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ドラゴンすくらんぶる!  作者: 葉月 都
第壱章 封じの姫
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其之六

気分が悪くて、昨日は書き終われませんでした…すみません!




[お目にかかれて光栄です、封じの姫 巴樹様]




その少女の爆弾発言に、二人はしばらくその場に固まっていた。

そして、数十秒後。



「えええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ

えええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!?」



「はあああああああああ???!!!」



二人がほぼ同時に叫び声をあげる。

彼女はその驚きように、少しびっくりしていた。


やっと状況を整理したきいが、その少女に問いかける。



「こいつが、封じの姫だって言うのか?南佳穂。」

「その通りです。」



彼女は平静にうなずく。

そこで、ようやく冷静になった巴樹が、佳穂と呼ばれた少女に問いかける。



「あの……あなたは?」



すると、その少女はくるりと方向を変えて、にっこりと笑って言った。



「私は南佳穂みなみかほといいます。対五龍、光龍精なんです。以後、お見知りおきを。」



(お、大人だぁ!)



目をキラキラと輝かせ、佳穂の口からすらすらと出てくる礼儀正しい言葉に驚く巴樹。

その横では、きいが険しい表情で二人を見つめていた。



「あっ、あの!佳穂さん、本当にありがとうございました!」

「いえいえ。気にしないでください。」



ぺこんっとお辞儀をしてお礼を言うと、佳穂は笑顔で返してくれた。

すると、なにかを思い出したようで、腕時計を見つめて、巴樹に言った。



「すみません。本当はもう少しお話があったのですが、時間がないのでまた今度にさせていただきます。それでは!」



そう言い残すと、佳穂はどこかへ去っていった。

そこで、巴樹は気が付いた。


(あれ?確か、対五龍って………)


だが、そこできいが巴樹に言った。



「帰るよ。暗くなってきたし。」

「あ、はーい!」



夕暮れの空が、静かに歯を食いしばるきいの顔を照らしていた。








「ええええ?!巴樹ちゃんがぁ?」



奈濟さんと御津葉が、二人して叫ぶ。

実はこの二人、いや、この睦月寮に住む住人全員が龍精の身である。だが、二十七族生の龍精は、きいと、巴樹だけであった。



「みたいなんです……。」



小さく縮こまって巴樹は言う。



「「ふっ、封じの姫様、これまでの数々のご無礼、お許しくださいっ」」



二人して土下座すると、巴樹は慌てて言った。



「ちょっ、やめて!接し方も今まで通りでいいですから!っていうか、今までと同じでいいんですよ?!ってか!お二人とも私に無礼なんて働いてませんっ!むしろ感謝感激ですよ!!」



必死な語り口にゆっくりと顔をあげて、二人は立ち上がる。



「え、はぃ…うん。」

「了解しまし、た……。」



ぺこんとお辞儀をした御津葉達が、気が抜けたようにすとんとソファに座った。



「それで巴樹ちゃん。その子の名前、なんだっけ?」



御津葉が、佳穂のことを指して聞いてくる。



「南佳穂さんだよ?」



首をかしげて言うと、二人が一斉に飛び退く。



「か、かかか、佳穂さんっ?!」

「え、えええ?あの人に会ったの?!」



二人の反応に、巴樹は確信を持つ。



「やっぱり、聖龍士の人だったんだぁ。」





聖龍士とは、龍精のトップを占める龍精に与えられる称号のことで、体力・知力・気龍・技などの、龍精であれば、必ず持つものすべてを見て、判断された上で、龍精達を束ねる会、龍雅会直々に認められる。

聖龍士の資格を持った者は対五龍の力を持つ。二十七族生の龍精でも、普通の龍精でも、龍雅会が認めれば聖龍士になることができる。



佳穂は、龍精達の間ではちょっとした有名人。

十五歳という若さで聖龍士になった、かなりの力の持ち主。

しかも、佳穂自身十七歳だが二年以上もの長い間、未だ現役で光龍の力を使い続けているのだ。



「うわぁ、いいなぁ~。いいなぁ~!私もあってみたい。いいなー巴樹ちゃん。ずるいぞー、きい!」



御津葉がむくれながら言う。



「こっちだって、会いたくて会ったわけじゃない。後、なんで巴樹と俺で真逆の言い方なの。」



そっぽを向いて、きいはテーブルの上にあるお菓子をつまむ。

苦笑いして、巴樹はソファに座り、手元にある扇を持って、小さくつぶやいた。



「これから、どぉしよう……」

「それが、巴樹の武器?」



奈濟さんが、その扇を見つめて言う。



「はい。『風華ふうか』って言うんです。」



さらりと開くと、その緑色の扇面が現れる。右端には、大きなピンクの桜の花が描かれていた。



「父の形見なんです。父も母も龍精でした。母は、私が生まれたすぐに亡くなってしまったそうです……。」



しょんぼりとする巴樹に、御津葉が手を添える。


この睦月寮に住んでいる人々は、それぞれがワケアリな事情を持っていて、ここに住んでいる。

だが、皆が皆その事情について詮索することはない。


睦月寮の暗黙の掟である。




「そっか……。」

「大丈夫?巴樹ちゃん。」



御津葉と奈濟さんが話しかけている間、きいはスマホを操作してなにかしていた。

ピロン♪と音がして、携帯をしまったきいは、巴樹に言った。




【ドラすく登場人物紹介こーなー】


南佳穂

十七歳。O型。身長169,2cm。

対五龍、光龍精。

武器 弓矢「光輝」


ツッコミの鋭い、大人なしっかり者。

読書が趣味で、一度読み始めると本の世界に入ってしまう。邪魔したものは………?

十五歳で聖龍士になるという、ある意味規格外の少女。

潜入捜査に長けている。

ガムとか、炭酸飲料が嫌い。

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