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2話 英雄の物語(上)

・ロイヤード

見た目は15ほどの白髪の少年。

実年齢不明の魔法使い。

アイビの母アベリアの代から半使い魔(使い魔と同時に友のような存在)

・アイビ

緑色の髪・金色の瞳

18の魔女

魔女としての素質は超一流

しかし口が悪いのが玉に瑕

・スペア

ガタイがいい赤毛の人狼、年齢28

普段は人の姿をしている。

顔は怖いが仲間思いの優しい性格

・コデマリ

黒髪ロングの女性、年齢24

純正の魔女ではないがアイビから習った魔法の技術で魔法を使用可能

ただし魔法陣を介してじゃないと魔法は使用できない

ツンとした性格ではあるが面倒見のいい一面もある。

・ポイン

双子の兄 赤毛ロングの女の子のような見た目や服装をした15歳の少年

魔法使いとしての才能(魔力)はやや低め しかし体術に優れ特にナイフの扱いには天才的な才覚を持つ

ただ口が悪い小生意気な少年

・セチア

双子の妹 黒髪ショートの男の子のような服装をした15の少女

兄とは逆に魔法使いとしての才能があり、体術は不得意

口数が少なく大人しい性格をしているが兄と同じで口が悪い少女

・ムスカリ

協会の2代目代表

不気味な笑みを浮かべ基本敬語の不気味な人間

異常な身体能力を持つ

異端者に個人的な恨みを持っているようだが現在詳細不明


「ねぇ、魔法っていつから存在してたの?」

夜の暗闇の中 満天の星空を眺め 隣にいる男に問う

男はジャックの唐突な問いに手馴れた様子で答える

「いつからだっけな。今みたいに人々に魔法が普及したのは最近のことだ」

ジャックは驚いた表情で楽しそうに聞く

「え?みんな魔法使えて普通って最近の事なの?じゃあそれより前はどうだったの?」

「あぁ、今じゃ普通といえるが400年前まで魔法は異端とされてたんだ」

ジャックはへぇと相槌を打つ

「じゃあどうして異端だった魔法が普通になったの?」

男はタバコに火をつけ煙を吸いそれを吐く。

そして口を開く。

「それは”異端としてた奴ら”が死んだからだよ」

その顔にはドス黒い笑みのような何かが映っていた。

ジャックは不思議そうに聞く

「死んだ?どうして?」

男はとある男の話を始める。

「昔、魔法が異端とされていたころの話だ——――」


~418年前~


森の奥にある屋敷の扉を一人の男が開ける。

「あら、”ロイヤード”いらっしゃい」

扉の先には広場があり正面にある階段の前に何故か設置されているソファに

足を組みえらっそうに腰を掛けている女性が男の名前を呼び挨拶をする。

「・・・。わざわざ部屋からソファを運んできたのか?アイビ。」

ロイヤードは呆れた顔をして、それをみてアイビはクスクスと笑う。

「それで?アイビ、僕に何のようだい?」

ロイヤードは手紙を出しアイビに渡す。その手紙には「来い」とだけ真ん中に書かれている。

アイビはそれを受け取りニコニコしている。

「いやぁねぇ我が家の食料が尽きそうで街に買いに行きたいんだが道に迷ってしまうからね~。お姉さんが街でデートしてあげるから道案内を頼みたいんだ」

上から物を言うアイビにやれやれとロイヤードはため息をつく

「アイビ、お姉さんっといっても僕は君より年上じゃないか」

「でも見た目は私の方が年上でしょ?じゃあ私がお姉さんね」

その理論はおかしいと思いながらも実際見た目じゃ負けていることはわかっているから悔しいようだ

「僕は見た目の成長は遅いn・・・」

言葉を遮りアイビが話す

「そんな言い訳いいから~街に連れてってよーおなか減った!」

アイビが駄々こね始めるとロイヤードは諦め準備を始める

「わかったよ。でも街に出るんだその寝間着はやめてくれよ」

はーいと素直に返事をして二階の自室に戻るアイビを確認してロイヤードはソファを元あった客間に戻し外に止めてある荷馬車の準備をする。

数分するとフードを深々とかぶったアイビが屋敷から出てきて積み荷の場所に乗る。

それを確認したロイヤードは荷馬車を進め街へ向かう。


~王都―商店街―~


「ふぅむ前に来た時とさほど変わってないなぁ。人間の持つ領地で最大の街なのだからもっと賑わってほしいよねぇ~」

「まぁここ最近は魔法使い関係の事件が多くて魔女狩りとかで忙しんでしょ」

ここ3年ほどモンスターの活動が活発化しており村を襲ったりしている。

魔法を異端とする協会の人間たちがここ最近の事件はすべて魔法使いがかかわっているなどと大ぼらを吹きまわっている。厄介なのは王のご令嬢がモンスターに襲われ軽傷で済んだもののそれが原因か王が魔女狩りに力を入れていることだ。そのせいもあって今までは住めなくなるだけだった場所も魔法使いは公開処刑されることが多くなった。

