Beat #2 発想、そして発足
最近、バンドを再開したいなぁと思い始めました。
本日も生暖かい目で見てやってください。
来たる土曜日、その足で3人は夏フェス会場に向かう。
この夏フェスは2日間かけて行われる大規模なイベントで、3人も例外なく2日分の寝泊まりの準備をして臨むこととなる。
陸人「おかーしーはー300万まで〜」
千種「…食べ過ぎじゃない?」
藍羅「あっ、じゃがりこもらうわねー!」
陸人「お前!!俺のチーズ…///」
藍羅「何にやにやしてんのよ気持ち悪い」
千種「…見えたよ!」
移動中もワイワイと、賑やかに楽しんできた3人だったが、ここで1番の盛り上がりを見せる。
山の中に、大きなステージ。
それに並ぶ長蛇の列。
スタッフが顔を赤くしながら先導するその大きな人の渦は、彼らの心を高揚させるのには十分過ぎるものだった。
陸人「すっげぇ…」
声を隠しきれず、漏れた陸人のうんこが場の空気を冷たくする。
陸人「いや、うんこしてねぇから!?」
声を隠しきれず、漏れた陸人の簡単な言葉が場の空気を表す。
これから3人にとって、大きな一歩を踏み込むこととなる。
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圧倒的だった。
間のない密な人だかり。
息もつけないくらいの会場の熱気。
何よりも、その観客たちを熱狂させているステージ上のアーティストたち。
3人は言葉を失った。
ただ遊びで、時間を潰せたらいいと思っていた3人は、夜の静かな山の空気の中、ようやく話ができるくらいだった。
藍羅「…すごかったね」
陸人「…あぁ」
2人の交わした言葉は重い口調ではあったが、その奥底には楽しさを感じる。
千種「…そうだ!!」
陸人「っ!ビックリさせるなよ!」
始まってからずっと黙り込んでいた千種が本日1番の声をあげて立ち上がる。
千種「俺たちもやろうぜ!!」
陸人「…何をだよ」
そう言う陸人は笑っていた。
彼の次に来る言葉がわかっていたからだ。
千種「バンドだよ!今度は聴く側じゃなく、俺らがあの場所に立って!」
学校生活でも声を荒げることのない千種が、大きな声を出している。
そんな彼の言葉を、無視する理由などなかった。
藍羅「うん!いいじゃない!私たちで、大きな歓声をあげさせてあげましょ!」
千種の声明とも取れる発言に、藍羅も立ち上がって応える。
陸人は小さなため息をついて、満面の笑みを浮かべながら勢いよく立ち上がった。
陸人「…よし!やってやろうぜ!!日本中を、俺たちって言うブームにしてやろうぜ!!」
今ここに、小さくもエネルギーに満ち溢れたバンドが生まれた。
この物語はそんな小さなバンドを中心にめぐる、少し笑えて、少しドラマチックなお話である。
次回はバンド準備編です。
今後の彼らの成長に期待しててください。