとした。

みんながアガサを見て怯えてるような気がしたのだ。

「そりゃあ········こんなやつ怖いよな···」

ぽつりと呟くと後を追うように《ワープ》を使った。


「こっちが、エアリスちゃんで。こっちがエイシアちゃんと」

2人を舐めまわすように見つめてくる。

だが、2人とも手足を縛られているので何も出来ない。

「あなた達は誰の命令でここへ連れてきたの!」

エアリスが質問した。

「ちっ·······黙ってろガキはよ。それとも何だ?今すぐ死にてぇのか?」

「やめろ。そいつらはまだ殺すな。お前は気が短すぎる」

「へいへい、分かってますよ。でも、その前に遊ぶのはいいすか?」

「程々にしとけよ······」

リーダー格っぽい男は興味無さそうに“外”の仲間と連絡を取っているようだ。

「じゃあ、俺はこっちの生意気な子から楽しもうかね」

「ひっ!······」

「俺さ······こうやって抵抗してくるやつをさ痛めつけて屈服させるのが1番気持ちいいんだと思うんだよね」

そう言うとナイフを取りだし、エアリスの制服をかき切った。

「··········?!」

「こりゃあいいもんをお偉いさんは貰おうとしてるのか」

「や·······やめて······」

「あなた!エアリスに何もしないで!」

「ちっ·······《うるさい》」

そう唱えるとエイシアの口が魔術によって塞がれた。

「んんん!?」

(あんな適当な詠唱でも魔術を出せるなんて、この人たち······何なの?!)

「それじゃあゆっくりと楽しもうかね」

男は下から肌を撫で回してくる。

「いやっ···········誰か!助けてー!」

バンッ!と大きな音を立て扉が開かれた。

「ねぇ·······ここ俺のサボり部屋なんだけど、何でここ使うん」

「厄介なやつが来たな········《消えろ》」

黒い電撃がアガサ目掛けて走った。

だが、その電撃はアガサの目の前で消失した。

「なっ?!」

「俺の常時発動する魔術。《アルカナ》。この魔術は相手の攻撃力のある魔術を全て無効化するという曰く付きだ」

「ず、ズリい!」

「てめぇらがずるいとか言ってんじゃねぇ」

そう言うと右手をかざし。

「黒魔法·········《シガナイ》」

アガサは人殺しのためだけに作られたとも言われている《黒魔法》を唱えた。

エアリスを襲っていた男は吐血しそのまま倒れ込んだ。

「さすがにまだ死なないか······」

アガサは男の髪をつかみ。

「エアリスとエイシアに手を出した罪。死んで償え、もちろんあの世でもな·····《歪めて・死せ》」

男はビクンと体を揺らし、死んだ。

アガサは手をパンパンと払うとリーダー格の男に視線を向け。

「次はあんたの番だぞ」

「ちっ!《縛れ・きつく》」

エイシアとエアリスの首に紋章が浮かび上がり首を絞めた。

「っ·····?!」

エアリスとエイシアはもがき苦しんだ。

「ハハッ!1歩でも近づいてみろ。こいつらの首は綺麗に飛ぶぜ」

アガサは異様な程に冷酷な目をしていた。

でも、その奥には怒りの炎が揺らいでいた。

「それにあんた·····仲間から聞いたことがあるぜ····あの2年前の連続魔術師殺しの犯人。あんただろ?」

「··············」

アガサは何も答えなかった。

「あんたはこいつらと一緒にいちゃいけねぇ奴なんだ。いずれお前らもあいつに殺される」

「そんなことないわ!アガサはすごい魔術師なのよ!」

「あっそ·······もういいや、俺はあいつの本当の姿を出す方法を知っている」

そう言うと、エアリスとエイシアをナイフで一気にかき切った。

「キャァッ?!」

血しぶきをあげ倒れ込む2人。

「ハハッ、さぁ見せてみな本当の姿を」

アガサは怒りを露わにしていた。

その目は異様なまでに赤く光っていた。

「俺の大切な人を傷つけ、睡眠時間を邪魔した代償は重いからね········」

アガサは男に向かって言い放った。







《創造の都》ステイシア門付近では······

「久しぶりにあいつと妹に会えるんだな、さっさと腕試ししてみたいぜ」

1人の少年がアガサとエアリスを訪ねこの地にやってきていた。

今起こっている状況を何も知らずに··········

かなりグロテスクな表現があるので苦手な方は楽しめなかったかもしれませんね、それはすいませんm(_ _)m

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