「そもそも魔法がそんなにいけないものなの?確かに簡単に人を傷つけることもできるけどちゃんと使えば便利なものなのよ そんなものを使わないんて協会の人間の無知さは可哀想よね~。」

「そんなこと言ってもしょうがないさ 知らないものは怖い、人間は臆病なんだ。でもそんな臆病な人間だからこそモンスターから身を守るすべを必死に磨いて今に至る」

アイビのそんな嘆きにロイヤードは返す。

言っていることは間違ってはいない。しかし、アイビのお気に召さない答えのようで彼女は頬を膨らませる。

「だったら魔法のことをちゃんと理解してもらえればいいのよね?それならこの偉大なる魔法使いの私が1から100まで教えてあげるわ」

誇らしげにロイヤードに言う。本人はノリノリのようだが当のロイヤードは困った顔をする。

「そんなことできるわけないだろ・・・。もうすでに世界では魔法は異端という考えが普通。一般常識は簡単には覆せない。しかも人の王までも魔法は異端に染まり切ってる。普及させるなら別の種族に交渉するといい。ゴブリン族なんかは最近魔法の研究を始めたらしいよ」

アイビはうげぇといった表情で答える

「ゴブリン族とか簡便。あいつら風呂には入らないしマス掻いた手も洗わないような連中よ。私の貞操が危機にさらされるじゃない」

汚い言葉を使い挙句の果てには中指までたてて罵倒する。

「女の子があまり汚い言葉を使わないでよ。まぁなにもともあれ人間族には無理だよ。」

ロイヤードの言葉にアイビ肩を落としため息をつく。

「そういえばアイビ。服もそろそろ新しいのを買った方がいいんじゃない?もう4年ほど買ってないだろ」

アイビは思い出したかのように手を打ち

「そういえばそうだったねぇ。ロイヤード、私は服を選ぶセンスは皆無だ!なんか似合いそうなの何着か買っておいてくれ 私はちょっとあっちへいってくる・・!」

指をさす方向には串焼きなどを売っている屋台がある。ロイヤードはため息をつき衣類の売っている店へ向かう。

「あんまり食べ過ぎるなよー。夕飯食べれなくなるからなー。」

アイビは声は出さず手を振って走っていきロイヤードはその場を後にした。


~服屋~


「滅茶苦茶悩む・・・。」

ロイヤードは服屋に入ってからかれこれ一時間以上の長考を強いられている。

アイビにはこれが似合うしかしアイビの好み出なかったらどうしよう や これもいいがこれもいいどれを買って行ってやるべきか・・・など

「買って行ってやっても「センスない」とか言われたら僕立ち直れないぞ・・・。」

などの独り言を女性ものの服を見ながら一時間以上長考している。

「とっとりあえず、これとこれとこれを買って行ってダメだったときはアイビと一緒に探そう。頼むから罵倒はやめてくれよ・・・。」

ロイヤードは神に懇願するように服を買い服屋を後にする。

その後アイビを探しに走っていった方へ足を向ける。

少し進んだ先の路地の人気のない道の先にアイビを見つけ彼女の元へ向かう。

そうすると知らない男たちの怒っているような声が聞こえる。

あぁ面倒ごとのようだ・・・。とロイヤードは思い少し足を速めた。

「テメー人を突き飛ばしといて何様のつもりだァ!?アァ!?」

「おいおい、ごめんなさいの一言もねぇのかよ?!オォイ!!」

ガラの悪いお兄さんたちに絡まれているようだアイビの隣には子供もいる。

「謝るのはお前らの方だろ脳みそつまってんのか?この子さっきから謝ってたのに執拗に攻め立てて、ぶつかったくらいで顔真っ赤にしすぎだろ」

アイビは笑みを崩さず二人組を煽る。それを受けてガラの悪いお兄さん達はさらに怒る。

それをみてアイビが笑いながら二人組に指をさす

「アハハッ!顔真っ赤にしすぎでしょwwタコじゃんwwゆでダコwwヒヒッ・・・wwおなか痛い・・・ww」

アイビの下品な笑い声と煽りで完全にキレた二人組はアイビにつかみかかる。アイビはおなかを抱えて笑っていたせいで一瞬反応が遅れる。そしてとっさに身を守ろうとして魔法を使ってしまう。

