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プロローグ

目の前で飛んでいるそいつに俺は手をかざす。


「火砲」


紫色の羽を広げたそいつに向けた手のひらには、オレンジに燃えた炎。周囲の酸素を取り込み、シューシュー音を鳴らす高熱の球体を俺は紫色のそいつに放つ。


「グギャアー」


一瞬にして、紫色のそいつは炎に包まれ、

声にならない叫びをあげる。


(いつまでもこんなザコ相手にしても仕方ないな…)


もうどれだけの数のそいつらを相手にしてきたのか。


いささかウンザリしている。


今しがた燃やしたそいつは、完全なる消し炭。

なんとも言えない嫌な臭いが立ち込める。


(この臭いだけは嫌いだなー。)

いくら慣れたとは言え、嫌いなものは嫌いだ。


(ナキの甘い香りが恋しいな)

そんなことを考えながら、呪文を唱える。


「リール」


消し炭の中から、緑色の玉が宙に浮かぶ。


「ボックス」


空中に丸い波紋が起こり、その中に緑色の玉が吸い込まれる。


(オーブも結構貯まったしなー。)


(エルフのおっさんのとこに持ってくとするか… めんどくさいけど)


そんなことを考えながら、俺は身体を炎で包み、地面を蹴り上げた。


(エルフの国は…確か…あっちだったはず!)


宙に浮かべた身体の向きを変え、後方に一気に炎を噴射する。


お察しかもしれないが。俺は方向音痴だ。


ハードな修行をしたけれど、これだけは直らなかった。


ただし別段困る訳でもない。実際に、こうしてかなりの速度で空も飛べる。あ、ちなみに、「火空」っていう技ね。だから全然困らないんだけど、ただただめんどくさい。


そう、めんどくさいのだ。このめんどくさがりな性格も、どんなに修行をしても直らなかったわけで…


そもそも、何でこんなバケモノみたいなやつらを、

やっつけなきゃいけないのか。

それこそ、「めんどくさいの極み」だ。


まあ仕方ないんだけどね。

この世界に来たときの約束があるから。

元々俺は、この世界とは別の場所で生きていた。

今では有名な、転生ってやつ。転生して、この世界に来たんだ。


この世界では「輪廻」と呼ばれてる。


良くも悪くもレアなケース。

ひょんなきっかけで「輪廻」してしまった「人」。


それが「輪廻人」。


俺は「輪廻人」。


この世界に来るまでは、こんなバトルテイストな日々を迎えることなんか想像もしていなかった。


ただただ普通の人間として生きていたんだ。


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