第5話
どうしてこうなった!?
「ねぇねぇ、聞いてるの日陰くん?」
気のせいだろうか、昨日もこんな場面を見たような気がする。デジャブか?
「あ、ああ、聞いてるよ」
俺は今日もまたクラスの男子から嫉妬の目を向けられている。勘弁してくれ。
「アレだろ。俺がアレして、アレになった話だろ」
「聞いてないじゃん!」
日向はそういうと頬を膨らませる。
だからそういう顔やめろ、周りからの視線が痛いから。それと俺が目立つから。
『日向さんのあんな顔見たことないのに……あいつ許せねぇ!』
『何であんな奴に……てか、あいつ誰だよ』
『僕の日向さん、今日も可愛い……ハァハァハァ』
そんなに羨ましいなら、俺と代わってくれよ。最後の奴以外で。あれ?これも何処かでやったような気が……気のせいか?
「すまん。少し考え事をしててな」
「どうしたの?何か悩みでもあるの?相談に乗るけど」
お前が元凶なんだよ。頼むから俺に話しかけないでくれ。俺は端っこの方で目立たず生きていきたいんだよ。なんて言う度胸はないので黙っておこう。
「大丈夫だ。心配ない」
「本当?悩みがあったらいつでも言ってね」
そういうこと言うから、男どもの嫉妬ゲージがマックスじゃねぇーか。これは放課後に呼び出されるな。
「気が向いたらな」
「うん!いつでも話してね」
◇◆◇◆◇
ただただ退屈な授業とホームルームを終え、俺は真っ先に下駄箱へ行き靴を取ろうとすると……。
「ちょっと待て……」
上級生と思われる人に話しかけられた。
しかし、俺の返事はない、ただの生きる屍のようだ。
「……おい!無視すんな!」
「……はぁ、何ですか?」
俺は渋々答えた。
「俺はお前に言いたいことがある……」
俺の両肩を逃げられないようにギュッと掴まれた。
まさか!?これは………愛の告白!?やめてくれ、俺にそんな趣味はないから。ほんとに辞めて、お願いします。
「………日向さんを任せた」
「え?あ?えぇ?」
全く予想だにしていなかったことを言われこんわくする。
「もしも日向さんを悲しませたら、俺はお前を八つ裂きにするからな!!!!」
「いや、俺とあいつは…………」
俺が言い終わる前に何処かへ行ってしまった。
人の話は最後まで聞けって母ちゃんに言われなかったのかよ。
俺は主人公になりたいわけじゃない、ただ静かに高校生活を送りたいだけなのに。何故それをさせてくれないんだ。神様、ちゃんと働けよ。いくら貢いでいると思ってんだ。