それは軽い風の障壁。しかし目に見える風の障壁は一瞬でそれが魔法であることがバレる。

「!?魔女?!」

拳をはじかれた方の男は驚いた様子でアイビをみる

「おい!こいつァラッキーだぜ!いま魔法使いには懸賞金がかけられてる!こいつをとっつかまァブッ・・・!?」

二人目の男が言葉お言い終える前にロイヤードが建物の上から一気に降りて間合いを詰め拳が脳天に直撃して倒れる。二人目が声を上げるより先に着陸した体勢からすぐに顎めがけて蹴り上げる。そして男は小さなうめき声をあげて倒れる。二人とも気絶だ。

「・・・アイビ。軽率な行動は避けろといつも言っているだろ。それにどうしてフードを被っていない!!顔がバレてて魔法を見られたからには殺すしかない。今は気を失っているが起きたらお前のことを街中に言いふらすぞ。」

珍しく怒っているロイヤードが声を上げて言う。言葉が発せられるたびにアイビは怯える。

それを見てハッとロイヤードは怒りを鎮め話を再開する。

「目を放していた僕の責任でもあるか。その子・・・残念だが君の隣にいるその子も殺す。」

ロイヤードのその言葉に涙ぐんだ声を荒げて

「ダメ!罪のない子を殺すのは!・・・ダメだよ。それに子供たちなら魔法が危険なものじゃないって身をもって教えてくれる可能性のある宝だよ!?」

そういってアイビはその子を庇おうと抱き寄せる。

それを子供は押しのけた。

「さっ・・・触るな化け物!!」

その言葉にアイビは固まる。

「ぼくのおとうさんはお前たちのせいで死んだんだ・・・!絶対に許さない!」

子供の目には魔法使いへ向ける憎悪と殺意に満ち溢れている。

「アイビ・・・もう手遅れなんだよ。」

ロイヤードの言葉にアイビは涙を流しながら言う

「でも・・・殺しはダメだよ・・・」

ロイヤードが反論しようとするのを遮って言う

「主人として命じる。従えロイヤード・・・。」

その言葉はアイビの使い魔のような存在であるロイヤードへ向けた決して破ることが許されない命令である。ロイヤードはのどまで来ている言葉をすべて飲み込みアイビの手を引き荷馬車へと戻り森の奥の屋敷まで戻る。帰り道二人の間に会話はなかった。


~森の深層—森奥の屋敷―~


「アイビ・・・僕は君の夢は素晴らしいものだと思っている。魔法が一般に認められれば国としてもっと栄えるだろう。弱い人間でも低級のモンスターなら狩れるようになるだろう。モンスターに襲われ親子が別れることもなくなるだろう。」

それなら!とアイビは伏せていた顔を上げる

「でも一度張られたレッテルは簡単には剥がれない・・・今までそんな夢を抱いて実現せんとした魔法使いは沢山いた。でもみんな死んだ。アベリア・・・君のお母さんだってその一人だろ・・・。」

アベリア。彼女はアイビと同じ夢を持ちそれを実現せんと魔法に興味のある子供たちを集め魔法の使い方・原理などを教えた。しかし所詮は子供とした約束 誰がボロを出したのかはわからない。協会の人間にそのことがバレ捕まったその後1週間にわたる尋問を受け続け最後は公開処刑で火炙りだった。

