表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/5

第3話 猿、鳥、犬


 猿渡和真(さわたりかずま)犬飼美咲(いぬかいみさき)は犬猿の仲である。


 だから、仲良く一緒にお昼ご飯を食べたりしない。


 つまり、第三者に現状を見られると非常にマズいわけで。

  

「こ、この猿! バカ! アホ!」

「な、何だと犬! ブス! 間抜け!」


 咄嗟の判断で罵り合いを始める猿渡と犬飼。

 

 緊急事態ゆえ、低レベルな語彙力になっているのはさておき、大切なのは犬猿の仲をアピールすることだ。


 引き続き、小学生でもまだマシであろう言葉をぶつけ合い、二人はちらりと横目で突然現れた第三者を確認する。

 その姿を確認した上で、猿渡は思わず固まり、犬飼は怪訝な顔をした。


「こんにちは、後輩」

「た、小鳥遊先輩……? こ、こんにちは」

「……こんにちは」


 小さな微笑を浮かべる女性生徒の名前は小鳥遊(たかなし)(つばさ)

 猿渡と犬飼と同じ中学出身であり、一つ学年が上の先輩にあたる。

 そして、猿渡の元カノ……ということに、最近まではなっていたらしい。主に、犬飼の中での話だが。


「相変わらず、二人とも仲が良さそうで」

「「な、仲良くない!」」

「ほら、仲いいじゃん」


 何やら見透かしたようにニヤリと笑う小鳥遊。


「それで? デートだっけ。もしかして、二人ようやく付き合い始めたの?」

「いやいやいやいや! そ、そっ、そんなことあるわけないじゃないですか!」

「そ、そうですよ! 私達、すっごく仲悪いんですから!」

「じゃあ、デートってなに?」

「そ、それは……」

「デ、デットオアアライブって言ってたんです!」

「そんなハリウッド映画みたいなセリフ、実際言うときあるのね」


 何とか誤魔化そうと取り繕うも、小鳥遊は全く信じていない様子。

 寧ろ、犬猿の仲ではなく男女の仲であることを知っているかのような反応だ。


「まあ、喧嘩をするにせよ、デートの話をするにしても、私は邪魔者だろうからお暇するよ」

「お暇って……何でこっち向かってくるんですか」

「ん? だって、私はこっちに用があるから」


 そう言って、小鳥遊は猿渡と犬飼を横切り進む。

 その先には扉が閉まった屋上しかないはずだが。


 ガチャリ。


「……なんで、先輩が屋上の鍵を?」

「それは企業秘密ってことで。太陽と風が気持ちいいよ。昼休みはよくここに来るんだ」


 二人も来る? と優しく誘ってくれるが、これは甘い罠だろう。

 ここでホイホイついていけば、更に男女の仲を疑われる可能性がある。


 このミステリアスでインテジェンスな先輩に二人は(勝手に)振り回され、一時犬猿の仲になってしまったことを忘れてはいけない。

 言い方を変えれば、小鳥遊の存在があってこそ、二人はこうして男女の仲になれたわけである。


「こんな奴と一緒に屋上に何て行きたくありません!」

「こっちのセリフだ! 空気が不味くなある!」


 結局、二人は必死に犬猿の仲をアピールする。


 しかし、当の小鳥遊は長い髪を風になびかせ、不敵に笑うだけだった。


良ければ、ブックマーク登録をして本作を読み進めてくださいな。


また、後書き下の評価欄からポイントを入れてもらえると嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] ことりあそびって間違われやすいけど、たかなしなんだぜ?小鳥が遊べる=鷹が無し=たかなしなんだぜ?ってとあるアニメで見たのを思い出した。 題材的に話を膨らませるのがめっちゃ難しそうですが応援…
[一言] 面白い話がすぐに終わるのは寂しいから完結が近づくと寂しくなるけど、テンポが良い事自体は好きです! あとで寂しくなるけど\_(・ω・`)ココ重要! 小鳥遊先輩雰囲気滅茶苦茶格好良いじゃん! 絶…
[良い点] おもしろい! [気になる点] も〇たろうは・・・笑 [一言] (呼びかけられてきました) いいですね!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