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行旅少女  作者: あやし
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終わりと、旅の始まり















この物語は、返歌である。





























 ーー失われるコトと生まれるコトは同義である。





 それは長く落下していく夢だった。何も見えない空間を落ちていく。見渡せば落ちていく自分を確認できる、つまりぼんやりとしたトンネル状の何かを落下していた。

そしてその落下は上昇と同義であり、落下している様であり上昇している様でもあった。その境界線が目眩の様に溶け合って巡り、落下と上昇はつまり浮遊なんだと気がついた頃。

 自身に絡みつくあらゆる因果が細くなっていき、ーーーーついにその糸が切れた。





 ーー切れる瞬間、誰かの声を聞いた様な気がした。





 見上げる視界に入る青空はどこまでも高く、その高さに挑む様に白い雲が立ち上がっていくのが見えた。

それが気がついた時に見えたモノの全てだった。



 少女は白いベンチに座っていた。どこまでも続く地平線と、その果てへと続いていく二本のレール。どうやら白いベンチは「駅」の様だった。

 少女はぐるりと視線を回す。するとベンチの横に小さな旅行鞄が一つあった。

鞄の中を確認すると最低限の衣類などの旅行道具。旅券らしきカード。林檎。そして用途不明のガラクタが少々。

ガラクタの内訳は、

六つのテニスボール大の球体。日に翳すと何かの影が透けて見えるが、何かは分からない。

手紙。但し見知らぬ文字で書かれていて全く読めない。手紙らしい書面が何枚かと長方形のお札みたいな紙が少々。それらが封筒に収まっている。

 それらのガラクタを手に取り、しばし考えた後、それらを旅行鞄に戻した。捨てようかと思ったが、何となく少々愛着を感じていた。そうね、捨てるのはいつでも出来るしね。



 そして彼女は「旅」を再開した。

まずは鉄道。白いベンチの前に停車した蒸気機関車に牽かれた客車に乗り込み、空のボックス席を一人占拠して窓を上げる。走り始めると風が吹き込む、その風に気持ちよさそうに髪を梳かせる。林檎を囓ると甘酸っぱい味と香りが口の中に充満する。

 それが、新たな旅の祝福だった。














 生まれたコトと失われたコトは同値では無い。

だから失われたコトから生まれるコトもまた同値ではないのだろう。故に今から語られる彼女の物語は現世から生まれながらもここではないどこか、つまりこの青空の下の世界でのお話である。




 因果の糸は切れ、しかし現世より生まれたという事実。

その流転する矛盾が世界の始まりである。


































ー 行旅少女 ー


これは失われたコトから生まれた物語である









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