「ママの話はいい・・・。もういい・・・。一人にして。」

アイビはそういって自室にこもる。

「・・・アイビ。僕はアベリアの頼みで君を守ってる。でも僕自身も君を守りたいと思っている。」

扉の前でロイヤードは話す。アイビからの返答はない。それでもロイヤードは話し続けた。

「・・・。・・・。アイビ。台所にご飯作ったやつ置いておくからちゃんと食べるんだよ。僕はそろそろ戻らないといけないからね。ちゃんと食べてね。」

ロイヤードは返事を待たず台所へ行き料理をはじめアイビの好きなグラタンを作り置いておく。

その後ロイヤードは屋敷を後にした。


~王都―市街区―~


ロイヤードが自宅に付くころには日が暮れかかっている。

自宅の扉を開けロイヤードを迎える少年。

「ロイヤードさん!おかえりなさい!」

「あぁ、ただいまロイド。ごめんねアイビの用事が長引いて帰りが遅れた。」

飛びついてきたロイドと呼ばれた少年の頭をなでる。

「いえいえ!それよりお客さんです」

ロイドは急に真面目な顔になり客間へロイヤードを案内する。

そこには4人の男女がお酒を飲みながら談笑している。ロイドが不機嫌そうな顔をしながら4人へ注意する。

「皆さん!ロイヤードさんがおかえりですよ!静かにしてください!」

その言葉に4人は爆笑する。その中でがさつそうな大柄の男が笑いながらロイヤードの肩に組んで言う。

「おいおい!坊主!お前本ッ当ロイヤードにべったりだなぁ!おい!」

「耳元で大声を出すなスペア。」

「おぉわりぃ」

スペアは変わらず大声で笑う。それをみてキツそうな女が言う。

「その大声をやめろと言われてるのかお前は・・・相変わらず品がないなスペア」

「んだよコデマリ。お前もさっきまで一緒に笑ってたじゃねーか。」

スペアは申し訳なさそうに頭をかく。

それをみて残りの二人も笑う。二人の顔は似ている。先に髪が長くかわいらしい服を着た方が口を開く。

「スペア怒られてやんの~プププッ ポインはいい子だからコデマリに怒られたことないのにスペア悪い子だからいつもおっこられてるゥ~ww」

「お兄ちゃん。あんまりそんなこと言っちゃだめだよ。たとえスペアさんが馬鹿で無能な悪い子だったとしてもそういうのは本人のいないとこで言うんだよ。」

ポイン(兄)とセチア(妹)

この双子は真逆の格好と見た目をしている。センス的意味ではなく性別的意味で真逆。

兄の方は女物のフリフリの付いた服などを着て髪も長く知らない人には女の子にしか見えないだろう。

妹は中性的な顔立ちをしており男の子ものの服を着て髪もすこし短い。

しかし二人して同じ場所もある。二人とも口が悪かったり人を小ばかにしてる態度をとることが多い。

「セチアァ?お前もそういうのは口に出すもんじゃないぞ???」

スペアは怒られたり馬鹿にされたりでため息を漏らすがいつもの事なのでこの程度で怒ったりはしない。

「まぁそんくらいにしてお前らは何の用だ?」

本題にうつしたいロイヤードがきりだす。

コデマリが真剣な面持ちで口を開く。

「最近協会の動きが活発化してきてるんだ。」

「それは知ってる。3年前から魔物関係とかもう事件があったら魔法使いのせいだって協会の奴らがいいふらしてるせいで危険にさらされてる魔法使いが多いことも。」

コデマリは首を縦に振る。

「その事なんだが、協会がそのことを言いふらし始めてから明らかに事件が増えてる。モンスターに襲われて死んだ人間が主に増えてるんだがその数が3年前が4年前の1.7倍。去年に関しては3倍になっている。」

その言葉にロイヤードは考え込む。

「・・・。たしかに以上だ。だがそれが偶然という可能性もあるだろ?」

コデマリは首を横に振る。

「私も最初は偶然だと思ってたんだが。偶然スペアが魔物に襲われている男を見つけてな。助けに入って魔物を始末したんだが林の奥に人影が見えたらしくその場所に行ったら協会の会員証が落ちていてな。そのことを私に相談してきたから私が個人的に協会に潜入して調べてきたんだが協会は黒だった。」

コデマリが話し終えて部屋は静まり返る。ロイドは最初は驚いた顔をしていたが次第に表情は強張っていく。

双子は殺意に満ちお互いがお互いを抑えてる。スペアが口を開く。

「協会のホラは単なる無知ゆえの仕方のない行為だと思っていた。それだけでも魔法使いたちは毎日怯えながら過ごしてんのにその事件を作っているのも協会ときた。何人の魔法使いが犠牲になったと思ってる。協会は今すぎにでもつぶすべきだ。なぁ、そうだろロイヤード。」

スペアの瞳の奥で怒りの炎が燃えている。

5人の視線はロイヤードに集まりロイヤードは口を開く。

「ダメだ」

その一言に5人は呆然としている。

最初にスペアが反論する。

「どうしてだ!?俺たちの脅威にしかならない協会はつぶすべきだろ!!それに、アベリアさんだって殺されてるんだぞ!?あいつらの自作自演で殺された!!そうだろ!?」

スペアの言葉に兄妹とロイドはそうだそうだと相槌を入れる。コデマリはただだまってロイヤードを見つめる。

「そうだとしてもだ。あの人は復讐を望むような人じゃなかったし協会を俺たちが潰したらますます魔法使いは危険な存在としてみられる。そうすなると魔女狩りが本格的に行われて魔法使いの居場所は今度こそなくなる。それに・・・アイビは共存を望んでる。その望みが叶うことは有り得ない、でも俺が叶わないからと言ってアイビの望みを。夢を潰すことはできない。」

その言葉を受け全員黙る。その時外が騒がしいことにロイドが気付き外を確認する。

「どうかしたか?ロイド」

スペアが問いかけロイドは不思議そうに答える。

「いえ・・・?外に多くの人が出ていて。今日はとくにイベントとかはなかったはずなんですが。」

一同窓から外を眺める。暗い夜の中街の人たちはたいまつを持ちなにやら舞台らしきものをたてている。

ここにいる全員その舞台がなんであるかはすぐに理解できただろう。ここ3年でずいぶんと見慣れるようになったものだ。異端者の処刑台。だが処刑されると思われる魔法使いの姿が見えない。

ロイヤードは今日の二人組や子供の顔が頭の中によぎる。とても嫌な予感がする。

そう感じてすぐにロイヤードは家を出て近くにいた人間に今日の公開処刑ではだれが殺される?と聞く。

驚きながらも男は答える。

「たしか森の奥で暮らしてるっていう魔女が殺されるはずだよ 今日街にきていたらしくて子供に殺すとかいって脅していたらしいよ」

ロイヤードは屋敷へと馬を全力で走らせる。

「俺たちも行くべきか?」

スペアが問いコデマリが答える。

「嫌、ロイヤードがただの人間に負けることは考えられん それならば私たちは入れ違いでアイビが運ばれてきた場合に備えよう。」

一同は賛同し武装状態で待機する


~森の深層—森奥の屋敷―~


馬を走らせ屋敷に到着して屋敷が燃えているのが目に付く。

そしてそのまわりにいる協会の人間と兵士たち。

アイビは奥で鎖につながれリーダーのような人間がその鎖を持っている。

その男はロイヤードの存在に気づくと気色の悪いドス黒い笑みを向ける。それはまるで壊れた人形のように。

「魔女よ、お仲間が助けに来てくれましたよ?助は求めないのですか?ヒヒッ」

アイビは必死に声を出そうとするが声は出ない。首輪から除く大きな傷。のどが潰されたのだと理解するとともにロイヤードは怒りに任せ飛び掛かった。

「キィサマァァァアアアア゛!!!!殺す!!絶対に殺す!!殺してやる!!」

ロイヤードを止めるべく兵士たちが押し寄せる。

「邪魔だ!!どけ!!どけぇっ!!!」

兵士をなぎ倒して男の元へ向かう。

「まったく野蛮な人ですねぇ~ おや?おやおやおやぁ~?兵士は生きてますねぇ?気絶させただけですか?????人を殺すのは怖いんですか~????」

ロイヤードはすでに男との間合いを詰めていた。そして吹っ飛ぶ。ロイヤード。

「がはっ・・・!?」

ロイヤードは血反吐を吐き地面に倒れる。男の顔には笑みは消えておりさっきとはまるで別人のように殺意にあふれていた。

「・・・化け物風情がナメたマネしてくれるじゃねぇか。っの・・・クソが!!クソ!!クソ!!クソ!!」

ロイヤードを執拗に蹴り続ける。

「おっと、失礼取り乱しました ん~あなたの分の処刑台は用意されてないんですよねぇ~どうしましょう。あぁ!そうだ!ここで殺しましょう!皆さーん 皆さんはこの異端者を街へ 私はこの異端者を始末してから街へもどりますヒヒッ」

男の言葉に協会の人間はひざまずく。

「了解しましたムスカリ様」

協会の人間と兵士たちはアイビをつれて街へ戻る。

「っ・・・まてっ・・・!くっ・・・あがああああああッ!!」

倒れた状態で手を伸ばすロイヤードの腕を踏みつけへし折る。

「おやおやおや 強すぎましたかな???まったく私は力加減が苦手でしてもぉ~しわけございませんヒヒッ」

「クソが!!!!!」

笑うムスカリの顔にけりを入れようとするがかわされて足をつかまれる。

そして拳をロイヤードの腹に叩きこむ。何度も。何度も。



「えぇ~。なにそのクソ展開。序盤俺TUEEE感だしてたのにぽっと出の魔法使えないにボッコボコじゃん!勇者様ぼっこぼこじゃん!」

それまで大人しく聞いていたジャックはクソ展開と喚く

「まだ物語の途中だ。それに実際にロイヤードくんは強かったがそいつはもっと強かったんだろうさ。

まぁ大人しく話を聞いとけ」

ジャックは大人しく話の続きを聞くことにした。実際気になるのだ。

どうもあじゅーです

なんかすっごい疲れたんであとがきは英雄の物語(下)でまとめて書きます

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